I'm drowning!
以前の記事で ChatGPTに何が面白いのか尋ねてみた英語の小話について、Claudeにも同じ質問を投げかけてみました。
ガリレオ:次の文章はどこが面白いのですか?
Claude:
やるやん( ̄∇ ̄)
ChatGPTの回答が「ちょっと何言ってるかわからない」状態だったのに対し、Claudeは「守衛が文字通りの解釈しかしていない」・「溺れているのならば助けることが期待される」といったポイントを押さえており、ChatGPTを凌ぐという定評はダテじゃないという印象はあります。
Claudeの方が「より人間らしい」理解力を持つという評価もなされているようですが、その人間らしさの一因を言語学者的に説明すると、語用論 (Pragmatics)に関わる推論能力に長けているという言い方ができます。
Coffee would wake me up.
そこで、語用論研究の中で有名な例文を Claudeと ChatGPTに分析してもらいました:
この会話において、Bの発話の意図は、前提とする文脈に応じてあいまいになります:
果たして AIは、このような語用論的な推論を行うことができるのでしょうか?
Claude:
せっかくなので日本語の要約もしてもらいました:
ところどころ日本語訳が不自然に感じられる箇所もありますが、Bの発言の解釈については文脈理解も踏まえて適切に行えているという印象です。
3として挙げられている内容について補足すると、
…といったように、なぜそのタイミングでコーヒーを勧めてきたのか Aの意図を問い返すもので、確かにその可能性も考えられるでしょう。
ChatGPT:
日本語で要約してもらった結果はこちら:
回答内容を全部まとめてしまったせいで、そもそも結論がズレてしまっているのですが…1と2については一定の評価は可能という印象。1ではコーヒーの覚醒作用が beneficialであると考えている点、2では「既に目が覚めているか、他の理由でコーヒーはいらない」という文脈も踏まえられています。
しかし気になるのは回答3の内容で、それに従えばAとBの会話は:
…Aの立場なら「いや、それでどっちだよ!?」とツッコミたくなります。
以上のことから、やはり語用論的な推察能力という観点からは、ChatGPTよりも Claudeの方に分があると言えるでしょう。
考察
ただし、本記事では「Claude > ChatGPT」と結論づけたいわけではありません。あくまでも、より人間っぽいやり取りが可能であると思われている Claudeについて、言語学の視座から背景となる要因のひとつを語るならば、語用論的推論能力というキーワードに関わる処理能力に強みがあることを示唆するものです。
使い分けの基準を考えるならば、生成AIに対して「明確にこれをやってほしい!」というタスクが決まっているならば、ChatGPTの方が優れている部分がある可能性も充分に考えられます。他方、Claudeの「察する力」を活かすならば、対話の中でアイディアを生み出したり明確化していきたい場面で使いやすく感じるかもしれません。
ガリレオ個人的には、人工言語に基づいた言オリ的なパズルを作問する実験を行っているのですが、そのタスクでも Claudeの方が「気が利く」感じはしていますね。
おまけ:風と桶についても考えてもらった。
Claude
ChatGPT
Gemini