ルツ記 4章
主が身ごもらせたので、ルツは男の子を産んだ。
女たちはナオミに言った。
「主をたたえよ。主はあなたを見捨てることなく、家を絶やさぬ責任のある人を今日お与えくださいました。
どうか、イスラエルでその子の名があげられますように。
その子はあなたの魂を生き返らせる者となり、老後の支えとなるでしょう。
あなたを愛する嫁、七人の息子にもまさるあの嫁がその子を産んだのですから。」
ナオミはその乳飲み子をふところに抱き上げ、養い育てた。
近所の婦人たちは、ナオミに子供が生まれたと言って、その子に名前を付け、その子をオベドと名付けた。
オベドはエッサイの父、エッサイはダビデの父である。
ルツ記 4:13-17
天使は言った。
「恐れるな。
わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。
この方こそ主メシアである。
あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
ルカによる福音書 2:10-12
ルツ記のストーリーを噛み砕いていうならば
貧しい異邦人のやもめが再婚してダビデ王の祖父を産み、また、ナザレのイエスの法的な先祖となる。
だろう。
旧約聖書における焦点はルツが産んだ子オベドというよりは、その孫ダビデだし
新約から言及する場合でも、焦点はナザレのイエスである。
ルツが産んだ子オベドはこの物語の中で「魂を生き返らせるもの」と喜ばれるが
それはあくまで姑であるナオミとルツにとってであり、神学的に何か大事業を成したわけではない。
現に、ルツ記以外でオベドが言及されるのは、福音書によるナザレのイエスの系図(マタイ1:5)に代表される系図の部分くらいで、具体的な事績や道徳的な教訓または奇跡のエピソードなどは一切聖書に書かれていない。
「主が身ごもらせた」(ルツ 4:13)とまで記述されているにしては、非常に小さく、隠れた人物だったとしかいいようがない。
その人生は小さな家庭で祖母のナオミと母のルツを助けて生き、父親であるボアズのおかげでそこそこ裕福だった。
くらいのものでしかなかったのではないか。(ルツ 4:14-15)
しかしながら、このどうということのない小さな人物が、家畜小屋の飼い葉桶の中に産まれたキリストと繋がっていく。
ここに神の働きがあるのではないか。