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最後まで頑張る ~ die hard

ブルース・ウィリスを日本の学校制度に当てはめると、私より2学年上に当たる。その先輩「ブルース・ウィリスが失語症の診断を受けたため現役を引退」とのニュースが飛び込んできた。今週は「ここらへんの史跡をゆく~」シリーズの投稿を予定していたが、急遽差し替えることにした。

「一番好きな映画は何ですか?」と問われたら、私は迷わず「ダイハード!その一番初めのやつ!」と答える。「ダイハード」は1988年に公開されたアメリカ映画。ブルース・ウィリス演ずるニューヨーク市警の刑事ジョン・マクレーンが大活躍する一級のアクション映画だ。
だがいわゆる "無敵のヒーロー" とはちょっと違う。愛する妻からは振り向いてもらえない。自分に自信が持てないジョン・マクレーンにはツキもない。心ならずも次々と厄介ごとが降りかかる。泣き言をこぼしながらも、知恵と勇気で敵を撃退していく‥ そんな話。

私は1989年にレンタルビデオで見たのだと思う。当時私は30代前半、B to B の営業最前線にいた。日本を代表する自動車メーカーが私の担当するお客様で、私はその頃需要が高まっていたニッチな化学製品を販売していた。そのお客様の要求は極めて高く、しかもその要求は全て理にかなっていた。

振り返って私の会社はと言うと、そんな高度な要求に対応する力は持ち合わせていなかった。ギャップを埋めるべくお客様には "謝罪" "弁明" "調整"、そして社内には "説明" "説得" を繰り返す、暗中模索の毎日だった。
「調整するんが営業の仕事ちゃうんかい!」と喚(わめ)く内弁慶。
「でけへんもんはでけへんねん!」と怒る、誇り無き居直り型威張りん坊。

私の良いところであり悪いところ。それは "常に自分一人で抱え込まず" "不幸も誰かと共有" しようとする性癖だ。私の話相手はもっぱら細君だった。晩酌の時にその日会社であったこと、それに対する愚痴と不満と弱音を残さず吐き出す。4人の子供を育てる細君にとっては、そんな旦那はさぞかし不安だったろうと今になって思う。

「何でこんなことになっちまったんだよー」と愚痴りながら、裸足でガラスの破片の上を走るジョン・マクレーン。私はそんなシーンに、にっちもさっちも行かない、孤立無援で徒手空拳の自分を重ねていた。

"Die Hard" 「最後まで頑張る」。 ジョン・マクレーンはやり切った。愛する奥さんを守った。私も何度も「もう辞めたいよ~」と弱音を吐きながら、最後まで頑張った。そう、私の場合は特にカッコよくはないが。

ブルース・ウィリスの引退は、現在の妻と2人の娘、前の妻デミ・ムーアと3人の娘という新旧ファミリーの共同声明として発表された。そこには「私たちは強い家族としてこの事態を乗り越えようとしています。」と書かれている。この暖かい家族を見て、彼の人となりを窺(うかが)い知ることができた気がする。お疲れ様でした。 Live it up !

< 了 >

P.S. ちょっと毒を吐きます。ソフトバンクのCMで、ブルース・ウィリスが "ドラえもん" 役で登場する。私は全然面白いと思えない。狙いは "大物感" と "意外性" なんだろうが、あまりに馴染んでいない。
10年ぐらい前にトヨタのCMで、ジャン・レノも "ドラえもん" を演(や)っていた。妻夫木くんや山Pや水川あさみさんが脇を固めている楽しいCMだった。
ソフトバンクのCMは "二番煎じ" でレベルも低い。「ブルース・ウィリスの無駄遣い」が残念だ。

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