この道を登るのが好きで CL1節 アトレティコvsライプツィヒ(H) 2024.9.19
わけのわからないレギュレーションに負けず。今年も頂点を目指す戦いが始まる。ちなみに先季の1節ラツィオ戦も9月19日でした。またやっていきましょう。
今季のアトレティコの対戦相手は
vsライプツィヒ(H)ポット1
vsベンフィカ(A)ポット2
vsリール(H)ポット3
vsパリSG(A)ポット1
vsスパルタ・プラハ(A)ポット4
vsスロヴァン・ブラチスラヴァ(H)ポット4
vsレヴァークーゼン(H)ポット2
vsザルツブルク(A)ポット3
よくわかりません。わかるのはこの初戦がいきなりポット1との試合だという事。ただしポット1との試合が引き分けokなのか、ホームだから必勝なのか、もよくわからない。ちなみに予習もやりにくいので直前の試合をちょろちょろ見るだけになると思います。ライプツィヒに関してはこの試合が終われば永遠に利害関係がないと考えると予習する気が全く起きず、ノー勉で挑みます。
こちらのテンションの上昇を積極的に邪魔されている気分で気に入らないが、不変な事はある。CLの借りはCLでしか返せない。さて、頂点を目指そう。
という事でライプツィヒの話。
ブンデスリーガに昇格してきたばかりの頃は嫌われ者だったが最近はどうなんでしょうか。23-24シーズンはブンデス4位。CLは決勝トーナメント初戦でマドリーに負けた。え、ポット1なの?
ドルトムントの監督をやっていたマルコ・ローゼが就任3シーズン目となる。ケビン・カンプル、ヴィリ・オルバン、ユスフ・ポールセン、ペーテル・グラーチ、ルーカス・クロスターマンなどは"お前らまだいんのか"枠で愛着がある。ライプツィヒが出始めの頃ってJsportsでプレミアとブンデスをよく見られた時代だったので、それとなく記憶に残っている選手達。あとはザビツァーとかね。
今季は開幕3試合で2勝1分。レヴァークーゼンにいつ振りだかわからない黒星を付けている。やっぱりおれの元にはレヴァークーゼンの負けた情報ばかり入ってくる。
アトレティコとの前回対戦は19-20シーズンのCL準々決勝の一発勝負。結果は1-2ながらナーゲルスマンのチームに内容でボコボコにされた事がシメオネのチームの転機だったと今でも思う。試金石としたい。
●スタメン
・アトレティコ
オブラク
ル・ノルマン / ヒメネス / ヘイニウド
ジョレンテ / デ・パウル / コケ / リケルメ
グリーズマン / コレア / アルバレス
3CBはヘイニウドがスタメン。
左はリーノではなくリケルメ。
コレアが今季初スタメンとなった。
・ライプツィヒ
グラーチ
ヘンリヒス / オルヴァン / ルケバ / ラウム
ハイダラ / フェルメーレン / シャビ・シモンズ
ヌサ / シェシュコ / オペンダ
3CBではなかった。
カンプルがウォーミングアップ中の怪我で欠場。たぶん代わりに入ったのはフェルメーレン。早速の再会となった。
●前半
ライプツィヒは4-4-2風。
シャビ・シモンズが縦パスの受け手と思われるが、まずビルドアップ隊のクオリティに問題が。普段4バックはどれくらいやっているのでしょうか。アトレティコは前プレを準備していたが、4バックが予想できていたのでしょうか。素晴らしいスカウティングでした。
アトレティコのスイッチはGKグラーチにボールが戻るタイミング。主にアルバレスがボールを離したCBにカバーシャドウを掛けながらスイッチオン。グラーチはここで前線に蹴り出す事はリターンが少ないと思っているのか、簡単にはボールを離さない約束事なのかだが、グラーチが離した先に特に狙いが見られなかったのでアトレティコはおそらく"グラーチは蹴らない"事まで含めてスカウティングできていたと思われる。
