奈良美智って、どうして欧米で人気なの?
海外でも有名な日本人アーティストといえば、草間彌生、村上隆、奈良美智。草間彌生さんは、1950年代からニューヨークのアートシーンで活躍した前衛の女王ですが、近年は無限に続く水玉模様の作品が幅広い世代に受けています。
村上隆さんは日本のアニメとマンガ、フィギュアをアートの域に高めたオタク系アートの創始者として知られています。
では奈良美智さんはどうでしょう。
一見すると子供の落書きのようにも見える、目の釣りあがった女の子を描いた一連のドローイングやアクリル絵具の作品がなぜそれほどまで評価されるか、日本人にはなかなか分かりづらいのではないでしょうか。
その理由のひとつは、女の子というモチーフにあります。
欧米ではレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナリザ》やフェルメールの《真珠の耳飾りの女》など有名な女性像はありますが、いずれも成人女性です。
ルノワールは自分の娘など例外的にたくさんの女の子を描いていて、なかでも《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像》が傑作とされています。しかしそこに描かれた女の子も、子どもというより、成人へ近づく女性的な魅力の肖像です。
小学生くらいの女の子を描くことは欧米では一般的ではありませんし、まして女の子の心のありようを捉えたり、大げさに言えば女の子の存在そのものをモチーフとした絵画はないのです。
奈良さんは、刃物のような目で睨み付ける表情と現代アート的なマンガの手法で、「恐さ」「危うさ」まで含んだ子どもの姿を捉えたと評価されたのではないでしょうか。
奈良さん以前には、レオナール・フジタこと藤田嗣治もまた白い肌の少女を描いてパリの画壇で人気になりました。
日本画などでは童女はよく描かれるモチーフなので、日本人には馴染みがありますが、それを西洋の文脈の中にうまく置いたところに奈良芸術のひとつの意義があるように思います。
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