【忖度なき採点&寸評】ガンバ大阪には何が足りないのか…変わるべきは監督だけではないと感じた浦和戦
【前書き】
苦しいチーム状況だったとはいえ、やはりクラブのレジェンドであり、アイドルだった宮本恒靖監督との別れは、寂しく、心に穴が開いたような気持になりました。
そんな心を必死に奮い立たせて挑んだ浦和レッズ戦。
結果は0-3完敗。。。
かつてナショナルダービーと呼ばれていたころも知る年齢の僕にとっては、非常につらく、厳しいものでした。
試合後のコメントで
倉田秋選手が
「皆で今日から変わろうという話をして、いい流れをつかんで上に行こうという気持ちで戦っていましたけど、結果的に0-3で負けているので、まだまだ自分たちの実力が足りないのか、いろいろと考えないといけないですね」
と語っていました。
監督が変わろうが、ピッチで闘うのは選手たちです。
きょうはその点にフォーカスして、書いてみようと思います。
【戦評】
2012年以来の指揮となる松波監督ですが、正直彼は最初から次期監督へのつなぎ、という前提で就任しているので、戦術どうこうを期待するのは酷だと思います。
今はただ、選手たちを前を向かせる。
そんな采配を期待しました。
スタメンで特徴的だったのは、宮本政権ではサイドハーフでの起用が主だった倉田選手が、トップ下で起用されたことです。4-2-3-1に見えるフォーメーションでしたが、松波監督はこう説明しています。
「相手のビルドアップに対して少し立ち位置を変えた中で、得点を狙いにいくという中ではしっかりとハイプレスを掛けていって、奪ってという狙いはありました。FWと中盤の間が少し開くような傾向があったので、少しあの辺りでボールを引き出せる選手を1人置きながら、相手の中盤を寄せた中でのワイドだったり、崩しだったりというのを少し考えていた。立ち位置は[4-2-3-1]というわけではないんですけど、若干そういう立ち位置になったかなと思います」
倉田選手と一美選手でハイプレスを先導しつつ、倉田選手にバイタルでボールを受けさせて相手のDFを中央に引き付けることで、両ワイドの宇佐美、チアゴを生かそうという策だったようです。
シンプルですが、今のガンバにできる最大限だったのではないかな、と思います。
事実、立ち上がりは勢いを持って試合に入れましたし、宇佐美が前向きにボールを持つ回数が多く、得点の気配も感じさせました。
しかし前半16分にあっさりと失点。
相手の左サイドは、SBの常本が高い位置を取ることで、ガンバの右サイド・チアゴと奥野の位置で混乱を生じさせました。
その間で受けたFW武藤からクロス、最後は逆サイドまで流れたボールを元ガンバの田中が折り返し、ユンカーに決められました。
ハイライトを見返してみると、サイドにうまくボールは運ばれたとはいえ、三浦がユンカーをしっかりとみている状況で決められたため、チームとして崩されたとは言えないと思います。
問題は2点目でしょうか。
浦和陣内で相手ボールのスローインから、一気に逆サイドに展開されてしまいます。
図のように、ガンバは右サイドハーフのチアゴまで中に絞って、8人をかけて相手を円内のエリアから出さないための守備を仕掛けました。
ここで選手たちに求められることは、絶対にこのエリアでボールを奪いきる、または下げさせることです。
一方で浦和は、この囲みを突破して逆サイドに展開することで、カウンターを発動することが狙いです。
西のスローインからガンバは人数をかけてボールを奪いにかかりますが、中途半端な対応でユンカーのサイドチェンジを許しました。
最後は昌子がマークを見失うミスがありましたが、チームとしてもやってはいけないミスも生じていました。
2点を先に奪われてしまえば、両クラブの戦略も変わってきます。
ガンバはよりリスクをかけて攻めなければいけないですし、浦和はリスクを減らしてカウンターを打つ、という明確な狙いが出ました。
3失点目は矢島のサイドチェンジが引っ掛かって、田中達也に単騎突破を許します。
昌子が対応しましたが、スライディングでクリアしきれず・・・
絶望的な3点目を奪われました。
こうなってしまうと、後半だけで3点を奪い返すのは、個人能力に頼った崩しだけでは難しく。。。
