ブンデス基準を理解する 〜ドルトムントのスカウティングレポート〜
ドルトムントを分析していく。見た試合。
●事前確認事項
■過去対戦成績
直近の対戦は18-19シーズンのCLグループステージ。直接対決は1勝1敗で共に勝ち点13で突破している(1位はドルトムント)。アトレティコはユベントス相手にロナウドのアレの年。ちなみに最新の対戦であるホームゲームではヒメネスが前半で負傷交代している。通常運転。
■今季成績
20-21シーズンに一度暫定で監督をやっていたテルジッチが正式就任して2シーズン目。
国内では15勝8分4敗 55得点32失点で4位。ライプツィヒとCL出場権を争う。
CLグループステージは死の組グループFを首位通過。パリSG、ミラン、ニューカッスル相手に3勝2分1敗は立派。
■移籍 in/out
ベリンガムがドルトムントで何をしていたのかは知らないが大きな穴が空いた。あとは長らく左SBで活躍したラファエル・ゲレイロがバイエルンへ移籍。
中盤はザビツァーを獲得。ベンセバイニで埋まらなかった左SBは冬にチェルシーから借りたマートセンが定着。同時にレンタルでサンチョを呼び戻している。
■基本布陣
4-2-3-1だったり4-1-2-3だったりする。最終ラインは凡そ固定。ズーレがフンメルスになったりジャンになったりするが大枠は変わらない。中盤はジャンがいるかどうかとザビツァーがいるかどうかがポイント。ブラントとロイスを併用する時は初期配置が変わる。WGは基本的に全員左右兼用。トップはフュルクルクで、ムココを入れて2トップになる事がある。
●大枠 ブンデスリーガ全体の外観
ドルトムントの戦術の大枠を、10数試合を見て感じたブンデスリーガ全体のサッカーのトレンドも踏まえて理解していきたい。その後にドルトムント特有の細かい設定を見ていく事にする。
ビルドアップは後方から保持を確立する事を標榜するクラブが多い。前進よりも保持確立を目的とするビルドアップパターンが多く、そのためブンデスリーガのクラブは最終ラインの4人が全員ビルドアップに参加するチームが多かった。
ドルトムントは主に後方3枚を作る。目的は大きく広がったCB、特にシュロッターベックから質の良い縦パスを入れる事となる。シュロッターベックはUKパンクバンドでベース弾いてる世界線のエルモソだと思ってもらえばだいたい合ってる。
ドルトムントはそのための主なソリューションとしてエムレ・ジャンがCB間サリーして両CBを大きく広げて配置する。その際1stラインの向こう側にはザビツァーと左SBのマートセンが入る。右SBリエルソンは大外ハイポジションで逃げ道を作り、WGのマーレンを内側(フュルクルクの近く)に動かす。
配置上は3-2ビルド(4-2のチームも多い)だが、ラリーガのそれとは趣が異なる。ブンデスリーガのサッカーは大きく後ろのユニットと前線のユニットが分離されているケースが多く、
ビルドアップの狙いは「後方ユニットから前線ユニットにボールを届ける事」、そしてその確率を上げる事がメインである。
スペインのクラブだと1stラインの向こう側のMF、あるいは大外の位置でクリーンな前向きのサリーダ・デ・バロンを作る事を目的とするが、ドイツはクリーンに前向いたら前方ユニット目掛けて縦パスを入れましょう、という考え方が多い。
この考え方のきっかけは守備の方法にもあるように思う。ブンデスリーガのクラブの守備は
こういうプレス形がめちゃくちゃに多い。ほとんどこれ。いわゆるレッドブル形の[前線圧縮と後方ライン]の守り方で、これも見方によっては前後分断の考えである。
こうすると何が起きるかというと、当然MF(ドルトムントで言えばザビツァー&マートセン)がスペースを得て前を向くビルドアップ形というのは訪れないわけである。なのでMFではなく前を向いた最終ラインの選手から距離の長い縦パスを入れていく狙いになっていく。ちなみにそうなるとプレス側はCBをフリーにした時点でボールを奪う事が難しくなる(蹴られる)のでそこで仕事終了になる選手が多い。取れないんだから仕方ない。
そうなるとMFは何をするのかという話。最終ラインから距離の長い縦パスを入れるという事は、当然綺麗に繋がる確率は低いわけである。なのでバチンとボールを弾かれるパターンが多くなる。体感で3回に2回くらいはそうなる。そのセカンドボール争いに参加するのがMFの仕事。セカンドボールを拾う事が出来れば縦パスが弾かれても攻撃を継続出来るわけで、この重要性は高い。
