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マドリードの魔法使い 25節 アトレティコvsバレンシア(A) 2025.2.22

18位バレンシア戦。前回対戦。

年末の監督交代後は3勝2分2敗(未消化だったマドリー戦含む)と好調。負けたのはマドリー(未消化12節)とバルサだけで、年明け(19節以降)の成績は全体の6位で降格圏脱出目前。冬にはウーゴ・ドゥーロの控えにウマル・サディーク(←ソシエダ)を補強しどうにかなりそうな感じが出てきた。ホームのここは引き分け以上が欲しい。


●スタメン

・アトレティコ
オブラク
モリーナ / ル・ノルマン / ラングレ / アスピリクエタ
ジュリアーノ / デ・パウル / ジョレンテ / リーノ
グリーズマン / アルバレス

コケが負傷でしばらく離脱。バリオス出場停止のCHにはジョレンテ。
前節休んだラングレが復帰。アスピリクエタはCL8節ザルツブルク戦以来のスタメンだが、ラリーガに限るとなんと14節アラベス戦以来3ヶ月ぶりのスタメン。

・バレンシア
ママルダシュヴィリ
フルキエ / タレガ / モスケラ / ガヤ
ペペル / バレネチェア / ハビ・ゲラ / イバン・ハイメ
サディーク

中盤はバレネチェア。冬加入のイバン・ハイメは初スタメン。
トップはサディークがこちらも初スタメン。



●前半

・2トップの守備参加
・右サイドのトライアングル+グリーズマン
・グリーズマンの魔法

お品書き

バレンシアは前節ビジャレアル戦で見た形と非常に似ている。3バックに基づく形を採用しつつ人を変えるフェーズの様子。

バレンシアは3CBと2CHで保持確立。アトレティコは普段通り4-4-2で構え、2トップで曖昧に配球を阻害しながらモスケラに対してデ・パウルが出ていく。アトレティコの右サイドはSHのジュリアーノがガヤを警戒する役割でイバン・ハイメにはモリーナがある程度ついていく約束。イバン・ハイメがブロックの外へ出ていく際に誰が見るのかモリーナが頻りに確認していたがデ・パウルは無視していた。ここは正直グリーズマンが落ちて守備に参加するかどうかで判断が変わるのでデ・パウルの気持ちもよくわかる。聞かれてもわからん。

さて、前節ビジャレアル戦でバレンシアが問題としていたのはボールが相手ブロックの外を回る事に終始し、さらに対人で勝負できる箇所が無いためブロックの内側へパスが入っていかない点であった。その解決策を模索するためのこの日のスタメン選択と考えると割と納得感はある。イバン・ハイメはブロックの内側、ライン間でボールを受けられる選手であり、サディークはブロックの外からハイボールを放り込んで勝負できるタイプのFWである。
矛盾を感じたのは右サイドで、左利きのルイス・リオハでは縦突破してクロスという選択肢を持ちにくく、では隣の選手がポケットを取りに行く形を作ろうにもハビ・ゲラはどちらかというとCHの選手だった。WBはルイス・リオハが左で右はディエゴ・ロペスの方がわかりやすそうだが、全体のバランス感との相談なのかもしれない。結果この試合のハビ・ゲラはビルドアップの出口になりながらリオハを活かすために前線へ走ってと大忙しだった。

アトレティコはCHの2人にボールを持たれる事が大してリスクにならなかったのでブロックを置いてボールを奪ってからどうやって攻めましょうか、という試合。

特徴的だったのはバレンシアの左サイド、アトレティコの右サイドの攻防。イバン・ハイメが縦パスを引き出す際にジョレンテが出張して加勢するが、ガラ空きになるゴール正面をアルバレスが埋めて守っていた。亜種としてグリーズマンが守備に参加してアルバレスを前線に置いておくパターンがあった。

どちらが良いという事もないがアトレティコ全体で考えるとどちらでも良くて、どっちのパターンのトランジションが上手くいくのか交互に試しても全く問題ない。このアルバレスの仕事はスルロットは流石にやらないのでこの2トップの補完性の高さである。10人でプレーする試合が最近多かったのでこういう交互に休むみたいなパターンの練度が上がっているのかもしれないし、グリーズマンが守備に参加するタイミングが気まぐれなのでアルバレスの気が利くだけかもしれない。自分は後者寄りの前者のエッセンスだと思っている。


アトレティコの攻撃。この日のテーマは右サイドのトランアングルにグリーズマンが強くコネクトする事。バレンシアが非保持5バックになる構成でアトレティコはハビ・ガラン不在。リーノの単独突破を期待するよりは右から進む。

