程遠い失態 9節 アトレティコvsソシエダ(A) 2024.10.6
9月から続いた連戦もようやく最後。ソシエダ戦を迎える。
中間のCLベンフィカ戦は疲労の色が濃くまともな試合が出来なかったがここで内容を戻したいところ。前回対戦
ここ2年、開幕早々(4節と9節)、そしてシーズン終わりのほぼ消化試合(37節と38節)に対戦していた事もあってあんまり記憶にない。先季でいうと9節のカルロス・フェルナンデスのスーパーカウンターは覚えてる。38節なんてゴールシーンもわからん。
ソシエダは引き抜きも多かったが調子が上がらず、ELもそんなに強くなさそうな相手に1分1敗。中間は主力を休ませて戦っている。負けたが。
●スタメン
・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / ラングレ
モリーナ / バリオス / コケ / ギャラガー / ハビ・ガラン
グリーズマン / アルバレス
ラングレがアトレティコデビュー。バリオスが8月31日アトレティック戦以来の復帰となる。左はハビ・ガランがスタメンに。雰囲気的にはベンフィカ戦でこういうメンツを期待していた感はある。
・ソシエダ
レミーロ
アランブル / スベルディア / アゲルド / ハビ・ロペス
スビメンディ / スチッチ / セルヒオ・ゴメス
久保 / ベッカー / オヤルサバル
前節バレンシア戦で対人の質が高そうだったアランブルがこの日もスタメン。スチッチは重要な役割になりそう。
●前半
開始1分で先制。ハビ・ガランからグリーズマンにロブパスが出てアルバレスがどフリーになった。スベルディアの対応はあれで良かったんでしょうか。アルバレスにPA内でフリーでシュートを打たせるのは流石にまずいでしょう。左足とはいえ。
アトレティコの守備設定は5-4-1というか5-3ブロック+グリーズマンの立ち位置。左サイドに立ったがメインの仕事は久保へのパスルートを消す事。
ソシエダのCBにフリーでボールを持つ事を許容してコケ&ギャラガーとアルバレスがスビメンディを見張る。今季のソシエダは久保の足下ルートとスビメンディ経由だけ止めれば基本的に機能不全になるが、この日はスチッチの関与が良く久保&アランブルと3人で右サイドを旋回する。結構このサイドを使えていたのでラングレも対応に駆り出された。ただ右サイドからクロスが上がっても全然怖くないというソシエダ側の問題がある。
とりあえずアトレティコは良いボールの奪い方ができず、ソシエダが前線からのプレスを強めた事もあって全然ボールが持てない。バリオスをモリーナと近い位置で起用した意味が全くなかったんだがどうなんでしょう。もう少し落ち着いて保持の時間を作りたかった。
左CBで初スタメンのラングレは守備対応を問題なくこなしつつ、時々良い縦パスも刺していった。グリーズマンを狙って蹴れば良いみたいな要領の良さがある。エルモソじゃないと駄目だよみたいな考えはもう卒業するべき。
前半途中でアトレティコが作った変化点はグリーズマンの立ち位置。30分頃から大外に落ちるのをやめた。これは複数の考え方があり、
の全てが成立し得る。おれの予想ではグリーズマンからの「ギャラガーの対応エリアだしラングレが釣り出されても人数足りてるし、おれが前に残る方が結果的に守備の時間減らせそうじゃない?」という提案だったと思う。成功はしていないが、シメオネの立場からすれば「それはいいけどスビメンディの消し方もちゃんと共有しろよ?」という所だけが確認箇所で、ここはアルバレスが対応するようになっていったがこの辺はピッチ上で判断してチャレンジすればいい範囲だと思っている。そもそもグリーズマンの左落ちが約束事だったのかどうかも微妙に怪しい。
この変更によってあからさまに久保が目立ち始めたわけだが、実際問題として久保に多少の余裕を与えてもクロスであれば別に良いですという守り方が出来ていたので、これで良い。それも結果。42分にカットインしてシュートまでいかれた場面は普通に危なかったが。
問題は守備枚数を減らすリスクに比べて(グリーズマンが想定していたほど)ボールを持てる時間が全く増えなかった方にあり、結局守るだけ守って前半が終わった。コケが最終ラインでボールを引き取って1stプレスを外すようなやり方をあまりやらなかったのがこの日のビルドアップの特徴だったように思うが、あまり理由はわからない。やろうと思えばもう少しできたようにも見える。
●前半終了
1-0で前半を終えた。アルバレスは1分の先制ゴールに加えて11分にも際どい抜け出しを見せている。どちらもグリーズマンとのコンビネーションだったのも良かった。シュートが上手い。
直後のCKでオブラクがチートストップをキメたがそれ以外はある程度危なげなく守った。ベッカーの対応にヴィツェルが釣り出される形は理想的ではなかったがベッカーがあまりにもエキセントリックで何も起きなかった。
とにかく後半で見たいのはビルドアップの改善、という感じ。ボールを持って試合を進めていきたいのはチームの共通理解。
●後半
ソシエダはブライス・メンデスを入れてさらにボール保持方向へ。そしてハビ・ロペスがいなくなったのでいよいよベッカーの突破には何も期待していない感が強まった。
前半の終盤に引き続き、トランジションを中心にソシエダは久保を擦る。ラングレが対応に出るとなかなか怪しい対人対応を連発。よく最後までやり切った。
