ご馳走をいただく
私の現在の食事情を書いてみる。内容がセンシティブなので上手く書けるか少し不安。細君にどう判断されるか。皆様に読んでいただけているとすれば、"細君の校閲をパス" したということだ。
4人の子供たちは独立していて、現在は夫婦ふたりで暮らしている。朝食と昼食は「各自好きなものを好きなタイミングで」が決まり。夕食は細君が作る。例外はパスタ各種と麻婆豆腐とカレーで、それらは私の担当。
私は2年半前に突然単身赴任先の中国から帰国、仕事を辞めて自粛生活に入った。それまでの細君は誰に気遣うこともない一人暮らし。一人暮らしと言っても、独立した子供らは近所に住んでいて頻繁に顔を見せるし、仲の良い妹もいて "孤独" ではなかった。
そんな中に舞い戻ったのが私。一日中家にいて三食を食べる。またその "自粛っぷり" は生真面目で「コロナの勢いは衰え傾向」と聞こえてもなかなか警戒を解くことはなく、"家めし" を貫いた。
現役時代の私は都合8年間の単身赴任中はもちろん、同居している間も平日家で夕飯を食べることは稀だった。「オレの夕飯は考えなくていいよ。もし帰って来ても有るもんでいいから。」と常々言っていた。
「4人の子供にしっかり三食を供する細君に、営業職で予定が読めない私が負担を掛けてはいけないのだ!」などと "お為ごかし" を並べながら、接待や同僚との飲食、麻雀に明け暮れる自分勝手な日々だった。今深く反省する次第。
そんな私に細君は今、毎日美味しいご飯を用意してくれる。感謝している。私は細君が作るおかず1~2品とセブンイレブンで買う "濃い絹" の冷奴をつまみにして、キリン淡麗グリーンラベルとホワイトホースのハイボールで晩酌できればとても幸せに感じる。
先日の細君との会話‥
私 「今日の夕飯 何?」
細君「今日はなんか残りもので…」
私 「あれ? 昨日も残りものじゃなかった?」
「まだ何か残ってるの?」
細君「‥残りものはいつもあるの! 文句ある ?! 」
私 「‥‥」
残りものはいつもある! 残りものは片づけなきゃいけない!
そしてたまに休むことは大切なのだ!
子供や孫が訪ねて来ると、たちどころに細君の "やる気スイッチ" が入る。「お腹空いてない?」「何が食べたい?」「ご飯すぐ炊くからね」と嬉しそうに料理が始まる。長年培ったモチベーションの種はそちらにあることは間違いない。僻(ひが)んでいる訳ではない。微笑ましいと思う。
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長々書いてしまったが、やっとタイトルの話題に入る。"県民割" を利用してコロナ発生以来初めて一泊旅行をした。細君の「何処行きたい?」に私が「美味しいものが食べたい」と答える。 チグハグな会話で伊勢/鳥羽 行きが決まった。
梅雨の合間の晴れた日、お伊勢さんに参り、行きたかった鳥羽城跡を見学してから料理旅館で海の幸を堪能した。アワビや伊勢海老をはじめ食べきれないほどの料理の数々、どれもこれも美味しかった。美味しさの描写は難しいので諦めて画像に任せる。「蒸したアワビを口いっぱいに頬張って食べる」というかねてよりの夢は叶えた。
あと、おかげ横丁で食べた "伊勢うどん" も地味に美味しかった。
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中国武漢から帰国以来2年半。ようやくこうして旅行に出ることができた。とても感慨深い。先日、恐々(こわごわ)ではあったが外飲みも再開した。私の境遇はコロナ前とはすっかり変わってしまったが、アフターコロナの完全リスタートにはどんな未来があるのだろう。
人生には、飲食店がいる。
< 了 >