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列王記上10章/ソロモンにまさるもの

本章では現代のイエメンもしくはエチオピアにあったシェバ王国の女王がソロモン王に会いに来る。
彼が知恵者である。との評判を耳にしたからだ。

この挿話は新約聖書でも語られる。

「また、南の国の女王は裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを罪に定めるであろう。
この女王はソロモンの知恵を聞くために、地の果てから来たからである。ここに、ソロモンにまさるものがある。」

マタイによる福音書 12:42 新共同訳

しかしながらこのキリストの語りは現代人からすれば奇妙に感じられる。
知恵者はあくまでもソロモンであると記述されており、シェバの女王が彼に優るとは思えないからだ。

ソロモンには類まれな知恵がある。
しかし、その知恵はどこから来たか。

神はソロモンに非常に豊かな知恵と洞察力と海辺の砂浜のような広い心をお授けになった。
ソロモンの知恵は東方のどの人の知恵にも、エジプトのいかなる知恵にもまさった。

列王記上 5:9-10 新共同訳

彼の知恵は彼自身が獲得したものではない。
彼の知恵は天から与えられた賜物である。
現代的に言えば、「人間はある階級、ある両親、ある遺伝子情報、ある時代状況を自由意志で選んで生まれるわけではない。」のだから、自己の功績として誇れるものは非常に限られている。

シェバの女王はそのような賜物を受けてはいなかった、にもかかわらず、彼女は知恵を求めた。
そこに、ソロモンよりも偉大なものがあるのではないか。

「言っておくが、このように、悔い改める一人の罪人については、悔い改める必要のない九十九人の正しい人についてよりも大きな喜びが天にある。」

ルカによる福音書 15:7 新共同訳

本章においてシェバの女王はソロモンとの面談のラストで次のように語る。
彼女は目に見える知恵者ソロモンではなく、目に見えない知恵の源泉を見据えて次のように語る。

「あなたをイスラエルの王位につけることをお望みになったあなたの神、主はたたえられますように。
主はとこしえにイスラエルを愛し、あなたを王とし、公正と正義を行わせられるからです。」

列王記上 10:9 新共同訳

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