聖書の時代、1バイトの価値は現代とは比較にならない。
一文字を記すのは全て人力であり、記録媒体の羊皮紙等は途方もなく貴重である。
故に、記されたものには何らかの意味がある。
通常、聖書の登場人物を紹介する際に○○の子××と記述されても
○○の孫、△△の子、××と記述されはしない。
本章8節と同様に本章13節も同様の記述方式である。
偶然は二回も続かない。
以下、なぜこのような記述がなされたかを説明する。
列王記下9章には北イスラエルの将軍イエフが謀反を起こし、北イスラエルのヨラム王と南ユダのアハズヤ王を殺し、自らが王となった顛末が記されている。
この物語を読者に想起させるために本章8及び13節でそれぞれの祖父、つまりイエフとアハズヤの名が挙げられる。
9章においてイエフがアハズヤを打ち負かしたように、本章においてはイエフの孫であるヨアシュがアハズヤの孫であるアマツヤを打ち負かす。