歴代誌上7章/血統と選び

マナセの子孫には、ベト・シェアンとその周辺の村落、タナクとその周辺の村落、メギドとその周辺の村落、ドルとその周辺の村落があった。
これらの地域にイスラエルの子ヨセフの子孫が住んだ。

歴代誌上 7:29 新共同訳

イスラエルの十二部族と言った場合、イスラエルの息子ヨセフは部族名に含まれていない。
ヨセフの息子であるエフライムとマナセがイスラエルの養子になり、彼らがイスラエルの十二部族の部族名になっている。
故に、厳密にはイスラエルの十三部族である。

「今、わたしがエジプトのお前のところに来る前に、エジプトの国で生まれたお前の二人の息子をわたしの子供にしたい。
エフライムとマナセは、ルベンやシメオンと同じように、わたしの子となるが、 その後に生まれる者はお前のものとしてよい。
しかし、彼らの嗣業の土地は兄たちの名で呼ばれるであろう。」

創世記 48:5-6 新共同訳

創世記末尾にはイスラエルが語る詩があるが、それは伝統的にヨセフの祝福と呼ばれている。
イスラエルの末の息子ヨセフが長子の権利を得たからである。

「あなたの父の祝福は 永遠の山の祝福にまさり 永久の丘の賜物にまさる。
これらの祝福がヨセフの頭の上にあり 兄弟たちから選ばれた者の頭にあるように。」

創世記 49:26 新共同訳

イスラエルの長男ルベンの子孫について。
ルベンは長男であったが、父の寝床を汚したので、長子の権利を同じイスラエルの子ヨセフの子孫に譲らねばならなかった。
そのため彼は長男として登録されてはいない。
彼の兄弟の中で最も勢力があったのはユダで、指導者もその子孫から出たが、長子の権利を得たのはヨセフである。

歴代誌上 5:1-2 新共同訳

つまり、ユダ族のダビデは君主としての正統性に血統の上では疑義がある。
そのダビデ、血統の上では君主たる正統性に疑義があるダビデに正統性を与えるのは神からの選びである。

主はサムエルに言われた。
「いつまであなたは、サウルのことを嘆くのか。
わたしは、イスラエルを治める王位から彼を退けた。
角に油を満たして出かけなさい。
あなたをベツレヘムのエッサイのもとに遣わそう。わたしはその息子たちの中に、王となるべき者を見いだした。」

サムエル記上 16:1 新共同訳

この血統による正統性なのか、神からの選びによる正統性なのかという話は以降も続く。

血統ではなく神からの選びを正統性の根拠に置くダビデ王朝は、しかしながら北イスラエル王国と南ユダ王国分裂以降、ダビデの血統を正統性の根拠に置き
逆に北イスラエル王国は神からの選びを正統性の根拠に置く。

これは昔の話、旧約聖書時代の話ではなく、現代においても続く。
なぜならペテロの後継者、使徒継承という擬似的な血統原理を正統性の根拠に置く使徒継承教会と、神による自由な選びを正統性の根拠に置くプロテスタント教会があるからである。

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