村田夏佳「しばいぬとフルーツケーキ」
当社が版元となるジクレー(アート複製画)シリーズとして、村田夏佳さんの「しばいぬとフルーツケーキ」を2024年2月にリリースいたしました。21年リリースの「いぬたちの森」「ねこたちの森」の大好評を受けて企画された待望の新作です。
村田夏佳さんについて
身近な動物や森の生き物をモチーフにイラストレーションの創作活動をしている村田さん。透明水彩の滲みやマスキング手法を使った優しいタッチで、生き物の細かな仕草、表情まで少しコミカルに、ファンタジックな味わいで表現し続けています。
彼女が描くもので最も人気が高い「モデル」は、なんといっても「柴犬」。自身にも愛犬がいて、数多くのポストカードでもおなじみのモチーフになっています。また季刊誌「Shi-Ba【シーバ】」(辰巳出版)では描き下ろしの絵を長期連載中で、毎年発売される彼女の「しばいぬカレンダー」(ハゴロモ)も愛犬家たちの間で愛用インテリアのひとつになりました。
「しばいぬとおやつ」シリーズ
村田さんのイラストレーターデビュー間もない頃から手掛けている、動物と食べ物とを組み合わせた絵「しばいぬとおやつ」シリーズは、例えば寿司やうどん、たこ焼きなどの食べ物に、犬がトッピングされている世界観がとても独創的で、こちらもコレクターさんなどから熱い支持を受けています。
この可愛らしくシュールな組み合わせは比類がなく、ついに2023年9月「おいしいおいしいかくれんぼ」という自作の子ども向け絵本として発売されました。
このシリーズは、彼女の好きな「柴犬」と「食べもの」、その2つを組み合わせ描いてみた3作がはじまりで、それに対して多くのお客様から反響をいただき、夢中で応えているうちに定番のレパートリーになったのだそうです。
「ただ可愛いと思うものを描くということに抵抗があった時期もありましたが、ずんと心に刺さるようなカッコいいイラストではなくても、私にとってはお客様の日常の一瞬でも、かわいい、と思って癒されていただけるイラストをお届けすることが本当の喜びなのだと感じるようになりました」と村田さんは振り返ります。
テーマは「プレゼント」
その大人気を受ける形で企画されたのが、今回ご紹介する「しばいぬとフルーツケーキ」です。
白い背景に描かれたボリュームたっぷりのフルーツケーキのなかに、柴犬がたくさんトッピングされています。カレンダーでも絵本でも、ここまでギューギューの"犬密度"の絵はありませんでした。このために腕を振るってチャレンジしていただいた原画で、透明水彩の微妙なニュアンスの美、発光感と、小筆での描き込みの豊かさは、ずっと見ていられると思えるほどのクオリティです。
本作の制作にあたり隠れテーマになったのは、「祝意」や「プレゼント」です。
おめでとう、と何かをプレゼントするのに近い感覚で、犬好きの人にはこの絵を贈っていただけたらという気持ちも込められました。額装をした後の木枠外寸でもA3サイズ程度に収まるよう、こぶりなサイズになっています。
原画に比肩する美しいシート
今回のジクレーも、刷りのエンジニアになっていただいたのは版画工房エディション・ワークスさん。原画の美しさを正確に理解し、耐候性の高い顔料系インクで忠実に再現、品質管理してくださるおかげで、原画とは別ジャンルの美術品と位置づけられる美しいシートになっています。エディション(制作限定数)100に設定され保有する価値も十分に担保されています。
村田さんの「しばいぬとおやつ」シリーズは発表後たちまち完売となることがしばしばですが、版画であればゆっくりご検討いただくことができますし、お友達と同じものを保有していただく楽しみもあります。
動物への愛情や畏敬を作家性の下に置かずに、丁寧に向き合う態度がアートである、という村田さんの揺るぎないスタンスには、感心しきりです。本作ジクレーの描線の細部にまでそうした精神が宿っていることを感じていただけるでしょう。
最新の個展「遠吠え」(2023年9月、恵比寿・AL)では今までにないほどの集客を記録し、絵本も発売早々に増刷決定と、嬉しいニュースが続く村田さん。将来はさらに高く評価される方だと思いますので、安定的な創作生活支援の意味も含めて、ご購入を検討いただければ嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?