列王記下14章/1バイト

聖書の時代、1バイトの価値は現代とは比較にならない。
一文字を記すのは全て人力であり、記録媒体の羊皮紙等は途方もなく貴重である。
故に、記されたものには何らかの意味がある。

次いでアマツヤは、イスラエルの王、イエフの孫でヨアハズの子であるヨアシュに使者を遣わし、「来るがよい、戦いを交えよう」と言わせた。

列王記下 14:8 新共同訳

通常、聖書の登場人物を紹介する際に○○の子××と記述されても
○○の孫、△△の子、××と記述されはしない。

イスラエルの王ヨアシュはベト・シェメシュで、アハズヤの孫でヨアシュの子であるユダの王アマツヤを捕らえ、エルサレムに来て、その城壁をエフライムの門から角の門まで四百アンマにわたって破壊した。

列王記下 14:13 新共同訳

本章8節と同様に本章13節も同様の記述方式である。
偶然は二回も続かない。
以下、なぜこのような記述がなされたかを説明する。

ユダの王アハズヤはこれを見て、ベト・ガンの道を通って逃げた。イエフはその後を追い、「彼も撃ってしまえ」と命じた。
アハズヤは、イブレアムの近くのグルの坂を行く戦車の中で傷を負い、メギドまで逃げて、そこで死んだ。

列王記下 9:27 新共同訳

列王記下9章には北イスラエルの将軍イエフが謀反を起こし、北イスラエルのヨラム王と南ユダのアハズヤ王を殺し、自らが王となった顛末が記されている。

この物語を読者に想起させるために本章8及び13節でそれぞれの祖父、つまりイエフとアハズヤの名が挙げられる。

9章においてイエフがアハズヤを打ち負かしたように、本章においてはイエフの孫であるヨアシュがアハズヤの孫であるアマツヤを打ち負かす。

イスラエルの王ヨアシュは上って来て、ユダのベト・シェメシュでユダの王アマツヤと戦いを交えた。
その結果、ユダはイスラエルに惨敗し、兵はおのおのその天幕に逃げ帰ってしまった。
イスラエルの王ヨアシュはベト・シェメシュで、アハズヤの孫でヨアシュの子であるユダの王アマツヤを捕らえ、エルサレムに来て、その城壁をエフライムの門から角の門まで四百アンマにわたって破壊した。
また彼は、主の神殿と王宮の宝物庫にあるすべての金と銀、祭具および人質を取って、サマリアに凱旋した。

列王記下 14:11-14 新共同訳

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