こういう局面が多いので、ブンデスリーガの試合はふわっと見ていると今どっちのチームが優勢なのかよくわからない事が多い。似たようなボール蹴ってるけど縦パス全然通らないなーと思ったら一本ズバッと入ってそれが狙い通り得点になったりする。
さて、中盤中央のセカンドボール争いは、ザビツァーがまさに一番得意とするところである。やはりブンデスのMFは全体的にやはりボールに強く、縦挙動と攻守トランジションの関与ができる選手が重宝される。
ラリーガで言えばセビージャのジブリル・ソウ(先季までフランクフルトに所属)をイメージしてもらえばわかりやすい。それとマルク・ロカ(ベティス)も似たイメージだなと思ったら彼もバイエルンに買われていった選手なので、つまりそういう事でしょう。マートセンはタイプは異なるが出足が良く、スピードで奪い取ってしまうケースが多いのと縦への推進力を活かす事が出来ている。
さて最終ラインからの縦パスが通った先の話。3回に2回くらいは綺麗に繋がらないと言ったが、ドルトムントはもう少し繋がる。当然、フュルクルクの存在である。
ブンデスのストライカーに求められるのは縦パスを足下に入れる事と、ゴール前でクロスに合わせる事の2点。フュルクルクはこの2点に特化している点がまさにブンデスのストライカー。余談だがドイツ代表が求めるストライカーはどう考えても違うイメージなので、フュルクルクが最適解という話にはならないのでしょう。
一方、崩しの手順は選択肢に乏しく、それもまたブンデス各クラブに共通している印象。綺麗な縦パスが前線ユニットに通った際は一気にゴールへ向かう事が求められ、相手DFを後ろ重心にさせる事ができた時にスピードに乗ってゴール方向に進むアタッカーの需要が高い。言うまでもなく堂安律はこのタイプで、逆足WGのニーズがリーグ全体で高い印象。サンチョもそれでしょう。同時にブラントのようにスペースにアクションできる選手がいるとカウンターの終着点を決めやすくなる。
崩しきれなかった際の第2の手順として大外のスペースにSBが走り込んできてクロスを上げる、という狙いとなる。これが押し込みフェーズ。
ブンデスのSBに要求されるのは技術よりも長い距離を走ってクロスを上げる事。守備ではマーレンのようなドリブル勝負が得意な相手のWGに振り切られず、最終局面では上がってきた相手SBのクロスを跳ね返す空中戦の能力が要求される事となる。その意味ではトルコに行ってしまったトマ・ムニエはめちゃめちゃにブンデスのSBであり、同時にマートセンは全然その文脈の選手ではないところは面白い。
●ドルトムントの詳細
それでは、ドルトムント固有の特徴をもう少し細かく見ていく。
■攻撃
・ビルドアップ
上述通り、ジャンがCB間に落ちる後方3枚がベース。この形が出たのは21節のフライブルク戦からで(17節以前にやっていたかどうかは知らん)、それまではエズジャンがアンカーポジションでボールを受けようとしたがダイレクトで後ろに戻す選択が多く、ミスもよくあったので意味不明だった。
左SBのマートセンは主にザビツァーの隣に入るが、大外で待つパターン、そしてWGの外側を駆け上がるパターンを持つ。MFの前向きよりは左右に開いたCBからの配球がメインで、真ん中に落ちたジャンがドリブルで持ち上がるパターンが割と効果的だったりする。ようはマートセンも自分が前向きになれる箇所を探しているというよりは誰かが前向けたら良いねという発想のポジショニングとなる。だから外にいてもいい。
相手がCBまでプレスに来ないと普通に2CBか配球するが起用されるCBは全員キックが上手いので自由に蹴らせるのは出来れば避けたいところ。
ビルドアップはGKを用いたリセットを積極的に使う。CB含め全員行き詰まったらGKに戻す、が徹底されているので対戦相手はここを追いかけるプレスを画策したい。
GKコベルの技術レベルはかなり高いが、案外SBへロブパスで逃げる道筋は整理できておらず、繋がらないケースが多い。右のリエルソンに多いパターン。ただ、正直GKからフュルクルク目掛けて蹴っ飛ばしても得られるリターンはほぼ同じだったりするのであまり気にしていないのかもしれない。相手チームにとってプレスを掛ける場合に難しいのはまさにここで、最終ラインからの配球を阻害したい、GKまで追いかけたい、と計画してもフュルクルク目掛けて蹴っ飛ばされるならやっていてあまり手応えがないというか面白みがないという感じ。
