物足りなさも必要でして 21節 アトレティコvsビジャレアル(H) 2025.1.25
ビジャレアル戦。前回対戦は開幕戦。
2−2の引き分け。開幕戦の時点で出入りの多いバタバタした試合をしていたが、ここまでずっとバタバタしていた。クリーンシート2回だけはエスパニョールと並ぶ最少。31失点した。しかし38得点している。アトレティコより多い。久しぶりに欧州大会がないのが救いで、なんやかんやで5位にいる。
●スタメン
・アトレティコ
オブラク
モリーナ / ヴィツェル / ル・ノルマン / ヘイニウド
ジュリアーノ / コケ / バリオス / ギャラガー
コレア / アルバレス
ラングレとハビ・ガランが累積警告で欠場。国王杯を除くと2人がどちらもスタメンにいないのは11節ベティス戦以来。
ヘイニウドは11月10日マジョルカ戦以来のスタメン。
コケはラリーガに限ると11月23日アラベス戦以来のスタメン。ヴィツェルも同じ。
コレアとアルバレスの同時スタメンはCLベンフィカ戦以来でラリーガでは初めて。
・ビジャレアル
ルイス・ジュニオール
フェメニア / カンブワラ / ローガン・コスタ / セルジ・カルドナ
ジェレミー・ピノ / コメサニャ / ゲイェ / バエナ
ジェラール・モレノ / バリー
ここ2試合はフアン・フォイスが使われていたCBはカンブワラとローガン・コスタの組み合わせ。ラウル・アルビオルからの卒業を進めている。
パレホが少し怪我をしたそうで欠場。前線は久しぶりにコンスタントに試合に出られているジェラール・モレノを起用した。
●前半
ここ最近の両チームの試合とこの日のスタメンを見ればそのまんますぎたのであまり書く事がない前半。そんな事も言っていられないので振り返る。いつも通りに。
アトレティコは想像以上にボールが持てる前半に。"ボールは持てるがラストサード侵入に苦労する"のはギャラガーがスタメンの時の定番なので、ここにも疑問はない。ビジャレアルは思ったよりもボールを開け渡してブロックを置く事を優先した。パレホがいないので望む望まないに関わらずこういう展開になったのかもしれない。
アトレティコはSBのところで時間がありヘイニウドが配球者になる機会が多め。ジェレミー・ピノはヘイニウドに寄せていって背中でギャラガーを消していればOKという守り方で、ギャラガーにボールを持たれる事のリスクをかなり軽く計算していた様子。こういうのは味方に言われるよりも相手にやられる方がダメージがでかそうだが、大外のギャラガーは放置で安牌という考えはもうラリーガ全体で確定している。背中で消される程度のウイングアタッカーはあり得ない。
ギャラガー云々を抜きにしてもグリーズマンとデ・パウルがいなければ中央から進む選択肢が減るのは当然で、コケを真ん中に置いて自分はライン間でボールを受ける側になるバリオスの価値が目減りするのも想像通り。中央から進めないのにFWがちびっ子2人では決定機を作るのが難しいのは当然の事。アルバレスのエリア外からのシュートくらいしか良い所がなかった。途中でバリオスとギャラガーの位置を入れ替えるなどしていたがそんな小細工で解決する規模の問題ではない。
アトレティコはコレアとアルバレスの2トップであれば最前線からの制限が効く。バリオスがゲイェを追いかけてほぼ数的同数で圧力をかけてロングボールを蹴らせる事に成功していた。これはパレホがいれば全然違った箇所でこの噛み合わせのアトレティコ側の優位性。ちなみにギャラガーはコメサニャとキコ・フェメニアをまとめて面倒を見る異次元の守備範囲を発揮している。
29分のアトレティコの失点はPKだが、ビジャレアルは右サイドでジェラール・モレノがボールを出し入れし、アレックス・バエナの出張でプラス1を作り出した攻撃は良いコンビネーション。
ヘイニウドがマンツーマンでついていく部分とル・ノルマンがピノのマークを捨てなかった受け渡しは本来なら問題視したいが、しない。レギュラーの組み合わせではないから。
最後のヘイニウドのチャレンジはPKに値するほどの強いコンタクトには見えなかったが、決定機阻止と言われればそうなのかもしれない。いずれにしてもアトレティコに出来ていなかったPA内でのゴール方向へのチャレンジを簡単に出された時点で悪い形だった。アトレティコもそういう形を作りましょう、というお話。
●前半終了
実はこれで3試合連続で先制点を取られている。こうなるとギャラガーが前半のみで交代するのも既定路線になっていく。
この試合を評価する際に「攻撃面での機能性が」という話はついて回るだろうが、一つ前の試合から6人スタメンを替えておいて機能性の話をするつもりはシメオネにもないだろう。というかこのスタメンを選んでいる時点で苦労するのはラストサードの崩しである事など誰もがわかっているのにそこを問題にするのはイケていない。この時期は機能性とかそういう話じゃなくて点取って勝ちましょうという時期と位置付けているはず。毎年そうでしょう。そろそろ学習しましょう。
それを踏まえてもデ・パウルとグリーズマンが休むならせめてリーノはいた方が良かったと思うが、彼がザルツブルク戦の切り札なのかもしれないし現時点では何も言うまい。前半を0-0で通過すれば後半に1点くらいは確実に取れるだろうという算段があっても良い過密日程だ。おれもそう思うし、実際そうなった。思惑が交錯しながら後半へ。
