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手慣れたものでして。 24節 アトレティコvsセルタ(H) 2025.2.15

久しぶりに週2試合から解放された。しかもアトレティコは2月に入って全てマドリードで試合をしていて遠征なし。

セルタは現在13位。ヒラルデス体制2年目の今季はいつになく安定している印象だが実は開幕2試合以外は連勝がない。その理由は簡単でホーム(全体4位)で強くアウェー(全体17位)で異常に弱いから。

ホーム成績:7勝2分3敗(21得点13失点)
アウェー成績:1勝2分8敗(13得点24失点)

極端すぎる。ちなみにホームゲームで無得点は7節アトレティコ戦だけ。

そういえば前回対戦はマドリーダービーの直前だった。今回は直後。アトレティコはジュリアーノが初スタメンの試合で、ここまで唯一左でスタメン出場した試合でもある。ヘイニウドとギャラガーに支えられる過保護配置でヘマをしまくった試合。懐かしいですね。

セルタは今季アウェーでクリーンシートは勝ったラス・パルマス戦だけ。監督交代直前の絶望期のラス・パルマスと対戦できていてラッキーだった。以上の事からこの試合のアトレティコは安牌だと考えたかった。が、そんな簡単にはいかないのであった。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ジョレンテ / ル・ノルマン / ヒメネス / ハビ・ガラン
ジュリアーノ / デ・パウル / バリオス / リーノ
グリーズマン / アルバレス

ラングレがお休み。好調のリーノは5試合連続のスタメン。

・セルタ
グアイタ
ハビ・ロドリゲス / スタルフェルト / カルロス・ドミンゲス
カレイラ / ベルトラン / ソテーロ / マルコス・アロンソ
フェル・ロペス / スウェドベリ / パブロ・デュラン

ウーゴ・アルバレスが不在。ミンゲサがベンチから。フェル・ロペスは売り出し中。


●前半

・早々に退場者
・セルタの押し込み
・睨み合い

お品書き

セルタが普段と配置を変えていたので確認していた5分にバリオスが退場。ボールをコントロールしようとしたスライディングで相手の足を蹴ってしまったので仕方ない。レヴァークーゼン戦のボールを蹴りにいって高く上がったのとはまたイメージが違うが、ちょっと時間が早過ぎた。残念ながらこれでリーノを下げてコケを入れる事になる。

こうなった

バリオス退場の5-3-1はレヴァークーゼン戦で予行演習済という謎環境で、あの試合はアンカーにジョレンテを置いた事はハマったわけだがそのためにはモリーナが必要だったりとややこしかった。退場したのがバリオスではなくデ・パウルであればギャラガーの起用も考えられたが、現状ギャラガーをアンカーに置く事は配球面で考えにくく、選択肢はコケしかなかった。スクランブルでもないタイミングでわざわざジョレンテをアンカーに置く理由もあまりない。

この試合のセルタはハビ・ロドリゲスがWBとSBの中間のような立ち位置でマルコス・アロンソが最終ラインの一番左だがあまり高い位置に出ていかない、5バック亜種のような配置でスタートしていた。そのため左大外はスウェドベリが取ったり、右はカレイラが大外でフェル・ロペスがライン間で関与したり面白そうだったが。退場者が出たので実験は途中までという感じ。

バリオスが退場するとセルタはすぐにマルコス・アロンソが高い位置に変化する。後ろ2枚。ヒラルデスはバランス感覚に優れている。
問題はソテーロがライン間にポジションしても特に何も起きない事。彼は対角のキックに特徴があり守備ではボールにガツンとぶつかれるのが長所なのでよくわからなくなっていった。ついでにデ・パウルに見張られているポジション。お勉強ですね。

アトレティコは右サイドのジョレンテ、デ・パウル、ジュリアーノから進むしかない。マルコス・アロンソはジュリアーノを基準に守るためジュリアーノがビルドアップに参加しようとすると相手選手が増えてややこしくなるのでボール奪取したら即最前線まで消えていく必要がありめちゃくちゃ走っていた。得意な仕事。ついでに空中戦でカルロス・ドミンゲスにイエローを出させるなどしていた。
また、アトレティコは一人少なくなるとラングレの配球がない事が割と弱点になるのも運が悪かった。スタメンが10人での戦いに最適化されていなかった。されなくていいが。

そんなこんなでセルタも全く突破口を探せないまま気付けば35分過ぎ。アトレティコはアルバレスが上手く前線で引っ掛けて一気にカウンターを発動しジュリアーノのシュートに繋げた。