この試合でみえた松波監督のコンセプトは
「積極的なハイプレス」
「選手間の距離を詰めたパスワークでの中央突破」
でしょうか。
とにかく解任ブーストで気合が入った選手たちの勢いを利用したハイプレスと、もともと得意なことをやらせてみよう、という考えだったように思います。
しかし浦和は、前に出てくるガンバの勢いを利用し、逆にひっくり返すことを考えていたと思います。
ポイントは左サイド(ガンバの右サイド)。
そもそも本職ではない奥野と、守備時のポジショニングがあいまいなチアゴの隙をまんまとつかれました。
そこにCBのミスも重なれば、どうすることもできません。
【採点&寸評】
正直、この試合については採点については、あまり意味があるようには感じません。
採点はあくまで今後の期待値より算出し、今後ひとりひとりに求めることを中心に書いていこうかと思います。
【GK 1 東口 順昭】5・5
この試合でこそ、スーパーセーブを見せてほしかったのが本音です。
今の戦いを続けるならば、守から攻の切り替えはチームの最重要課題になるはずです。
そんな時、あなたの存在がチームの錨となるはずです。
切り替えが遅れれば、ここぞのシーンでは怒鳴るもよし。
しかし心はクールに。
かつての川口能活も、周囲に切れ散らかしていた時期から、一歩冷静になって、おこるシーン、励ますシーンを使い分けられるようになりました。
成長を求めます。
【DF 3 昌子 源】3・5
この試合で失点に直結する2つのミスは見たくなかったのが本音です。
しかし本人が誰よりもわかっているでしょう。
ハイプレスの際は、後ろで相手FWと1対1となってリスクを背負うのは、主にセンターバックの役割です。
そんなシーンでこそ、あなたの個が発揮されるはずです。
やみくもに前に行きたがるチームの手綱をひくのも、あなたの役割になるはすです。
【DF 5 三浦 弦太】4・0
ユンカーにフルボッコにされ、落ち込んでいることでしょう。
対人が売りのあなたですが、これを機にもう少し駆け引きを覚えてはいかがでしょうか。
単純なスピード、パワーでは、あなたはJリーグ屈指のDFだと思います。
しかしその能力の使い道を、今一度整理し直すときがきているのではないでしょうか。
【DF 24 黒川 圭介】5・0
もうあなたがJ1で十分に攻守で戦える選手だ、ということはわかりました。
その上で期待するのは、やはり攻撃力、となるのでしょう。
最低でも1試合に1本は、びしっと合わせたクロス、またはドリブルで中央に切り込んでの決定機創出が欲しいです。
クロスの精度は急には上がらないでしょうから・・・
左サイドなら宇佐美を外でおとりにして、中へ侵入していく、というパターンを確立してほしいなと思います。
【MF 17 奥野 耕平】4・5
本職ではなく、さらに意図を合わせずらいチアゴとのコンビで右サイドを守るのは、酷でした。
ただ、攻撃面では受けてバックパスを繰り返しているだけでは成長はありません。
決して止める、蹴るが苦手な選手ではないと思います。
しっかりと相手を見て、外す、運ぶ、というプレーにチャレンジしてほしいです。
【MF 10 倉田 秋78'】5・0
ハイプレスのスイッチャーとして、有能なのはわかりますが、それはあなただけのスペシャルではありません。
密集を抜け出すドリブル、そこでの正確性、さらに得点機創出、というのが仕事になると思います。
強引でもいいんです。
自分がボールを失っても、守備への切り替えが遅れた宇佐美に切れてもいいんです。
もっとのびのびと、プレーを楽しんでください。
【MF 15 井手口 陽介78'】4・5
終盤に変えられるような選手になってしまっているのが、寂しい限りです。
はっきりとしたダブルボランチとなり、後ろでボールを触る、前に出るのバランスを矢島と取りながら、やろうとはしていましたが、特に攻撃では怖さが出ませんでした。
うまい選手ではないので、やはりボックス内に入っていくプレー、思い切りのいいミドルで攻撃面での違いを出してほしいなと。
ただアグレッシブな守備をチームが目指すなら、あなたは象徴的な存在にならなければいけません。
【MF 21 矢島 慎也】5・0
ボールを動かす宮本監督のコンセプトがなくなった中で、やはり鍵となるのは司令塔のアイデアです。
