夏の盛りを待ちかねて
こんにちは、絵本作家のまつしたゆうりです。
夏が始まってひと月経ちました、皆さまいかがお過ごしですか？
二十四節気では、六月二十一日から夏至。
“夏に至る”と書くように、一年で一番昼が長い日。
一番長くお日様に暖められる日です。
次候の「菖蒲華（しょうぶはなさく）」、
七月七日からの“小暑”中の次候「蓮始開（はす はじめて はなさく）」
と、夏の花の開花も楽しみな季節ですよね。
ひとときだけの、さわれぬ真珠
蓮といえば、一番ときめいたのが万葉集のこのお歌。
ひさかたの 雨も降らぬか
蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む
（訳）ひさしぶりに 雨が降らないかなあ
蓮の葉に溜まった水が 真珠みたいなのが見たい！
あのパリッと張りのある濃緑の大きな葉に、
丸く輝く水滴が乗っているのを
「宝石みたいだなあ〜」とときめいた人は多いはず。
そっと摘めそうなのに、そこから拾い上げられないところも
ますます魅力的。
花の美しさは誰でもパッと目に入りますが、
こういう葉のみの景色や、枯れた花芯ですら
画になるのが不思議だなあと思う花のひとつです。
しかも秋には美味しく食べられる…！
その頃の養生での使い方は、また秋に。
そんな蓮を見るのにオススメなのが
我が故郷の滋賀県にある草津市立水生植物公園みずの森。
この近くに蓮の咲き乱れる池もあり、季節に訪れるのを毎年楽しみにしています。
蓮の景色を持ち歩けたら…とスマホカバーを作りました＊
涼やかな睡蓮のLINE着せかえは、水生植物園を思い出しながら描きました＊
季を食すこと
そしてこの時期の楽しみのもうひとつが、
季節の夏野菜。で、作るラタトゥイユ！
路地モノのズッキーニとトマトとバジルが手に入るわずかな期間にしか
我が家ではこの料理を作っておりません。
何故ならこの季節、このメンバー（野菜たち）で作ったものが
いちばん美味しかったから！
季節に添って実ったものは、お日様と土地の力を
無理なく吸収しているからか、
存在としても無理が少ないんじゃないかなと。
で、そういう物を食べていると、体も無理がない状態で
居られるように感じています。
【ラタトゥイユ レシピ】
・トマト 2〜3個
・ズッキーニ 黄色と緑1本ずつ
・玉葱 1〜2玉
・バジル 1束
・塩（良いお塩を使うのがポイント）
・ブラックペッパー（粗挽きのもの）
・オリーブオイル
①みじん切りの玉葱をオリーブオイルでしんなりするまで炒める
②さいの目切りのズッキーニを軽く火が通るまで炒める
（気分で白ワインを入れるときも）
③さいの目切りのトマトを入れ、馴染むまで炒める
④ざっくり刻んだバジルを入れて少し煮る
⑤塩とブラックペッパーで味を整える
⑥仕上げのオリーブオイルはお好みで
（塩麹や味噌を少し入れると、味に深みが増します）
こちらはパプリカですが、トマトを器にした肉詰めも
この時期限定の楽しみな一品＊
夏は体を冷やすものが実り、
冬は温めるものが実る。
路地モノに限定することで、
「この時期しか食べられない」楽しみと、
「今日何を作って何を食べたら…」という迷いも無くなり
とてもすっきり、シンプルに食と向き合えるようになりました。
例えるなら、解脱できたような快適感！（笑）
その時の気温、天気、体調と相談して
今採れるものをいただく。
もし、今日のご飯で迷っておられたら、
試しに季節のものだけで、一品を。
蓮の茎で折られた曼荼羅が御本尊の
當麻寺をご存知でしょうか。
牡丹の季節がお気に入りですが、夏の盛りも涼やかな場所です。
その曼荼羅を織った中将姫、
を主人公にした折口信夫の小説『死者の書』、
を漫画にしたこちらの作品も合わせてぜひ＊
【まつしたゆうり・プロフィール】
絵本作家・イラストレーター。
「心をつなぐ、扉を描く」ことを大切に、ここではないどこかへ、心をつなげる絵を描いています。
滋賀出身、大阪在住。大阪芸術大学デザイン学科卒。
植物と日々着物暮らし、鳥は愛でるのも食べるのも好き。
2021年【出版予定】
● 絵本『イナバのしろうさぎ』（よはく舎）
古事記に登場する物語を、新しい視点と解釈で描きます。
● 書籍『大伴家持くんの本』（河出書房新社）
万葉集の面白さ家持くんの良さを、ゆるっと楽しくお届けします。
典文学を今の感覚で、分かりやすく楽しく伝える活動も。
▶共著『よみたい万葉集』（第5刷）
▶インスタライブ「歌と古典のおはなし」毎週土曜AM11:00〜
（アーカイブはインスタアカウントから無料で観れます）yuuli_illust
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