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ぼくらが旅に出る理由
車での国内旅行を敢行した。細君とふたりの旅だ。
「敢行」などと大仰な言葉遣いをしたのは、日数も距離も長めだったから。
まず日数は5泊6日。行程は名古屋の自宅を出てから、三重⇒滋賀⇒京都⇒大阪⇒兵庫⇒鳥取⇒島根⇒広島⇒愛媛⇒香川⇒徳島⇒兵庫⇒大阪⇒奈良⇒三重➡帰宅というもの。12府県(延べ15)を経由し、1,345kmを走破した(大袈裟)。
「70歳までに北海道と沖縄以外の45都府県に行く!」
これは、以前の記事(⇩)に書いた私の小さな目標。
※北海道と沖縄に行かない理由は、かまいたち山内が「となりのトトロ」を一度も観ていない自慢しているのと同じ偏屈による。
旅行前までで、私が行ったことのない県は……
青森、秋田、和歌山、島根、愛媛、徳島、高知、大分県、宮崎の9県。
この旅行で島根、愛媛、徳島をつぶすことができた。今回高知にも足を踏み入れ四国を制覇したかったのだが、どうしても旅程に組み込めなかった。
あと残るは6県。近場の和歌山は早めに踏破しておきたい。
***
齢を取るとともに、いろいろな種類の「欲」が明らかに減った。顕著なのは物欲。若い頃はゴルフや時計の雑誌や MonoMax などを見ては「あれが欲しいこれが欲しい」としたものだが、今の私にすごく欲しいものは無い。
名誉欲や権力欲などはとうの昔に消滅しているし、
各種の生理的欲求も大幅に減衰した。
だが、まだ「旅行欲」は私の中にちゃんと残っている。
※「旅行欲」なる言葉はネットにチラホラ見られるが、広辞苑には無い。
※ 心理学者が分類する「好奇欲求」の枝分かれになるのだろう。
※ 別名「知らない街を歩いてみたい欲」は私の造語。広辞苑には無い。
今回の旅は私の「旅行欲」を十分満たしてくれた。旅の方針は次のとおり。
①. 一日200~250kmの移動を目安とする。
②. 絶対に行く所は、竹田城址、鳥取砂丘、松江城、出雲大社、しまなみ海道、鳴門海峡渦の道、法隆寺。それ以外は行き当たりばったりで良し。
③. 土地の食べ物を食べ、土地の酒を飲む。
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かつての「ぼくが旅に出る理由」は、「圧倒的な非日常の体験」だった。
言葉も通じない初めての街にひとり降り立ち「ホテルは何処?どうやって行くの?」と路頭に迷い、食事の際「どうやって注文するの?」「これいったい何?こんなもの食えるのか?」。不安と恐怖に苛まれつつも、体の奥からワクワク物質が湧き出てくる感覚。
一番最近では、2019年言葉もできないまま中国に渡り、武漢を拠点にひとりで中国の都市を巡った。頼りは携帯翻訳機 "イリー" だけ。初めての街の駅や空港に着くたびに、頭をもたげる不安を私はちょっと楽しんでいた。
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さて今回の旅の話に戻る。
6日間の旅の間中、細君はずっと楽しそうだった。建物や景色を見ては
「すごーい!」「キレイ!」「広ーい!」と感嘆を繰り返した。
4日目、徳島市の阿波おどり会館をふらりと訪れた。ここには阿波踊り関連資料が展示されていて、一年中実演を見ることもできる。
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3階の体験コーナーでは、踊っている自分の姿が等身大モニターに映し出されたり、ゲーム形式で鳴り物の演奏を体験することができる。
細君は、踊り+モニター投射をすっかり気に入ったようだ。
嬉々として踊り続ける細君の姿を見て、私は思った。
今の「ぼくが旅に出る理由」はこれだったんだなぁと。
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< 了 >
P.S. 記事のタイトルにさせていただいた小沢健司「ぼくらが旅に出る理由」を添付します。カラオケでよく歌う私の好きな曲です。