逆サイドに振るのか、同サイドをしつこく狙うのか・・・
トラップミスがほぼないあなたにボールが集まることは、チームに安心感をもたらします。
しかし3失点目は、あなたのサイドチェンジがずれてカウンターを受けました。
司令塔は、チームの中心です。
あなたなのか、セジョンなのか、山本なのか。おそらくレギュラーはひとりです。
【MF 32 チアゴ アウベス46*'】4・0
どうしても相手に狙われてしまいます・・・
それでもあなたがポジションをつかむためには、そのスペシャルな左足をもっと前面に押し出すしかないのでしょう。
かつてハイライトでみせたような、スーパーミドルをねじ込んでください。
正直、それ以外にこのチームで生き残る道はないように思えます。
【FW 20 一美 和成46*】5・0
2試合連続先発でしたが、少しこの試合はボールが集まってきませんでした。
狭い局面でボールを収め、うまくためを作るプレーは、チームのストライカーでもあなたが一番かもしれません。
もっと自己主張を。
ガンバ大阪のレギュラーをつかみ、日本代表を目指す選手へと進むのか。
外国人FWとの争いに屈し、別の道を歩むのか。
プロとしての岐路に、あなたは立っています。
【FW 39 宇佐美 貴史71'】5・0
解任ブーストは、あなたの尻に火をつけたのかもしれません。
宮本監督の戦術に、最も縛られていたのもあなただったのかもしれません。
ボールを失うリスクを背負い、強引にでもボールを運び、振り抜く。
この気配が戻れば、あなたはDF3人は引き付けられます。
するとほかが空きます。
それができないのなら、守備でどうしても強さを出せないあなたは、次の監督に使ってもらえる保障はないでしょう。
【途中交代】
【FW 30 塚元 大46*'】6・0
後半開始からの起用は期待の表れ。
それでもまるでプレッシャーを感じていないかのように、音もなく間で受けて前を向くプレーが印象に残りました。
宇佐美や倉田が2タッチで前を向くところを、彼はワンタッチでスムーズに前を向く技術があるように思えました。
ここでチャンスをつかむかどうかは、やはり数字。
振り抜いてください。
【FW 9 レアンドロ ペレイラ46*'】4・5
叫んで点が入るなら、いくらでも叫んでください。
でも叫びながらでもいいので、切り替えてください。
以上です。
【FW 18 パトリック71'】5・0
持ち味を見失っている印象まであります。
強さと高さを生かし、強引にでも裏を取る。
チームもそれを思い出してほしいと思います。
【MF 28 ウェリントン シウバ78'】採点なし
前でボールを受ける回数が少なく、まだ評価は難しいです。
【MF 6 チュ セジョン78'】採点なし
練習でのパフォーマンスがよくないのでしょうか。
与えられる時間が短く、評価はむずかしいです。
【松波 正信監督】4・5
2012年の悪夢を思い出してしまいました。
正直、今期待するのはモチベーターとして選手たちを奮い立たせる役割だけだと思います。
なるべく早く、次期監督にバトンタッチするために強化部長としての仕事もお願いします。
【あとがき】
監督を変えて、すべてが好転するなんていう甘い夢をみた自分を恥じたいと思います。
選手にはいろいろと注文を書きました。
どんな監督がこようと、選手が変わらないと、やはり勝てないと思います。
今の選手で勝てなければ、また悲しい別れが増えることになります。
次期監督も気になりますが、いまは選手たちに変わってほしい、と思います。
【あとがきのあとがき】
すっげえ暗い話ばかりになってしまいましたので、趣味の話を少し。
コロナ禍と、ガンバの不振でたまる一方のストレスを解消するために、ランニングを始めました。
ゆっくりと5キロほどですが、気分がすっきりします。
しかしいつもスマホを置きっぱなしで走るのも気になりますし、ポケットに入れても揺れて気になるので、こちらを購入しました。
腰に密着させる形なので、存在が一切気にならなくなりました。
値段も1000円以下とお得なのでおすすめです。
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