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浴衣暮らしと夏土用

こんにちは、夏は浴衣暮らしの、絵本作家まつしたゆうりです。
暦では7月22日から「大暑」。

起きている間も寝ている間も汗をかくので
この時期は浴衣が手放せません…!

素肌に浴衣の心地良さ

ゆうりちゃん1

浴衣とは

湯帷子(ゆかたびら)の略。
木綿の単衣(ひとえ)の着物のことで
夏の普段着、湯上がりに着用する。

ということで、元々は湯上がりに着るもの。
汗をかく前提で作られているからか吸収率が抜群で!!

私が愛用しているのはコーマ地のもの。
木綿の丈夫なコーマ糸を使った平織りの生地で、
手ぬぐいを少し厚くしたようなしっかりとした質感。

洋服用の生地で作られたものより確かさがあり、
着ていてさらり、ぴたりと肌に寄り添う感じが
何とも心地よく…。

なので、絶対に素肌に着てほしい。

浴衣というと旅館などに置かれている
ペラッペラのものを想像される方が多いようなので
声を大にして言いたいのですが、全ッ然違うから!!!

昨年に夏の浴衣暮らしを始めてから、一日中着ていたくて。

洗うのも簡単で、中性洗剤で軽く押し洗いして
(ネットに入れて洗濯機の人もいます)
干すとだいたい一晩で乾きます。
(糊をつけると吸水性が下がるので、
普段使いをするならナシをオススメします。)

毎日「今日はどの柄を纏おうかな」とわくわくしますし、
絹のものより断然、家事をするのも気遣いなくできます。

普段使いの気楽さ、湯上がりに着る心地よさ、
寝ている間のゆったり感を
ぜひぜひ味わっていただきたいです。

ゆうりちゃん2

季節の移り変わりに合わせて、いろいろな花の模様を。
絞りのものもサラリとして着心地良い。
母から譲り受けたものも幾つか。大切に着ていきたい。

ゆうりちゃん3

帯は兵児帯が楽だけど、家の中だけなら
暑い日は締腰紐だけで過ごすことも。
(帯締めや帯留めは、家の中だと基本しません。)
常に「楽さ」を大切に。
 
(着用の兵児帯はこちらのもの↓)
寝るときはだけると寒い人は、薄手のレギンスや
キャミソールを下に着ておくのもありです。

そろそろ始める秋準備

そして8月7日から「立秋」で、実は秋がすぐそこだったりします。
(早い!)

「まだまだ暑いから」と油断して夏のつもりでいると
秋に体調を崩すパターンが多かったので、
私は毎年「立秋」までの夏土用を特に気をつけて過ごしています。

夏土用とは

ゆうりちゃん4

【夏土用】
2021年は7月19日(月)~8月6日(金)
 
・夏と秋の切り替え期間(立秋直前の約18日間)
・なので体調を崩しやすい
・無理しない
・土いじりしない
・体調を切り替える
・「う」のつくもの、黒いものを食べるといい

土いじりをしないのは「土の中に神様がいるから」
と言われていますが
体調を崩しやすい時期に「無理をしないように」
という配慮からとも言われています。

あと、この夏土用期間から体を冷やす野菜を少し減らしてゆき、
秋の乾燥を補うものを増やしています。

乾燥を潤す食べ物は白いもの、
白キクラゲ、山芋、蓮根、ナシなどです。

オススメ乾燥対策おやつは、また次回に*

夏土用の梅仕事

ゆうりちゃん5

夏土用の定番といえば「梅干し干し」!

「夏土用期間は必ず晴れる」ということで
6月に漬けた梅をザルに敷き詰め毎年干し干しします。

最低3日は干す✕3くらいをするので(今年は20kg漬けた)
毎年この期間は家で大人しくするしかなかったりもします(笑)

ひっくり返しながら干すたびに
梅の色が淡い黄緑から柔らかな赤へと変わっていくのが
毎年不思議でなりません…お日様の力って凄いなー!

