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もっと強く 20節 アトレティコvsレガネス(A) 2025.1.18

20節はレガネス戦。前回対戦。

スタジアム名がリヤドエア・メトロポリターノに変わった試合。ハビ・ガランのタスク、ラングレ中心のビルドアップなどが固まり始め、ジュリアーノがグリーズマンの逆転ゴールをアシストした運命の試合。

レガネスは前半19試合を終えて4勝7分8敗とそれなりに順調。最近の2試合に1回3失点以上する流れに準えるとここは大量失点の試合(フラグ)。セバスティアン・アレは半年でいなくなりました。ミッドウィークは国王杯で2部首位のアルメリアに一度逆転されるも再逆転する熱戦で3-2で勝利。ベスト8進出を決めている。主力はロジェとドミトロビッチ以外だいたい皆出た。




●スタメン

・アトレティコ
オブラク
モリーナ / ル・ノルマン / ラングレ / ハビ・ガラン
ジュリアーノ / デ・パウル / バリオス / ギャラガー
グリーズマン / アルバレス

オサスナ戦と同じ11人に。ル・ノルマンとギャラガーだけ4試合連続のスタメン。

・レガネス
ドミトロビッチ
ロジェ / セルヒオ・ゴンザレス / ナスタシッチ / ハビ・エルナンデス
タピア / セイドゥバ・シセ / ネヨウ
ダニ・ラバ / フアン・クルス / ミゲル・デラフエンテ

概ね普段通りのメンバーで、この日は5バックでスタート。


●前半

・要所のマンツーマン
・いなくなるグリーズマン
・仕留めきれない45分

お品書き

アトレティコは普段通りの4-4-2。レガネスはタピアが左HVに落ちる5-4-1でスタートした。このタピアの位置を動かして様々な形に対応できるのがこのシステムの良い所。

レガネスの最初の設定はバリオスとグリーズマンを自由にさせない事。主にバリオスにはセイドゥバ・シセ(時々ネヨウ)、グリーズマンにはタピアが張り付いて要所を警戒した。モリーナとデ・パウルにはフアン・クルスとネヨウで対応。ジュリアーノはハビ・エルナンデスの責任マークとなりアトレティコのグルグルする右サイドを迷いなく守れる環境を作った。
アトレティコの左サイドは独力で突破できない事が定番だがレガネスはデュエルで一番計算できるロジェがハビ・ガランを止める事で優位を保った。ロジェがハビ・ガランを止められる自信があるのでダニ・ラバはアトレティコの配球のキーマンであるラングレに向かってスピードをもって前進する事ができた。シンプルに良い守備です。
唯一の懸念は背中の対応が緩いハビ・エルナンデスの背後をジュリアーノに突かれる事だが11分に早速その形を作られてピンチになった。アルバレスのシュートはポストに当たって試合は継続。アトレティコからするとブロックを作られる前に速い攻撃で背後を取れた良い形。ブロックを作られても14分にはモリーナ得意の一度内側にランニングしてからのポケット取りでチャンス演出。これもアルバレスに決定機を用意したが今季絶好調のドミトロビッチが勇気を持って飛び出した。

グリーズマンは右側にいるとタピアに張り付かれるので積極的にそこからいなくなる動きを使っていたのは流石だが、タピアはマークを捨てて中盤にポジションを上げるのが上手く、ギャラガー起用時のアトレティコは結局右からの侵入がメインになるためグリーズマンのポジション移動の効果は薄め。またネガトラでタピアにボールを持たれたくない都合上、実はグリーズマンはタピアとずっとタイマンしていてくれた方が安心感があった気もする。ハビ・ガランとギャラガーはグリーズマンの助けを借りたところで5-4ブロックに侵入できるわけではない事をあらためて確認したが、まあわかっていた事である。

レガネスのこの配置は正直どのチームでもやろうと思えばやれそうなのでアトレティコ対策でリバイバルしてもおかしくない。また、アトレティコはオサスナ戦同様に3-2でビルドアップされると前からどうやって追いかけるかあまり決まっていないのもどうなんでしょう。