ではサイド攻撃を強化しないと時間を無駄にしそうなセルタは前半のうちにカルロス・ドミンゲス→ミンゲサを交代。交代の瞬間手厚いアフターフォローをしていたヒラルデスは良い兄貴分。ミンゲサが大外に出ていくのでこれでスウェドベリが内外を選択できるようになる。押し込んだら内へ。同時に後ろを一枚減らしているのでトランジションでデ・パウル&ジョレンテ周辺にもう一人登場する事になってパワーバランスが変わっていく。
アトレティコはグリーズマンが一生懸命守備をしない限りフェル・ロペスが浮く。ここでシュートチャンスを3つほど作られた。11人だったら放置しにくいがフェル・ロペスを空けるリスクの計算がなかなか難しい上、ここに途中からアスパスが出てくる可能性もあるとなるとしばらく様子見。


●前半終了

一試合まるまる10人で戦う事になってしまったが仕方ない。セルタもアウェーという事もあってある程度受ける準備をしていたと思われるが突然ボールを持つ流れになって話が変わった。それなら違うスタメンだったんですが、という感じで45分何もなく過ごしてしまった。これも巡り合わせ。


●後半

・セルタの変更
・失点と攻撃シフト
・お勉強

お品書き

セルタは得点を求めてさらに2人を交代。ボルハ・イグレシアスとイケル・ロサダを早めに投入した。

交代はタスクが曖昧になりそうだったハビ・ロドリゲスと中盤のリーダーであるフラン・ベルトラン。退場者が出て以降効果的に攻撃できなかった事をどの程度問題視するかは監督に依ると思うがヒラルデスはかなり問題視するタイプ。ほぼ一試合丸ごと相手が一人少ない状況をテストできるのでこの試合で試行錯誤しておくのは賛成。次の機会に活きるかもしれないので。

これでセルタは完全に2-3-5でライン間2枚。ソテーロが底に移動してロサダに得意の左ハーフスペースのライン間タスクを渡した。ボルハ・イグレシアス投入でパブロ・デュランが大外に動く上下関係はわかりやすくて良い。ちなみにセルタはセルタでそれならスタメンにアルフォンソ・ゴンザレスがいた方が柔軟性があったような気がして、お互いにとってバリオスの退場はあまりメリットがなかったように思う。
ちなみにイケル・ロサダはハーフスペースから中央レーンへ移動して存在感を出せるのが他の選手と違う特徴なので、一人少ないアトレティコは対面するジョレンテがそっちまで連れていかれるのはややこしかった。空いたハーフスペースに今度はスウェドベリが顔を出して、という連携を狙っていたように思う。

アトレティコは右から進んで深い位置でスローインを取ってみんなで攻める。ボールを失ったら100%カウンターを喰らうので必死に戻るを繰り返す展開に。そしてコケが加勢する事でちゃんと右から進んで55分にはジョレンテの惜しいシュートに至るなど。変なチームである。
ちなみにコケが終始フリーで前を向けたのがセルタの良くなかった点。アトレティコ右サイドの対応の人数自体は足りていたのでコケを消す作業に注力した方がボールを持てたはず。そしてカルロス・ドミンゲスがイエローを貰ったので仕方なかったが、結局マルコス・アロンソが一番忙しいエリアを守る配置は長い目で見た時にあまり宜しくないように見える。


59分にハビ・ガラン→ヘイニウドを交代したのはおそらく退場関係なく当初の予定通り。セルタはアトレティコの対応を見てから右ハーフスペースをフェル・ロペスからアスパスに替えて得点を狙う。アトレティコはグリーズマンがブロック守備の弱点になると捉えたのか主にアルバレスが中盤3枚の左に入っていた。あるいはグリーズマンが守備に飽きただけかもしれない。

66分、ル・ノルマンがボルハ・イグレシアスの足を踏んでしまいPKジャッジ。ちょっと厳しめな気もするが完全に踏んでいた。ヒメネスとジュリアーノの超至近距離妨害作戦にも乱されずアスパスが決めて先制。

これでアトレティコが攻撃シフト。
コレア、スルロット、ギャラガーをまとめて投入。セルタはイライシュ・モリバを入れて再び中盤を2枚に戻した。

退場者が出ていて攻撃シフトも何もないと思わせつつ、本当に攻撃シフトするから凄い。どちらにせよ先制点以降アトレティコのカウンター対応が追いつかなくなっていき広いスペースを走られ始めていた。こう考えるとレヴァークーゼン戦のアトレティコは異常に元気だった事がわかる。ボールを持たないと決壊しそうな時間帯に前線を入れ替えてもう一度ギアを入れたのは合理的。そしてコレアとスルロットはそれができる選手。中盤のカバーしきれないエリアをギャラガーが一人で担当した。いつ見ても凄い。常に3人くらい相手にしていた。