大外低い位置で簡単にハマり、縦関係の2トップ目掛けてロブパスが出てきてここを高確率で回収した。正直シェシュコとオペンダはでかくて速いのでこれだけで割とチャンスは作れそうだがル・ノルマン/ヒメネス/ヘイニウドでロングキックを回収できないなどという事は基本的に許されない。ロブパスに可能性が見えなかったライプツィヒはたまに足下を狙った配球を狙ったが、オペンダとヌサはわかるがシェシュコとシャビ・シモンズも大して収まらず全然進めなかった。ここは拍子抜け。
それにしてもこの日のアルバレスは63分の交代まで最前線のプレスに走り続けた。スピードも連続性も素晴らしかったです。15分にはグラーチのミスを誘って決定機を作っている。25分にはフェルメーレンが中央で足を止めたところをグリーズマンが狙ってコレアに決定機。それで得たCKから再度コレアに決定機。前プレは概ねリターンがあった。上出来。
ただし4分。デ・パウルが敵陣PA付近でボールロストするとライプツィヒがロングカウンター開始。中央を走ったシェシュコががむしゃらに速かった。オペンダのシュートはオブラクが阻んだがこぼれ球をシェシュコが押し込んで早速ライプツィヒが先制した。このシーンを含めてデ・パウルはある意味彼らしいボールロストが多い前半だったが、彼のチャレンジが同点ゴールを生む事になるので彼の功罪はなかなかワンプレーでは語れない。だから愛されるんでしょうね。
さてアトレティコのボール保持。ライプツィヒは4-4-2のまま非保持配置。早々に先制した事が影響しているのかはわからないがアトレティコ最終ラインの保持をある程度放置した。
ライプツィヒはグリーズマンを自由にしない方法を模索していたようで、序盤からハイダラがマンツーマンで割とついてきた。結果的に中盤中央はフェルメーレンの対応範囲がかなり広くなり、ここにデ・パウルが突撃してくるとジョレンテ周辺の対応が難しくなっていった。オルバンとルケバのCBコンビもコレア、アルバレスの機動力への対応が得意ではない様子で、この2トップの人選も十分にアトレティコ側の狙いが可視化された。スルロットがいない分クロスではなくユニットのコンビネーション侵入に拘ったが、この2トップは激しい再奪回も担保し、ここでもただロングキックで逃げるだけではリターンを期待できないライプツィヒを度々ハメる事ができた。この再奪回を外されると逆にピンチになっていたアトレティコだが、ある程度のリスクを晒してでも積極的なプレスを優先したのはシンプルにライプツィヒを下に見ていたのだと思う。この試合の3ポイントを相当重く見ていた感がある戦い方だった。トランジションで3CBの警告もそれなりに許容していたと思われる(前半のうちにル・ノルマンがシェシュコを止めて1枚もらった)
アトレティコの同点ゴールは28分。ビルドアップでデ・パウルが全く周りが見えていないロストをしたがアルバレスのプレスバックに助けられて再度前進。失敗しても躊躇しないのがデ・パウルの良いところ。コレアのターン&パスでジョレンテが余裕を持ってクロスを上げ、ゴール正面でグリーズマンをどフリーにしてくれる出血大サービスまでいただいて右足ボレーで決めた。いいんですか。ボールを離したデ・パウルが止まらずニア侵入しているのが好印象。
このゴールでライプツィヒは前線のプレス強度を上げる。ちなみに何故同点になって強度を上げるのかはよくわからない。ボールを取り上げないとまずいと思ったのかもしれないが、それは4-4-2でやる以上最初からわかっていたような気もする。
両SHのヌサとシャビ・シモンズの意識が前を向いてアトレティコのビルド隊5人に向かっていくが、こうなれば当然グリーズマンが左、そしてデ・パウルが右大外へ大移動して簡単にボールを進められる理想の展開になっていった。当然この形だとハイダラはついてこないのでグリーズマンは自由を得ていった。コレアがライン間に位置して左右のポケットへ侵入を開始して至る所でルケバとぶつかってお互い痛そうだった。ライプツィヒは結局配置が前後分断していき、中継点を用意できない状況に陥っていた様子。ビルドアップは相変わらず捕まり続け特にフェルメーレンはこのレベルでは少し厳しそう。末長くよろしくお願いします。ロングボールも数回フリーで蹴れていたが意図的に放置されていたのかと思われるほどとんでもないところに飛んでいた。