レガネスはハビ・エルナンデスが内側でボールを受けて大外のフアン・クルスに渡すのが攻撃の本線。ハビ・エルナンデスが中間ポジションに留まるため、ジュリアーノが不用意に動けず、結果的にモリーナが大外の守備に駆り出されていった。レガネスはこの形をそれなりの頻度で擦れたが変な失い方をすると一気にジュリアーノにカウンターをもらう諸刃の剣ではあった。26分には前回対戦同様にジュリアーノからニアに走り込んだグリーズマンの決定機に繋がったがこれもポスト。30分には最近調子の良いCKから最後はギャラガーに決定機が来たがこれもクロスバー。オフサイドは無さそうだった。
右サイドではダニ・ラバが落ちてボールを引き出し、ロジェが背後を狙う2人の関係で抜け出す攻撃も度々登場していたが、ここはギャラガーがノリで守る範囲なのでそんなに心配はしていなかった。ギャラガーって本当に凄いなっていう。


●前半終了

負ける試合だとわかっていると厳しい評価をしたくなるものだが、個人的にこの前半のアトレティコの戦い方の評価はかなり高い
5-4-1でポケット侵入を重点的に守る意思を持ったレガネス相手に右ポケットを2度取りどちらもアルバレスの決定機になった事、ロングカウンターからジュリアーノが決定機を作った事はどちらもデ・パウルを中心としたここ最近の良さが詰まっている。セットプレーの調子の良さを持続しているのも良い点。非保持も無駄がなかった。デ・パウルが動き回ってバリオスが真ん中に残る構成上バリオスのイエローが早めに出たのもある程度想定されている範疇。グリーズマンが持ち場を離れたのもチーム全体で共有された形だった。

注文をつけるなら左からの侵入に工夫がなかった点。もちろん"ハビ・ガランとギャラガーもうちょっと頑張れ"などという無責任な話ではなく、もっと試行錯誤できていい箇所。デ・パウルに真ん中に立たせてバリオスが左に出ていくとかね。コケならもっとラングレが高い位置に出ていって配球できるように工夫しそうなところ。後ろに残すのはモリーナとル・ノルマンでも良いはず。まあこういう展開だと45分でギャラガー→リーノを替えるからあんまりここの練度は上がらないよなとは思う。個人的にはギャラガーを残したままバリオス→コケで戦って欲しかったがそう思い通りにはいかない。



●後半

・セットプレーから失点
・スルロット不在のジレンマ
・終戦

お品書き

アトレティコはリーノ、レガネスはブラシャナツを投入。

フアン・クルスを一つ後ろにしたのは攻撃の枚数を増やすためか、ハビ・エルナンデスの守備が怪しかったからか。たぶん後者。またこの交代でタピアが右に動く事でタピア→フアン・クルスに対角のロングボールが届くようになったのも見逃せない。
そんなこんなでクルスのランニングを数回擦って獲得したCKで、ナスタシッチが完璧に合わせてレガネスが先制する。セットプレーの調子が良くなったらセットプレーで失点したのはなかなか切ないがダニ・ラバの良いボールだった。

ここからレガネスは12月にバルサ相手に逃げ切っている実績がある固いブロック守備を見せる。アトレティコは先制されてしまったからには誰が見てもターゲットになるスルロットが必要だったがこの日はベンチにいない。そのために最終的には20歳のアドリアン・ニーニョが出てくる事になる。
60分にコケとジョレンテを入れたのは仕組みよりもメンタル的な部分でしょう。レガネスは大外からのクロスを許容しながら守る普段のアトレティコのような守備で侵入する溝を作らずに守れていた。この辺りも良く準備されている。ミゲル・デラフエンテの献身的に走り回るポストプレーとダニ・ラバの一芸のありそうなドリブル突破で2点目の可能性を残したのも強かだった。ダニ・ラバは70分にゴール方向へのアタックでラングレにイエローを出させているし、この2人だけで攻撃を完結させつつデラフエンテのシュートが枠に飛ぶ様子はなかった。
レガネスは72分にタピアが足を攣って交代してたのは誤算だったと思うが代わりに出てきたのはビジャレアル戦でぶちかまし一発退場したサエンスで、この日は落ち着いていた。というか出場停止1試合で済んだのか。