グリーズマンが間に入ってバグメイク。さらにグリーズマンが登場すればデ・パウル→モリーナにパスが渡るタイミングでジュリアーノは得意のポケットランに狙いを切り替えられるのも良い点。さらにCHの片方(ペペル)をこのサイドの守備に連れ出す事でハビ・ゲラに最終ライン手前の守備をさせる事に繋がりバレンシアは前線にサディークしか残せない。そしてハビ・ゲラは疲れる。大変そう。

先制点はこの右サイドの形からグリーズマンがモリーナとのワンツーで抜け出してリーノにラストパス。リーノが得意のバーぶち当てを披露するがアルバレスとジュリアーノが詰めていて決め切った。30分の2点目も全く同じ、デ・パウルを中心に右サイドのトライアングルを何度も組み直して侵入。一度は止められるがアスピリクエタを経由して左サイドでグリーズマンが受け直し、アルバレスにピンポイントクロスを合わせた。グリーズマンの魔法が前半だけで2つ。ゴール前にバレンシアのDFの人数は揃っていたがPA幅より内側でボールを受けたグリーズマンの左足に対してあまりにも警戒が薄すぎる。あの位置でフリーで蹴らせた時点で負け。ロスタイムにはアルバレスが最終ラインからボールを掻っ攫ってハットトリック未遂。


●前半終了

アトレティコにとっては完璧な前半45分。ピンチは37分のサディークのヘディングくらい。CHがジョレンテという事でボール保持に苦労するかと思われたがデ・パウルがあまりプレッシャーを受けずに前を向けた事で簡単に解決していった。バレンシアは悩み事が多い前半。ベンチメンバーのメンツを考えても突然2点差を追いつける状態とは思えず。


●後半

・バレンシアの攻勢
・3CBへ変更
・トドメ

お品書き

バレンシアはウーゴ・ドゥーロを入れて2トップ。最終ラインを4枚に変化。

アトレティコの攻撃の手段を考えれば後ろに5人いる必要はなかったのでこの変更は納得感がある。結果論だが選手交代しなくとも4バックに変化する事はできたので失点する前に変更する事もできたといえばできた。この辺は残留へ向けて仕込みたいシステムとの相談になるのでなかなか難しいお話。他所は他所。アトレティコはハビ・ガランとギャラガーを投入。

後半開始からバレンシアが一気に攻勢に出た。特にガヤ→ウーゴ・ドゥーロのピンポイントクロスは決定機になり55分までに5,6本はシュートを打てた。仕上げはハビ・ガランのハンド疑惑だったが何故か流された。

アトレティコは68分にヒメネスを入れて5バックに変更。グリーズマンを休ませるためコレアも投入した。バレンシアが攻勢になった事というよりも「そういえばル・ノルマン、ヒメネス、ラングレの3CBってあんまりテストしてなかったな」と気づいたような起用。
5-4-1で守りながら、最後はロングカウンターでコレアが試合を終わらせる3点目。


●試合結果

2試合続けて引き分けていたので久しぶりの勝利。特にラリーガアウェーでの勝利は年末のバルサ戦以来久々となった。コケのいない期間に必要になりそうな箇所、デ・パウルの相棒としてのジョレンテ、3CBでの逃げ切りをどちらもテストできたのはポジティブ。過密日程へ向かっていく。

バレンシアは完敗になってしまったが水準以上は守れていた。あとはラストサード打開でしょう。前半の失点2つもグリーズマンを空けた事が致命的だったが逆に言えば空いたら点になるのがグリーズマンのクオリティであってそれを全チームが持っているわけではない。残留に向けての武器は信じて良いのではないか。というかこのメンツで降格するなよ。


2/22
エスタディオ・デ・メスタージャ
バレンシアアトレティコ
得点者
【アトレティコ】’12 ’30 アルバレス ’86 コレア


●ピックアップ選手

グリーズマン
2つ魔法を使って試合を決めた。全てを手にいれるシーズンにするチャンスは彼が握っている。

ル・ノルマン
完璧。サディークを完封しデ・パウル中心の組み立てを推し進める配球をリードした。

ジョレンテ
久しぶりにCH。問題なかった。コケが戻るまでの鍵を握る。

アルバレス
前半の2ゴールで試合を簡単にした。実はラリーガでは初めての2ゴール。


●myQA

25-1 CHの考え方
ジョレンテの起用というアンサーだった。何の文句もないがギャラガーがCH、というか配球者側の頭数には入っていない事が確定。現状ではおれも同意見。コケが戻るまではデ・パウルと心中する事になる。先季までであればあり得なかったが今は反対する要素がない。

25-2 vs5バックの回答
右サイドのトライアングルにグリーズマンが関与して大雑把にPA内へ侵入していく形は再現性がある。このためにはファーサイドに飛び込めるリーノが有用であった。そしてこの形を擦るならばハビ・ガランよりも後方待機用にアスピリクエタが良さそうだったのも発見。ただし国王杯はバルサ、CLはマドリーとあって我々はいつ5バックを破壊する機会があるのだろうか。

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がーすけ
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