●後半
アトレティコは決意の3枚替え。個人的には最初からこんな感じのスタメンになると予想していたのでようやく平準化された感がある。
独り言だがハビ・ガランがしばらく離脱しそうでマドリーダービーが近いこのタイミング、ヘイニウドを左SBにする4-4-2を早めに45分間テストする事が目的だったという論はいかがだろうか。"そんなもんテストしなくても結果はわかっていた"という反論は、あっても良いと思います。
後ろが4枚だろうが5枚だろうがそこが問題になる事はないと思っている最近のアトレティコだが、後半開始からネガティブトランジションに大いに問題あり。開始早々ル・ノルマンがバリーに対応したところで入れ替わられて大ピンチ。直後にも右サイドで深追いしてバエナに抜け出されて4人vs3人のカウンターを喰らう。ただしその問題をぼやかしてしまう程にデ・パウルの神出鬼没な侵入とリーノの打開が効果的でゴールへ迫っていく機会を作り始めた。デ・パウルは本当に何をやっても上手くいくゾーンに入っているし、デ・パウルがボールを持つと味方全員が彼から決定的なパスを受けた事がある経験を元にゴール方向へアタックを始める良い循環がある。守備でもデ・パウルが2トップと協力してボールを追いかけるとビジャレアルは何故か勝手にバタバタして簡単にボールを蹴り出してくれた。これで敵陣でプレーする時間帯を作り、58分にセルジ・カルドナの目的不明なスライディングをモリーナが交わした所を起点にポケット奪取。リーノの同点ゴールが生まれた。選手交代をきっかけに展開が変わって敵陣でプレー。デ・パウルとリーノの質が流れを変えたのも良かった。デ・パウルを起点とする事でバリオスもボールサイドでプレーできる。前半の内容からのリカバリーは完璧だったと評価できる。ここでコレア→グリーズマンを交代し、勝ち越しを目指す事になった。
ビジャレアルは68分に前線を3枚交代。
これでカウンターが速くなって困る、というような事案はなかったが、それにしてもCK含めゴール前にクロスを上げられる機会がそれなりに多かったが、ビジャレアルも何回あっても点が入る雰囲気がなかったのは助かった。アトレティコはジョレンテを入れて最後の1点を求めたが86分にグリーズマンのヘディングが惜しかった程度で決定打はなく、引き分け決着。
●試合結果
せっかく首位で年を越したがなかなか勝てない。この試合に関しては、前半0-0で後半どこかで点が取れたら良いね、という内容になってしまったのはレヴァークーゼン戦とザルツブルク戦の比重が重かった事とラングレとハビ・ガランが出場停止だった事に理由を求めたい。
それでも前半の11人は"そりゃそういう内容になるわな"という人選で、PKを与えてしまえばゲームプランが崩れるのも必然であり、少し丼が小さい戦いを自ら選んだ印象はある。ただ連勝中もハビ・ガランの攻撃性能で勝っていたわけではない事を考えれば、求めるのはグリーズマンとデ・パウルの不在の方で良い。この2人はここで休むべきだったので仕方ないと結論付ける。だったら2人がフル出場したレガネス戦の方を勝っておきたかったが過ぎた事だ。
サッカーとはそういうものなのかもしれないがこの日のビジャレアルが特別良かったわけでもない。悪くもないが。
パレホがいないのが主な原因だが、この日のアトレティコ相手ならもっとボールを持ちたかった。ゴール前の説得力もあまりにもなかった。特にセットプレー。後半はアトレティコの波に飲まれてからの選手交代だったのでなかなか良化させるのも難しい試合になった。
さてザルツブルクとのアウェー戦へ。プレーオフの2試合を飛ばしたいのでここは必勝。その先はマジョルカ(H)、国王杯ヘタフェ(H)、マドリー(A)、セルタ(H)まで遠征なし。まだまだ足りない。もう一度連勝街道と行きましょう。
1/25
リヤドエア・メトロポリターノ
アトレティコ 1-1 ビジャレアル
得点者
【アトレティコ】’58リーノ
【ビジャレアル】’29(PK) ジェラール・モレノ
●ピックアップ選手
デ・パウル
後半から投入。明らかに展開を変えた。キックのフィーリングはよくなかった。
リーノ
左サイドを押し込む価値を見せた。得点シーンは当然のようにゴール前にいたがあの位置まで入り込めるのがバリュー。
バリオス
前半は普段と違うタスクで高い位置でプレー。想像通り効果的なプレーはないまま後半、普段のタスクへ戻っていった。
●myQA
21-1 中盤の組み合わせ
何度もしつこく繰り返すが中盤の組み合わせの話を何度も書く。
先季までの記憶を全部消したとしても今のアトレティコの4-4-2の組み合わせは一人が中央に留まるビルドアップ担当でもう一人は高い位置で仕事をする。高い位置というのはライン間なのかもしれないし、右サイドでジュリアーノを走らせる仕事なのかもしれないし、サウルのようにゴール前に飛び出す仕事なのかもしれない。そこでバリューを出す必要がある。それがチームに必要。
バリオスは序列を駆け上がったイメージがあるがそれはあくまでもビルドアップ担当。高い位置では引き続きアイディアが出ない。まあデ・パウルはその逆ではあるが。コケが2人を補完する事でスカッドが完成する現状。もう一枚欲しいんじゃない?という感想。さて。