列王記上10章/ソロモンにまさるもの
本章では現代のイエメンもしくはエチオピアにあったシェバ王国の女王がソロモン王に会いに来る。
彼が知恵者である。との評判を耳にしたからだ。
この挿話は新約聖書でも語られる。
しかしながらこのキリストの語りは現代人からすれば奇妙に感じられる。
知恵者はあくまでもソロモンであると記述されており、シェバの女王が彼に優るとは思えないからだ。
ソロモンには類まれな知恵がある。
しかし、その知恵はどこから来たか。
彼の知恵は彼自身が獲得したものではない。
彼の知恵は天から与えられた賜物である。
現代的に言えば、「人間はある階級、ある両親、ある遺伝子情報、ある時代状況を自由意志で選んで生まれるわけではない。」のだから、自己の功績として誇れるものは非常に限られている。
シェバの女王はそのような賜物を受けてはいなかった、にもかかわらず、彼女は知恵を求めた。
そこに、ソロモンよりも偉大なものがあるのではないか。
本章においてシェバの女王はソロモンとの面談のラストで次のように語る。
彼女は目に見える知恵者ソロモンではなく、目に見えない知恵の源泉を見据えて次のように語る。