アトレティコの同点ゴールは81分。ヒメネスからロングボールを引き出したスルロットがスタルフェルトを振り回して右足一閃。裏に引っ張ってヘディングをさせず、背中に圧力をかけて先に触り2タッチでシュートを打てる体制を作った。完璧です。パーフェクト。ヒメネスのロングボールも良かったが、セルタはこのシーンに関わらず出し手にプレッシャーを与えられない場面が散見された。数的優位の環境なので看過するのが難しい。ただ徐々に全体を攻撃シフトさせていった中、残り25分で今度は守りましょうとなったのはちょっと混乱があった気もする。先制した瞬間CBを3枚に戻すとか、やれない事もなかっただろうがミンゲサにもはやCBとしての認識はなかったのかもしれない。逆にロングボールが飛んでくる環境だと狙われるとかあるのかも。その辺はわからない。という事でお互いに勉強にはなったが得るものはあまりないまま、試合終了。


●試合結果

退場してしまったものは仕方ない。一ヶ月で二度退場する事になったが仕方ない。リーノには謝っておきましょう。

レヴァークーゼン戦に引き続きだがいなくなったのがバリオスで、コケを投入する事で試合を継続できたのは大きかった。やる事が明確な試合の方がやりやすそうなのはアトレティコあるあるで、ある意味わかりやすい試合になった。明らかにそういう試合が得意なヒメネスやギャラガーが目立っていたのは偶然ではない。

セルタは苦手なアウェーゲームで、ある程度受ける展開を想定していたところ攻撃にシフトする必要が出てきて、早めに選手を入れ替えた。先制には成功したものの、逃げ切るには25分は長かった。後半は数的優位にも関わらずコケの周辺で人が足りず、最終ラインからのロングボールを阻害できなかった事が同点ゴールに繋がってしまった。スタルフェルトの対応は運がなかった。75分のミンゲサがフリーで侵入したシーンなどでトドメをさせなかったのが痛かったので、結局90分通じて攻めるのか守るのか判断が難しくなってしまったのは残念。慣れない事をやった結果誰も得意なプレーを選択できないような環境になった中で、全体に芯を通したボルハ・イグレシアスは流石である。

アトレティコにとって形は想定外だったがラングレとモリーナを休ませる事もできた。モリーナは12月11日のスロヴァン・ブラチスラヴァ戦以来の欠場。実はアルバレスとモリーナだけ年明けから欠場がなかった。どの試合も大事だがこの試合も間違いなく大切で、お気に入りの1ポイント。全員が勝利に向かった結果だった。誰一人置き去りにする事なく進んでいくアトレティコが好きだ。来週は3ポイントを。


2/15
リヤドエア・メトロポリターノ
アトレティコ 1-1 セルタ
得点者
【アトレティコ】'81 スルロット
【セルタ】'68(PK) イアゴ・アスパス


●ピックアップ選手

バリオス
お勉強。不用意に足が出る癖は改善の余地があるが失ってはいけないのは五分のボールに足を伸ばす気持ち。2回も退場すれば身体が覚える。

コケ
緊急出場になりピッチの縦幅の調整も手こずる試合だったが穴を開けなかった。コケの1stタッチにタイミングを合わせて動き出す全体感が統一され、特にアルバレスと繋がった。

ヘイニウド
完璧。ガバッとエリアを見てざっくりボールに飛びつく対応で封鎖した。攻撃の枚数を一枚増やすために絶対に必要だった。

ギャラガー
終盤にチームがボールを追えなくなった時間帯に「その辺をどうにかしとけ」というタスクで3人分ぐらい走った。そろそろ新しい活用法を探したい。

ヒメネス
勝利に必要な仕事は全部やった。腕を振り回して乱暴に振る舞ってもPA内では必ず冷静。よく周りが見えていた。アシストはご褒美。

ジュリアーノ
何かしなければいけない時に必ず先頭に立ってもがく姿はチームを助ける。守りのCKでもわざわざマルコス・アロンソに嫌がらせして警告を出させようと知恵を絞った。

スルロット
ワンチャンス。スタルフェルトを完全に翻弄して利き足ではない右足。点を取るためのエッセンスが詰まっていた。


●myQA

24-1 バリオスの退場
また退場。改めてになるが特に改善点はないでしょう。"気をつける"くらい。正直問題視する気もないし、別にその意味もない。深く考えたところで。次ルーズボールに足を出さなかったらおれは烈火の如く怒ります。バリオスが何故チームに必要なのか、自分でちゃんと考えてくれたらそれでいい。何もかもきっかけである。

24-2 リーノの心情
こういう話って、あえてしないようにしています。ややこしいしキリが無いので。面倒くさいし正直あまり興味もない。個人的にはあのタイミングの交代は満場一致でリーノ→コケだったと理解しているので違和感は全くない。次点でアルバレス→コケ。リーノもそんな事はわかっているはずで、本人もバリオスが退場した時点で納得していた。
こう考えるとルイス・スアレス以降途中交代でヘソを曲げる選手はメンフィス・デパイしかいなかった(ややこしいのでジョアン・フェリックスの事は一度考えないものとする)。今のアトレティコのスカッドは全員が"もっとプレーできるのに"と思っている必要があると思っていて、そういう飢餓感が選手を走らせていると思う。どの選手にも刺激になる試合だった。

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