【Old School】赤青黒エイトグ
オールドスクール環境における有力デッキの一つであるエイトグ、その中でも赤青をベースに黒をタッチしたタイプについて解説を試みます。
対戦相手のライフ20点を速やかに削り切ることが目的であり、様々なダメージソースや相手の選択肢を奪う手段を備えた攻撃的なデッキです。
サンプルデッキリスト
■メインボード
4《Volcanic Island》
2《Badlands》
2《Underground Sea》
3《真鍮の都/City of Brass》
1《Library of Alexandria》
4《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》
4《露天鉱床/Strip Mine》
4《エイトグ/Atog》
4《セレンディブのイフリート/Serendib Efreet》
4《稲妻/Lightning Bolt》
4《稲妻の連鎖/Chain Lightning》
2《心霊破/Psionic Blast》
1《地震/Earthquake》
1《Ancestral Recall》
1《Time Walk》
1《Timetwister》
1《Wheel of Fortune》
1《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
1《粉砕/Shatter》
1《Chaos Orb》
4《黒の万力/Black Vise》
3《ミシュラのアンク/Ankh of Mishra》
1《Black Lotus》
1《Mox Pearl》
1《Mox Sapphire》
1《Mox Jet》
1《Mox Ruby》
1《Mox Emerald》
1《太陽の指輪/Sol Ring》
■サイドボード
3《赤霊破/Red Elemental Blast》
1《青霊破/Blue Elemental Blast》
3《憂鬱/Gloom》
3《粉砕/Shatter》
1《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》
1《精神錯乱/Mind Twist》
2《City in a Bottle》
1《イス卿の迷路/Maze of Ith》
特徴と運用
優秀なクリーチャーによるビートダウン、火力による盤面のコントロール、黒の万力とミシュラのアンクによる理不尽な削り、更には強力な制限カードや露天鉱床が加わることでの相乗効果がこのデッキの強烈な攻撃性を生み出しています。
・相手の選択肢を奪い、ライフを攻める動きに特化することで能動的にゲームをコントロールできる。
・ダメージソースのカードタイプや色がそれぞれ異なるため、相手はこれらの脅威に対処しにくい。
・単体のカードパワーが高く、相乗効果も豊富なため、手札破壊や比較的長めのゲームにも対応できる。
・但しカウンター呪文や継続的にアドバンテージを得るカードを限定的にしか採用していないため、基本的には早めにゲームを終わらせることを目指したほうがよい。
・除去を火力に頼っているため、高タフネスのクリーチャーが苦手。
構成要素の詳解
メインボード
《エイトグ/Atog》:このデッキのメインアタッカーです。アーティファクトを貪ることで+2/+2修整を得て、戦闘での攻防や火力への対応、相手への止めの一撃と広く活躍できます。元のパワータフネスが1/2なのが絶妙であり、アーティファクト1個生け贄で3/4(=稲妻で落ちない、ミシュラの工廠のパンプアップに対応可能)、アーティファクト2個生け贄で5/6(=Juzam Djinnを一方的に討ち取れる)など環境に合った強みを持っています。また、各アーティファクトにエイトグ強化という役割を持たせることは、デッキ中の相乗効果を増し、ドローの質を上げることに繋がります。
《セレンディブのイフリート/Serendib Efreet》:こちらもメインアタッカーです。各種MoxやBlack Lotus経由で1~2ターン目に展開可能。飛行3点クロックであり、タフネス4もあるため稲妻で落ちない環境屈指の優秀なクリーチャーです。毎ターン1点のダメージを受けるデメリットがありますが些細なものです。また、このデメリットはMirror Universeされたときに相手に十分なライフを与えないというメリットに転じることがあります(同様のことはPsionic Blastとミシュラのアンクにもいえます)。このように強力なクリーチャーゆえ多くのデッキに投入されますが、相手のSerendib Efreet対策としてSerendib Efreetを使う運用もありです。なぜならパワータフネスが3/4であり、お互い睨み合って攻撃できない状況を作れるからです。
《黒の万力/Black Vise》《ミシュラのアンク/Ankh of Mishra》:強力な無色ダメージソース。黒の万力は先手1ターン目に展開すれば相手のライフを理不尽に削り取っていきます。ミシュラのアンクとの組み合わせはいわばコンボであり、相手は土地を出せば2点、出さなければ徐々に手札が溜まっていき万力が効き始めるというジレンマに陥ります。その性質から手札を溜め込み、土地を伸ばしたいコントロールデッキによく効きます。一方、手札をすぐに消費するビートダウンデッキには効き目が薄いです。しかしTimetwisterやWheel of Fortuneで引き直させることで黒の万力の効果を復活させることが可能であり、そうでなくてもエイトグに餌として与えてしまうこともできるので無駄になりません。強力な土地破壊である露天鉱床により色マナ供給源を攻めることで、相手が呪文を唱えにくくし、土地を出さざるを得ない状況を作ることも非常に有効な戦術です。