また、これは育った環境の違いかもしれないが、周囲が「GKに戻してね」となってフリーズしている状況でもマートセンだけ「他のパスコース作らないの?」という感じでもたつくシーンが散見され、戻すの?戻さないの?がわからないままプレスに捕まってショートカウンターをもらう事がある。おれの中のおぱんちゅうさぎが歌い出すシーン。
ここはシンプルに狙い目なので後ろを向いたマートセンには強く圧力を掛けたい。
参考:おぱんちゅうさぎソング
・前方ユニットの攻略パターン
縦パスが入った際の攻略はロイスの閃きに依存する。選択肢は少なめで、特にマーレンとサンチョは頻繁にポジションを入れ替えているが、それは逆にどっちがどっちにいようが大した機能性がない事の証拠である。
ドルトムントはシュロッターベックを中心に縦パスをフュルクルク目掛けて放り込み、その周辺でマルコ・ロイスが前を向く形を狙っている。ロイスは前を向いて崩しの創造力を発揮できる選手で、逆にドルトムントにはそういう選手がロイスしかいない。あとちょっとだけサンチョ。内側に入り込んでポジションしているマーレンは理不尽なシュート技術を持ち、PA付近で前を向けば危険なシュートが打てる選手。シュロッターベック→フュルクルク→ロイス→マーレンと繋ぐ形は一番再現性がある。
大外は基本的に右がSBのリエルソン、左はWGのサンチョが立ち、ロイスは主にフュルクルクの左側に関与する事が多く左サイドでサンチョがドリブルを仕掛けると外側へ走り出す形が準備されている。
この辺りはテルジッチ監督の狙いが透けている感じがあるが、サンチョは基本的にスピードに乗った状態でドリブルで目の前の相手を振り切る選手ではない。近い距離のパス交換とスラロームドリブルでゴール正面に向かっていくタイプで、割と元アトレティコの問題児と適性は似ている。
なのでドルトムントはサンチョが相手SBと正対した時は外側へ抜けていく選手を使ってその先のポケット取りを狙っている。逆に言うとサンチョが目の前の相手を振り切る事はあまり期待していない。ただ曲芸能力は高いので全くサポートが期待できない1vs1だと結構抜いていく。ややこしいが。
その点、バイノー=ギッテンスの方がスピードに乗ったドリブルで縦突破ができる選手。対応の難しさで言えばこちらが上であり、相手のマークを2人以上集めやすい。アデイェミは突破の引き出しは一番多い印象があるが周囲との連携に無頓着で一人だけ別のゲームを始めてしまうところがある。個人的にはこの3人の中ならアデイェミが一番好み。
右のマーレンはシュートの名手で、PA付近でマークが一人だけの環境だと高確率で枠内に強いシュートを飛ばせる。アトレティコはエルモソがカードを貰わずにここを抑えられるかは守備のポイントとなる。彼がシュートモーションに入る間に大外をリエルソンが駆け上がり、フュルクルクを狙ったクロスを入れる形も鉄板。フュルクルクは見た目の通りかなり競り合いに強く、ヘディングも上手い。ここの空中戦で負けない事はかなり強く求めたい部分で、アトレティコにとっては従来のゴール前の強さを発揮したい部分でもある。試金石でしょう。
フュルクルクがポストプレーを受ける事が攻撃のスタートになる事が多いので中央からいなくなる事もしばしば。ロイスは味方が空けたスペースを使うのが抜群に上手く、一方ブラントは自分が動いて味方にスペースを渡すのが上手い。ポケットに飛び込むのも上手いのでロイスとブラントは併用すると攻撃が活性化するが、2人ともびっくりするほどネガトラに無頓着なのでとんでもないカウンターを食らったりする。
基本的にカウンターが得意で、ここでもフュルクルクがロングボールを収めて一気にゴール方向に進める。前を向いて仕掛けるのが上手い選手が多く、フィニッシャーになれる選手が多いのは特徴。サンチョをフリーにすると危険。
その他ベンチから出てくるアタッカーはムココがいる。ようやくアレが復帰したが基本的に純粋なFWの控えはムココしかおらず、今のところ試合終盤の煮詰まった状況にフュルクルクに替えてスピードを付加するくらいの効果しかない。それよりもフュルクルクと併用する形の方が効果的で、終盤に点を取りに来るならこっちの起用になりそうだがそれは同時にロイスを諦める選択になるため、監督の判断に注目したい。ムココ自身はゴール前の混戦でシュートを枠に飛ばすのが上手いのでスクランブルで起用されると怖い選手。カウンターの先頭も走れる。
■守備
・配置
4-4-2だったり4-1-4-1だったりする。4-1-4-1の場合はジャンが真ん中に残る事が多い。それかエズジャン。