●前半終了
1-1に追いついて前半終了。
前プレを選択したアトレティコは再奪回を外されてロングカウンターを喰らい失点。11分にも中央ルートを抜けられてシャビ・シモンズ→シェシュコで得点機を作られたがヘイニウドが止めている。
ライプツィヒの4-4-2が何を意図するものなのかわからない上、前段の通りこの試合が終わればリターンマッチもないのでライプツィヒのサッカーに想いを馳せる事は二度とない。よって理由はなんでもいい。アトレティコはラッキーだった。
ライプツィヒが3CBであればアトレティコのプレスはここまでハマらず、WBを中継点にして押し込む時間も作られただろう。そうなればライプツィヒの2トップは裏抜けとPA内に集中できるようになっていたはずで、ライン間で苦手な仕事に駆り出される事もなかった。SBでのラウムはびっくりするほど窮屈そうで、アトレティコ来ない?という感じ。ヌサは前方プレスとカウンターのランナー担当だったかもしれないが、オペンダが右に流れてくるので仕事はなかった。
アトレティコは久しぶりの前プレが気持ちよくハマり、敵陣で試合をした。私事ですが前プレの作図するの楽しい。
いきなりの失点にも心が揺れない余裕を持てたのは上出来で、ジョレンテ周辺のムーブをやらせてくれるのはCLならでは。ラリーガではさすがに対策される。その意味でもポケットを狙うコレアのスタメン起用は大ハマりで、デ・パウルのパスムーブも効果的であった。
今季の試合では最大限にグリーズマンを活かしきった前半で、好き放題ボールを触って動かした。彼がたくさんボールを触った方が周りが自分のやるべき事を見つけやすくなるのはアトレティコあるある。
●後半
ライプツィヒはバウムガルトナーを投入。ヌサと替わってそのまま右に入った。
4-4-2は継続。強度を補完するバウムガルトナーは2分でヘイニウドを蹴っ飛ばしてイエローをもらった。
2点目を求めるアトレティコが狙った変更点は63分。
の3つ。
リケルメはこの日も説得力を出せなかった。保持に困る事はなさそうだったのでデ・パウルの仕事が終わった。
この時間帯にライプツィヒの交代はフェルメーレン→サイヴァルトのみで配置変更は無し。これを確認して66分にモリーナを投入。最終ラインを一枚削って4バック。
右サイドはラウム周辺にジョレンテ&モリーナがアタックしてクロスを狙う形に変えた。スムーズかつ確実性のある変更であり、一点を取りに行く形として納得感もある。
これを見てライプツィヒの選手交代はポールセンとヘールトロイダで、結局配置は変えなかった。
さて、2トップがコレアとアルバレスからスルロットとグリーズマンに変わっている。勝ち越し点を探してボールを握りたいのに相手CBまで圧力が掛からなくなる矛盾を抱えていた。
ライプツィヒはヘールトロイダのインサイドワークとハイダラの移動で保持を作る。ハイダラ、よく走れる選手。これでラウムがようやく高い位置でプレーできるようになり、アトレティコは4-4-2になった事が影響してちょうどラウムをモリーナが見ていればいいのかジョレンテがついていくべきなのか微妙な状況が作られた。シャビ・シモンズ周辺なので慎重に。
この配置だとアトレティコは中央付近の守備をギャラガーとコケの気合に全振りしていく。前を捕まえて最終ラインにボールを下げさせ、ロングボールを蹴らせたらラインを下げてセカンドボールを回収する。大変な仕事だが昔からコケとサウルでやっていたので出来ないという選択肢はアトレティコには許されない。つまりこの4-4-2への変化はギャラガーに出来る事が前提になっていると言える。