梅干し干しの時の記事はこちら↓
ちなみに梅干しと鰻の食べ合わせは良くないので
気をつけてくださいね。

万葉時代も夏土用に鰻

「土用丑の日は鰻」というのは
江戸時代に平賀源内が鰻屋さんのために考えた
キャッチコピーということで
「最近広まった風習なのかなあ〜」と思っていたのですが
万葉集の頃から「夏痩せには鰻」という考えがあったそう!

万葉集 3853 大伴家持

痩せたる人を咲(わら)へる歌

石麻呂(いはまろ)に 吾(われ)物申(ものまを)す
   夏痩せに 良しといふものぞ 鰻(むなぎ)取り食めせ

(訳)石麻呂くんに僕は申し上げます、
   「夏痩せに良い」と言うものです、
    鰻を取って召し上がれ

こんな昔の時代から、夏痩せに鰻を食べる風習があったなんて!

石麻呂さんは物凄く痩せた人だったようで、
それで宴席でからかう歌を詠んだそう。

当時は蒲焼はまだなく、ぶつ切りにして焼き、
調味料は後から付けて食べていたそうです。
(調味料は貴重だったので、食材や鍋に入れるようになるのはもう少し後の時代)

この歌には続きがあります。

万葉集 3854 大伴家持

痩(や)す痩(や)すも 生けらばあらむを
 はたやはた 鰻(むなぎ)を捕(と)ると 川に流るな

(訳)痩せに痩せていても、生きていたら充分だよね。
   もしや鰻を取ろうとして、川に流されないでね。

あまりに痩せてるから、川の流れに耐えられず
流されちゃうんじゃ…と詠んでいます。
そこまで痩せてるの?!(笑)

実は石麻呂さんを「痩せてる痩せてる」とからかってる家持くんも
「物凄く痩せてる」と歌に詠まれていて、彼女から
「茅花を食べて太りなさい」と言われていたりします。

痩せてる人が痩せてる人をからかうからこそ、
嫌味にならずに「お前もやん!」と、ほがらかなツッコミが
まわりからも入っていたんじゃないかな〜と
あたたかい笑顔の団欒の景色が浮かぶ歌です。

夏バテで食欲が無くなりがちな時期ですが、
養生して楽しき秋を迎えられますよう。
(鰻も「う」のつく食べ物ですよー。)

まとめ

と、いうことで夏だと海に山に、
開放的に出かけたくなる人も多いかもしれませんが
(暑いので引きこもりたい人もいるかもですが)
冷たいものをとりすぎず、胃腸を休めながら、
土用にはのんびりお家を整えたり
美味しい保存食を作ってみるのはいかがでしょうか。

次回は

万葉集では秋の景色、七夕と
まだまだ暑い季節に大活躍の浴衣のお話を*

ゆうりさん

【まつしたゆうり・プロフィール】
絵本作家・イラストレーター。
「心をつなぐ、扉を描く」ことを大切に、ここではないどこかへ、心をつなげる絵を描いています。
滋賀出身、大阪在住。大阪芸術大学デザイン学科卒。
植物と日々着物暮らし、鳥は愛でるのも食べるのも好き。
 
2021年【出版予定】
● 絵本『イナバのしろうさぎ』(よはく舎)
 古事記に登場する物語を、新しい視点と解釈で描きます。
● 書籍『大伴家持くんの本』(河出書房新社)
 万葉集の面白さ家持くんの良さを、ゆるっと楽しくお届けします。

古典文学を今の感覚で、分かりやすく楽しく伝える活動も。
▶共著『よみたい万葉集』(第5刷)
▶インスタライブ「万葉週話」毎週土曜AM11:00〜
(アーカイブはインスタアカウントから無料で観れます)yuuli_illust

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ゆうりちゃん

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ゆうりちゃん7


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