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創意工夫の余地もなく CL5節 アトレティコvsスパルタ・プラハ(A) 2024.11.26

5節の相手はポット4のスパルタ・プラハ。
チェコ王者。22-23、23-24シーズンを連覇しており、いつも名前を聞くので国内超強豪かと思いきや意外とその前の優勝は13-14シーズン。CLは毎度プレーオフで負けており本戦を戦うのはなんと05-06シーズン以来である。
今の所属選手はほとんど知らないが過去にはネドベド、ポボルスキー、ロシツキー、ヤン・コラー、チェフ、グリゲラが全員このクラブから旅立っていったのでまあ名門でしょう。古豪と言っていいのかはわからん。昔サンフレッチェとジェフにいたハゲロン毛(イメージです)のハシェックが過去所属しており、監督もやっている。ちなみに今はチェコ代表の監督やってます。

vsザルツブルク(H) ○3-0 ※ポット3
vsシュツットガルト(A) △1-1 ※ポット4
vsマンチェスターシティ(A) ●0-5 ※ポット1
vsブレスト(H) ●1-2 ※ポット4

勝ち点4で26位だが、ポット4と2試合を終えてこの順位なのでなかなか厳しい。ちなみにインテルとレヴァークーゼンが残っている。アトレティコからポイントを取れなかったら詰みでしょう。ちなみに今季はCLの予選を6試合戦っているので今季すでにこれが公式戦27試合目である(アトレティコは20試合目)。疲労もあるのか国内でも負けが込んで最近7試合では国内カップ戦で2部のクラブに勝った以外は未勝利。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ジョレンテ / ヒメネス / ラングレ / ハビ・ガラン
デ・パウル / バリオス / ギャラガー / ジュリアーノ
アルバレス / スルロット

ジョレンテとジュリアーノを同時起用。
コケとグリーズマンをベンチスタートにした。
アルバレスとスルロットの同時スタメンはリール戦以来。

・スパルタ・プラハ
ヴィンダル
ヴィティク / パナーク / ロス
ラチ / カイリネン / ヴィーズネル / リネシュ
クラスニチ / ラフマニ / ハラスリン

怪我人が多いらしい。右サイドのドリブラー、コロンビア代表のプレシアードも欠場。アトレティックから移籍したイマノル・ガルシア・デ・アルベニスも怪我でいない。中盤のラチはEUROのクロアチア戦で劇的ゴールを決めたアルバニア代表のラチ。

●前半

スパルタ・プラハは3-4-3とそれに準じた5-4-1で配置。

WBを低い位置に置いてWGのサイド打開を狙い、押し込みフェーズでは3-2-5を作る形に見えた。特に右WBの28番ヴィーズネルは最終ラインからボールを引き取る作業が得意な様子。アトレティコはこの選手の捕まえ方が守備の主題になったが、結論は別に捕まえなかったという形。

一方のボール保持。この日は4-4-2の風味が強いが2CBを最後尾に3CHとハビ・ガランが前進に関与。右サイドはジョレンテとジュリアーノのコンビネーションで打開を目指す。

シメオネはこういう「左大外誰もいなくなりそうだね」みたいな不均等を全然気にしないところがある。部屋とか汚そう。汚いのに片付けようとすると"おれなりのルールがあるの!"って言って怒りそう。
想像通り、ハビ・ガランがビルドアップをサポートするケースでは空白の左サイドにギャラガーorアルバレスが一生懸命走ってボールを受けていたが、そもそもギャラガーやアルバレスが左大外で1vs1を選んだからといって何が起こるでもなく、それも含めてシメオネにとってはどうでもいいんだろうなという。押し込みフェーズになればハビ・ガランが大外に出てくるので問題にはならないし、そもそも打開の狙いはここではないのでしょう。

5分過ぎにアトレティコの配置が概ね見えてくるとスパルタ・プラハは前プレを開始。ここでポイントになったのはアトレティコのビルドアップが荒く、スパルタ・プラハに"追いかけたら良い事がありそう"という感覚を持たせた事にある。もちろん計画的なはずもなくアトレティコが下手だっただけだが。
普段のスパルタ・プラハを知らないが、メンタル的にはこの時間帯の"追ったら良い事がありそう"が後半まで尾を引いていた気がする。ちなみに59分のグリーズマン投入でその実感が崩壊する事になります。
特にアラートが低くてリスクを生んでいたのはバリオスで、もちろんそれは彼の良さでもあるんだが"今ここでボールを失う事によるリスク"の計算が甘いというか、そもそも計算をしていない事が多い。コケとヴィツェルがいない時間にそれは危ないねという選択が多かったが、それも大した問題にはならなかった。


さて、アトレティコは4-4-2で構えつつジュリアーノはWBのリネシュの立ち位置に付いていくが、ギャラガーは中央に留まった。パリSG戦の景色に似ている。

当然ヴィーズネルにボールが届くが、正直ボールが入ってから対応しても余裕で止められていたのでここをどうにかしないといけないという話は無駄。この対応で十分だった。最終ラインまでボールを押し戻すとホルダーに一人ずつプレスをかけていけばGKを使ったやり直しの精度も低く、追われて横パスが速いボールになるのでCHも上手く関与できなかった。これをアトレティコのプレスと呼ばれても困るのでなんと言ったらいいのでしょう。次第に自陣で守る時はギャラガーもWBヴィーズネルに付いていって大外に落ちていったが、6バックになる事が云々以前に対人で突破される箇所が一切なかったのと、ボールを奪えば再奪回も全く怖くなかったので人に付いていって守れば深く考えなくても大丈夫な試合だった。これでいい。