77分にライプツィヒはラウムのアーリークロスがポールセンにピンポイントで合って決定機。よそはよそだが、結局ポールセンの方が全然怖い。
アトレティコは敵陣でリーノがヘールトロイダ相手にやる気満々。去年止められていますので燃えてくれないと困る。押し込んで逆サイド、モリーナ→グリーズマンのアーリークロスでお返し。この日のモリーナはビルドアップのルートに迷いが見られたがキックのフィーリングが良かった。
モリーナの登場でシャビ・シモンズは守備に回る時間が圧倒的に増えてピッチにいる理由を失っていき、試合から消された。
アトレティコはスルロットを狙ったクロスでチャンスを作り、最後までクオリティを維持したコケのボール奪取からリーノがPA内侵入。獲得したCKから再三クロスを上げて最後はグリーズマンからヒメネス。ピンポイントで合ってついに勝ち越し。ヒメネスのCLでの得点は18-19シーズン、あの年のユベントス戦以来久々。即座にグリーズマン→ヴィツェルを交代して盤石のクローズ。ポット1相手にまずは勝利でCLをスタートした。
●試合結果
スコアは2-1。決着は90分。しかし今季一番の出来で圧倒した。今季のアトレティコがやりたいサッカーが詰まった90分間は満足度が高い。
前半の構築も後半のペースチェンジも今季のスカッドに準拠した良い形。この選手層だからこそ選べた戦い方だった。前プレと3CBビルドアップ、4-4-2変更とクロス爆撃まで全てがハマっていた。
キーになったのはコケとデ・パウル、ギャラガーの中盤。前プレとボールホルダーへの噛みつき、セカンドボール回収が要求される中でビルドアップとサイドチェンジが蹴れなければならず、デ・パウルはPA内へ決定的なパスを通し続け、ギャラガーはボールハントで特徴を出した。ピットブル。
最終ラインは我慢を続けてあくまでも強気だったのが良かった。ル・ノルマンのキャラクターなんだろうな。どこまでも前向き。ピッチ全体でアトレティコが上回った試合だった。
さて過密日程は続く。週末はラージョ戦。CLは次はアウェーのベンフィカ戦。監督が変わってから調子良いそうです。
やはりこの舞台でしか熱くなれないものがある。CLが始まった。
9/19
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 2-1 ライプツィヒ
得点者
【アトレティコ】’28 グリーズマン ’90 ヒメネス
【ライプツィヒ】’4 シェシュコ
●ピックアップ選手
グリーズマン
勝利を背負って今季のベストパフォーマンスを準備した。
"知っているグリーズマン"だった。頂点へ進む。
デ・パウル
ミスも含めてデ・パウル。推進力を生み出して前半の流れを作った。同点ゴールも演出。もう一息。
アルバレス
最前線で必要な守備タスクを完遂。その先にゴールがあるタイプの選手だよな。
リーノ
「抜けるからボールを寄越せ」とギラギラした30分間。チームに必要なクオリティを示した。
ギャラガー
中盤のボールハントで難しいタスクをやり切った。探し求めていたコケの相棒。
ヒメネス
ラインを保ちでかいFWに仕事をさせなかった。パーフェクトな守備対応の先にご褒美が待っていた。
●myQA
CL1-1 4-4-2発動の条件
さて4-4-2。この日の条件はギャラガーの存在だったでしょう。コケとギャラガーの組み合わせだからこそ前線のプレスと後ろ4枚が両立した。しかも同じメンバーのまま5-3-2でも良かったメンツでやったからこそ熱かった。勝利を呼び込んだ。
CL1-2 左右WBのタスク差
左は単独で対面する相手に向かう事、右はコンビネーションでポケットを取る事と最終ラインの守備に参加する事。リーノは左の必要条件を満たし、リケルメとの差を広げ続けている。