79分にアドリアン・ニーニョを投入。背格好はフェルナンド・トーレスくらいかなと。エリア内で振り向きざまの左足で惜しいシュートを打っていました。アトレティコは放り込み一辺倒だとなかなかレガネスのブロックの中に入るのは難しかったがそれでもクロスのボールを工夫しながらよくやっていたのではないでしょうか。グリーズマンからニアポケットに入り込んだデ・パウルに良いボールが通りチャンスメイク。そこから得たCKでセルヒオ・ゴンザレスのハンドを誘い、PKゲット。これをグリーズマンが外して終戦。



●試合結果

連勝は15試合でストップ。10月27日ベティス戦以来の敗戦。
チャンスを決めきれなかった前半。セットプレーから失点。スルロット不在で別パターンを作りにくい中でよくやったと思う。負けた試合によくやったと言われるのが嫌いな人もいるかと思うがおれのスタンスは変わらない。よくやった。それは、レガネス相手によくやったのではなく、この15連勝の積み重ねを発揮して試合を進めた事に満足感がある。もちろんこれで首位陥落。大切なレヴァークーゼン戦を前に敗戦。ラングレとハビ・ガランはビジャレアル戦で出場停止。エースはPKを外した。悔しい気持ちもあるしやり切れない思いもある。でも、まだ何も失っていない。それは15もの連勝を積み上げたおかげだし、バルサに逆転もされないのはバルサに勝ったからだ。その積み重ねまでひっくり返るような試合ではない。

何よりレガネスは良かった。今季ずっと良いんだが特に良いのはプレス回避で、引いて守った先にしっかり自分達の保持の時間を作れるのは、おれが見てきた昇格クラブだとラージョくらいでしょう。凄いチーム。(ラス・パルマスは別物とする)
これで勝ち点22で15位に浮上。バレンシアやアラベスも勝った20節、残留争いがいよいよ本格化する。

前半で先制できていれば全然違う結末になっていたと思うし、レガネスの5-4-1ブロック相手にスルロットがいないのも巡り合わせ。全てがレガネスに向いた。ただし次は、それを跳ね返せるくらいに強くなりたいね。アトレティコは進んでいく。CLもまだ、これからである。


1/18
エスタディオ・ムニシパル・デ・ブタルケ
レガネス 1-0 アトレティコ
得点者
【レガネス】’49 ナスタシッチ


●ピックアップ選手

アルバレス
外したといえばそこまでだがPA内で彼の下にボールが来るようになった。右大外から入ってくるボールへのタイミングの合わせ方が格段によくなっている。

ル・ノルマン
少ない人数で対応する被カウンターに問題なく対応。後半は攻撃で前に出ていく機会も多くなったが効果は薄め。

リーノ
大外を進める試合展開にはならなかったがその中でできる仕事をやっていた印象。おそらくシメオネが求めた役割は果たしていた。

グリーズマン
固いブロックを崩そうと右往左往。クロスの的がいない事で難しい試合になった。PKは決めたかった。

ニーニョ
トップチームデビュー。おめでとう。PA内で勝負しろという指示だけだったと思うがゴールを狙ってプレーした。ロスタイムのボレーは、トップチームに絡むスター選手なら決めていたかも。


●myQA

20-1 CHの組み合わせ再考
デ・パウルとバリオスに固定されて約2ヶ月が経つ。勝ち続けていれば変える必要のない箇所ではあるが、この試合だけを見ればデ・パウルは自分の仕事に手一杯でバリオスは気が利かなかった。そもそもこれは彼らがプレータイムを得られない時期の理由にもなる部分である。現状のベストであるが、鉄板ではない。ここのポジション争いはまだまだ面白くなるはず。

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がーすけ
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