さて、アトレティコは後半に入っても全くビルドアップが改善せず。もちろんチーム全体の問題ではあるがそれにしてもアルバレスは収まりが悪かった。現状はグリーズマンの近くにいる方が良い。
全体でもう少しバリオスにボールを渡し続ければどうにかなりそうだったが復帰初戦なので気を使われていたのかもしれない。シメオネには一切気を使われていなかったので普通にフル出場したが。
相手が全然状態の良くないソシエダなのでこんな感じでも逃げきれそうな様子だったが良くなかったのは59分の場面。
スチッチが隙間に落ちてきてボールを引き取ってまっすぐゴール方向へ向かう形。オヤルサバルに決定的なパスを出したがハビ・ガランのリカバリーで耐えた。
この場面で問題なのは結局グリーズマンが中盤なのかそうではないのかが曖昧なまま試合が進んでいる事であった。ギャラガーは自分の隣にSHとしてのグリーズマンの存在を認識しているが、グリーズマンは自分が中盤ラインに参加している意識がない。あくまでも5-3ブロックを自分がサポートしている認識のままこの時間まで来ている。この辺は新加入のギャラガーならではのエラーだったように思う。君が対応するんですよという。過負荷だがアトレティコの中盤はそういうもんです。
という事で64分にギャラガー→デ・パウルを交代。
この試合を逃げ切るためであれば最適解だと思う。
今シーズンの新しい取り組み・構築という意味では深化の機会を捨てた交代である。
結局グリーズマンがどうするのが最適なのかが明確にならないまま60分過ぎまで来ているのである。実はこんな試合はそんなにない。珍しいと言える。というかタスクが定まらないなら替えろよというのが筋だ。グリーズマンだから替えなかったが。
別に明確にする必要あるかといえば必ずしもそうではないんだが、実際ふわついたままグリーズマンの立ち位置を理由にピンチを作り、攻撃は改善されないのであればシメオネは最初の交代でやるべき事は「残り時間のグリーズマンのタスクを確定させる事」ではなかったか。あるいはグリーズマンを下げて守り切る覚悟を決める事。このタイミングでその決定を先送りにしたのはシメオネらしくなかったし、不満が残る。
個人的にはグリーズマンを残すならグリーズマンを頂点にした5-4-1以外に選択肢はなかったように思う。
もちろんアトレティコベンチの状況が全てわかるわけではないが、例えば"リーノはこの試合に使えるコンディションではなかった"というのなら話は変わってくる。最近の出来を考えればリケルメの事はシンプルに信用できなかったのかもしれない。おれも信用していない。ヘイニウドを60分からピッチに入れるのは、ラングレがカードをもらった事で躊躇ったのかもしれないが、別にラングレが限界だと思えばその後にヘイニウドを左CBに回してリケルメをWBに入れるでも良かった。それにリーノは普通にアップはしていた。
しかしシメオネの選択は74分にアルバレス→スルロット。グリーズマンのタスクを動かす事はここでも先延ばしにした。結果、5-4で守るなら当然スルロットを頂点にするしかなく、グリーズマンはようやく交代。これが83分である。同時にやっとヘイニウドを投入。その直後にスチッチにゴラッソを頂戴して1-1。逃げ切りプランも予想通りに失敗してドロー決着。
●試合結果
ビルドアップが上手くいかなかった部分を一旦忘れたとしても確実に勝てる試合だった。どの選手を何分起用できるかの部分は外野からの予想でしかなく、まあ何とも言えない。ただ、ベストな選択ができたようには到底見えない。
正直コンディション的に、相手を見て選択する余裕がなかったのもわかる。0-4で負けた直後で慎重になったのも、それもまたわかる。ただし相手はソシエダである。14位。何をしたって勝てる相手だった。久保のところだけグリーズマンがちょろちょろ警戒するだけで勝てる程度の試合。"2点目が取れなかった事"なんていう直接的な話の前に"ピッチをコントロールできなかった事"が残念。それはボールを保持するかどうかではなく、支配することである。できなかった。その原因はなんだろう。先季できていた事ができていない要因はなんだろう。疲労?理由の全てがそれ?そんな事はない。
厳しい日程が終わって代表ウィーク。その先は必勝の戦いが待っている。評価はそこで下されるでしょう。
10/6
レアレ・アレーナ
ソシエダ 1-1 アトレティコ
得点者
【ソシエダ】’84 スチッチ
【アトレティコ】’1 アルバレス
●ピックアップ選手
ラングレ
アトレティコデビュー。保持局面で特徴が出せる要素はありつつ、チームがそれどころではなかった。守備対応は無難にやっていたが後半は久保の対応に苦労した。
ハビ・ガラン
今季初スタメンでまた得点を演出。その後は違いを作れず。やはりWGの後方で起用したい。
アルバレス
開始早々に先制ゴール。トランジションのコンビネーションは改善可能な要素と思いたい。サポートの少ない中で保持の逃げ道を作れなかった。
●myQA
9-1 (4-1関連)グリーズマンの守備タスク
グリーズマンの立ち位置に悩んだ試合だった。実はこういう試合はあまりない。"グリーズマンなしで成り立つ守備組織にグリーズマンの個人能力を付加する"という理想からあまりにも離れてしまったのは疲労を考慮した起用を制限したからではあるが、それとグリーズマンをピッチに置く事に固執してペースを握れなかったのは別問題。反省の多い試合になった。