《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》:恐怖や麻痺、ソーサリー除去やThe Abyssの効かない強力な無色クリーチャー兼土地です。工廠同士で連携して強化できるのでアタッカーとしてもブロッカーとしても優秀です。エイトグに餌として与えることもできます。
《稲妻/Lightning Bolt》《稲妻の連鎖/Chain Lightning》:1マナ3点火力。デッキの一貫性を上げる、TimetwisterやWheel of Fortuneの爆発力を上げる、小型クリーチャー(特に黒単から1ターン目に繰り出される惑乱の死霊)に対処するために計8枚体制となっています。
《心霊破/Psionic Blast》:青いインスタント4点火力。Serendib Efreetやセラの天使に一枚で対処でき、赤の防御円で防げない優秀な火力です。但し3マナと少し重いため、補助的な枚数の採用となっています。
《地震/Earthquake》:小型クリーチャーの一掃や相手への止めに使えるX火力です。自陣のエイトグにはアーティファクトを与えて生存させることができ、飛んでいるSerendib Efreetには勿論影響がないことから構造的にマッチした一枚です。実際はうまくアドバンテージを取れない局面があったり(例:敵陣の白ウィニーにThunder Spiritがいる)、既に十分な軽量火力をデッキに積んでいるため不要という見方もあります。しかし75枚中1枚は地震が入っている、更にはDemonic Tutorでサーチ可能ということ自体が相手のクリーチャー展開を鈍らせますので、採用すれば手札にこなくても仕事をすると言えます。
《悪魔の教示者/Demonic Tutor》:黒をタッチする最も大きな理由です。各種制限カードの実質的な増量となります。Ancestral Recallをサーチすることが最も多いですが、状況に応じて火力やサイドインしたカードにもアクセスできます。
《露天鉱床/Strip Mine》:相手の選択肢を奪う手段として非常に重要です。主に色マナを攻めて、行動に制限を課します。相手のLibrary of Alexandriaを即座に破壊するためにも4枚必須です。
サイドボード
《赤霊破/Red Elemental Blast》《青霊破/Blue Elemental Blast》:色が合うならどんなデッキにも有効ですが、主に多色のコントロールデッキや同系相手に干渉手段としてサイドインします。その際の配分は非常に難しく、これといった結論が出せていません。一つの指針は、赤霊破:青霊破=2:1とすることです。強力な青いカードを咎めるために赤霊破が多め、ただしカウンター合戦や火力に備えるために青霊破も添えるイメージです。
《憂鬱/Gloom》:白いデッキに強烈に刺さります。主にThe Deckの動きを鈍らせるのが目的であり、確実に置くために3枚推奨です。臨機応変されることがあることも念頭に置いておきましょう。
《粉砕/Shatter》:アーティファクト対策。軽量インスタントのため使いやすく、様々なデッキに有効です。相手のメインでアーティファクトを見なくてもサイドからIcy Manipulatorがインされるパターンもあるため注意が必要です。
《ハーキルの召還術/Hurkyl's Recall》:追加のアーティファクト対策。アーティファクト偏重のデッキに刺さります。多芸であり、以下のようなことができます。
・マナアーティファクトやジェイムデー秘本を並べた相手のエンドに撃ってプランを崩す、またはカウンター呪文を引き出しておいて次の自分のターンの動きを通す。
・相手に撃って黒の万力圏内に押し込む。
・相手のエンドに撃ってディスカードを強制する。
・Timetwister対応で相手だけ全体除去。
・自分に撃ってLibrary of Alexandria起動モードに持ち込む。
・自分のミシュラの工廠を除去から守る。
《精神錯乱/Mind Twist》:非常に強力な手札破壊呪文ですがメインに採用していません。理由として黒の万力とディスシナジーがあることと、露天鉱床をメインに4枚採用しているため妨害要素は十分なことが挙げられます。サイドインするのは、主にコントロールデッキと、火力を潤沢に備えたデッキが相手の場合です。前者は追加のアドバンテージカードが必要であり、精神錯乱は赤霊破や青霊破でカウンターできず比較的通りやすいため。後者は相手にも火力を引かれることを警戒してWheel of Fortuneをサイドアウトした際に、追加のアドバンテージカードが必要となるためです。もし露天鉱床が1枚制限ルール下でエイトグデッキを使用するなら、精神錯乱はメイン採用としたいところです。
《City in a Bottle》:主に高タフネスかつ展開の早いJuzam Djinn対策です。Kird Apeやアーナム・ジンを用いるデッキにも有効です。こちらのSerendib Efreetや真鍮の都、Library of Alexandriaにも影響するため運用には注意が必要です。エイトグに餌として与えてしまえばオフにできることは念頭に置いておきましょう。