望遠鏡はどうして逆さに見えるの?
こんにちは、星空案内人のまいの(mai-no)です。
月を望遠鏡で覗いてみると逆さに見えていることに気づいてくださるお客様がいらっしゃいます。
答えを簡単に説明するのであれば「光が屈折(反射)するから」ですが、これで納得できたら誰も苦労しませんね…今回はこちらの疑問について解説させていただきます。
レンズは屈折・鏡は反射
望遠鏡は遠くのものを近くに見せてくれるためのものですが、その仕組みに必要なものがレンズや鏡です。
これらを利用して光を集め「像」という仮の姿のようなモノがつくられます。
その「像」を私達は見ているのですが、光がレンズを通る際どうしても屈折してしまうため(鏡であれば反射してしまう)逆さに見えます。
下の写真は望遠鏡と同じつくりを身の回りにあるもので試したものです。
・左には太陽に照らされ、明るく輝く惑星(を模したパグのフィギュア)
・真ん中にはレンズ(凸レンズという真ん中が膨らんでいるもの)
・右は白紙 を置いて像を見やすくしたものです。
リボン部分の赤い光も、体の青い光もレンズを通った瞬間曲がっていることがわかりますか?光は基本的に真っすぐ進むのですが、こうしてレンズを通ると屈折する仕組みになっています。
逆さだとなんだか変な感じがしますが、天体望遠鏡は基本的に「天体」を見るものなので逆さでもあまり問題ないといわれています。
そもそも天体に上下があまり決まっていません。
むず痒い感覚ですが、南半球に住んでいる人からすると「何で星座逆さなの?!」と感じるのと同じですね。
双眼鏡が逆さにならない秘密
「じゃあなんで双眼鏡は逆さじゃないの?」と感じますよね。
双眼鏡は主に地上のモノを見るためにつくられているため、逆さでは困ってしまうんです。
動物やまわりの景色、スポーツ観戦を逆さで見るのは苦しいですよね。
そのために「プリズム」が内蔵されていて、逆さに見えないよう工夫されています。
天体望遠鏡もプリズムを使えば良いのではないか?
と思う気持ちもわからなくはないのですが、プリズムを使用すると集めた光の量が落ちてしまいます。
ほんの僅かなのですが、天体は何よりも「光」が大切なので天体望遠鏡にはあまり使用されていません。
望遠鏡を覗く機会があったら天体だけでなく、是非まわりの景色も見てみてください。
逆さになっている世界もまた、面白いですよ。
文:まいの(mai-no)星空案内人千葉県出身。本職を星空案内にしたい、明るさと元気が取り柄の看護師。宇宙や星も大好きだけれど、食べ物・音楽鑑賞・書道も大好きです。
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