スパルタ・プラハは大外から中央に戻すボールの見積が甘くアトレティコにプレゼントパスを連発。これがアルバレスの先制FKと37分のスルロットの決定機に繋がっている。解説の北澤さんも「アトレティコはサイドから中央に戻るボールの美味しさを知っている」と言っていたがまさにその通り。
アトレティコがCLで直接FKを決めたのは2009年11月チェルシー戦でアグエロが決めて以来らしい。シメオネ就任後初。
スパルタ・プラハはプレスには行っているんだが自分のラインを越えられた時の対応が甘く整理されていない。この辺が普段はやってなさそうと思う要因である。ヒメネスは普段見た事がないほどライン上げを連発してパスを通し、なんだかそういうトレーニングドリルに見えてきた。

26分、22番のハラスリンがハム逝きで交代。試合数の弊害だなという感じ。21番のペシェクが出てくる。アトレティコは敵陣でずっとおれのターンを作り上げ、43分にジョレンテの放り込みがそのまま入り、欲しかった追加点を奪って前半を終えた。スルロットが触っても触らなくてもゴールだった感。


●前半終了

こういう展開で前半に点が取れないのはアトレティコの定番だが、こういう試合をきっちり勝つために高いお金を払ったアルバレスとスルロットのクオリティが2得点を生んでいる。理想的な前半を過ごした。ビルドアップの甘さやトランジションのボールの追い方など割と適当だったので正直この試合のための細かい設定は全然なかったんだろうなという感想。場当たり的だった。
バリオスを中心にデ・パウルがいれば敵陣に押し込むのは簡単で、その打開をジョレンテとジュリアーノから行いたい狙いも良く見えた。ギャラガーはどこに置くのが最適かよくわからんが適当な位置に置いておけば勝手に走り回るのである種適所だった気がする。ハビ・ガランが各所を助けて回るタスクも含め、見たかった前半が見れた。


●後半

後半のスパルタ・プラハにシステム変更もプラン変更も特になく、思い切って攻めるでもこのスコアで試合を終わらせるでもなくなんとなくプレーした。なので指摘ポイントは特にない。私は工夫をしないチームが嫌いである。

59分にアトレティコはグリーズマンを投入。これがCL通算100試合目の出場。最初のプレーで列落ちしてラングレの縦パスを引き出して擬似カウンター発動。アルバレスがジュリアーノのワンツーを使ってこの日2点目を決めて勝負が決した。3点差になってからスパルタ・プラハはFWを2枚替えたが同ポジションの交代でここでもなんの変更もなし。前からボールを奪いに行きたい意思は見えたがグリーズマンを空けていては元も子もないというか、それはプレスとは言わない。ラングレに向かってプレッシャーに行った時にハビ・ガラン→グリーズマンのパスコースがガラ空きなのは論外。70分にはそこからデ・パウルと協業して中央突破。ジョレンテのラストパスでグリーズマンが自身のメモリアルを飾るゴール。

79分からコケも投入。グリーズマンと同じ試合でコケもCL100試合目の出場。メモリアルとなった。その後コレアが2点決めて試合終了。


●試合結果
「3-0から先は何点取っても両チームの差を現すものではない」がこのブログのデフォルトルールではありますが、先の大敗の穴を埋めて得失点差がプラスに転じたので助かった。そもそもポット4相手に何点取ろうが別に驚かん。

アトレティコがやろうとしていた事は失点しない環境を前提にボールを捨てずに敵陣保持に取り組もうという部分で、まさにその通りの試合ができた。プレス回避は良かったが相手のプレスの質が低かったので何とも言えない。バリオスは危なっかしい。
アルバレスがこれまで以上に気分良くプレーできていた要因はこれから見えてくる部分だが、スルロットがボールを確実に納めてアルバレスが周辺環境を確認してからボールを渡す事ができていたのは大きそう。スルロットはさっさとボールを離すのではなくもうワンタッチ足下に留める事が多く、それで味方に利益を渡している感がある。それがアルバレスに合っているのかな。

個人的に好きな得点は2点目のジョレンテのゴールで、複数人でサイドからフリーでクロスを上げる形はどう見ても準備していたもの。11分のジュリアーノのヘディングに至ったシーンも同様。スルロットの重要性はさらに増していきそうな予感を感じた。

ラングレもジュリアーノも、パリSG戦に続きパフォーマンスが良かった。ジョレンテもすっかり元気な上、ジュリアーノからパスが出てこないと怒鳴り散らしていたのでまだ練度は上がりそう。

アウェーでスパルタ・プラハから6点取ったので、ホームでスロヴァン・ブラチスラヴァからは18点くらい取るでしょう。組み合わせが全てを決めてしまう。最低の大会です。


11/26
ゼネラリアレーナ
スパルタ・プラハ 0-6 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】'15 '59 アルバレス '43 ジョレンテ '70 グリーズマン '85 '89 コレア


●ピックアップ選手

アルバレス
好調。1stタッチで相手の前に身体を入れてプレーエリアを確保するのが上手く、DFを前にしても両足で強烈なシュートが打てる。

ギャラガー
ある程度周辺エリアが広くて忙しい環境で起用されたが、多分わざとそういう環境にした気がする。フル出場に値する仕事。

ジュリアーノ
トランジションで一人で責任を果たす。真横に流し込むボールはトレーニングの落とし込みが見えた。ジョレンテに怒られていた。

グリーズマン
CL通算100試合目。中央で楽にプレー。パスゲームをリードして大量得点に繋げた。

コレア
引き続き状態が良くゴール前でアイディアがあった。

コケ
CL100試合目の出場。おめでとう。


●myQA

特に無し

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