御多分に洩れず、前後分断の考えがここにも存在する。前線はボールを奪う事は出来ない程度の強度でとりあえず限定する。あまりGKまではチャレンジせず蹴らせれば成功という程度の設定。1stラインを超えられてもブロックを組み直すような素ぶりはあまりなく「後ろ6人くらいいればどうにかなるでしょ」という守備が多い。バルサでさえ8人でブロックを作るラリーガの常識で考えるとふざけてんのかと思うほどプレスバックをしない。まあ相手SBが上がり切ってクロスを上げる時に追いつけばいいかなくらいの戻り方なのでモリーナに目に物見せて欲しい。上下動ってのはこういうのだぞと。フェリックス・ヌメチャは守備に定評のあるMFのようで、中央のプレス強度を担保する役目。攻撃ではほとんどボールが回って来ない。ヘディングは強そう。
前線はフュルクルクを筆頭に「自分のマーク対象はこの人です」をかなり主張する。これ何の意味があるのかあんまりわからない。ついでに誰も二度追いしないので最終ラインに3枚立てば普通にフリーになれる。
上下動するのは基本的にCHの位置にいる2人で、SHはあくまでも2列目にいるのでこのフリーの選手に誰が前進してくるかは確認事項になる。ここでザビツァーが釣れるとアトレティコは簡単になる。
最終ラインは4枚で横幅をカバーする。というかカバー出来ていない。SBの目の前に一人立ってもう一人大外にいれば簡単に使える。
フンメルスはポケットを守るのが異常に上手いので狙いたいのはシュロッターベック側。コレアの仕事。
CB勢はクロス対応には自信があるので、狙いたいのは隙間への速いボール。アトレティコからするとインテル戦と同様のボールを狙っていきたい。さらに左SBのマートセンにPA内の対応をさせる事が出来れば弱点になるのは明白なので左からファーサイドへのクロスは積極的に狙っていきたいところ。ジョレンテが競り合えば点になる。
ドルトムント側からすると押し込まれてもフュルクルクのポストプレーを使った陣地回復でカウンターを狙っているのでこれでいいと思っているのかもしれない。おれの常識だとあまり良い守り方とは言えないのでアトレティコはしっかり弱点を可視化させる攻撃を構築したいところ。
・ネガトラ
ネガトラはシンプルに弱点。良くない。特にザビツァーがいなかった26節フランクフルト戦は酷いものでジャンが中央に残っていないとどこに蹴られてもピンチになりそうな対応だった。CB勢はフンメルスのアジリティは今に始まった問題ではなく、シュロッターベックの後方対応のまずさは日本国民ならご存知の通り。ズーレも含めて前を捕まえにいく意識が強いのが特徴で、それは別にチームで設定していると言うよりは個々の資質、あるいはドイツのCBは全員そういう感覚なのかなというところ。勇敢なのは長所だが入れ替わられた時は仕方ないとでも言いたそうな対応は見ていてしんどい。
良い点を多く伝えた左SBのマートセンも大きな欠点になり得る。PSV戦1stレグは明らかにバカヨコを狙ったロングボールがマートセン目掛けて飛んできており対応に苦慮した。背も低いしここでもジョレンテ目掛けて蹴り続ければ一点くらいは取れそう。やはりジョレンテが打開の鍵を握るでしょう。
●セットプレー
空中戦とセカンドボール回収に特徴があるチームなのでセットプレーは多いし、得意。ロイスとブラントはそれぞれ良いキックを持っている。特にブラントのCKは好印象。ロイスはニアに引っ掛かりがち。PKはフュルクルクも上手いがジャンが上手かった(26節フランクフルト戦)
●vsアトレティコ
ではアトレティコとどう噛み合うかをシュミレートしてみようか。
大きく開いたCBからの配球を止めるためにアトレティコは前3枚。ジョレンテを軸としたい。エルモソは怪我で間に合わないかもなので一旦ヘイニウド。
アトレティコの非保持はデフォルト形に近い。最終ラインの振る舞いはヴィツェル&ヒメネスでフュルクルクで対応。ロイスがボールを触りに降りる動きにヴィツェルが付いていく。その際はヘイニウドがマーレンを見ながらサポートポジション。フュルクルクへ良い縦パスを刺せる場面を減らす守り方なので、このロイスの潰し方は重要になる。
大外はモリーナが概ねサンチョを止める想定。多分ここに悩みはない。右はリエルソンがビルドアップを助けに行く場合リーノは付いていって良い。ここでハメてGKまで戻させてロングボールを回収する形で守れればアトレティコは保持の時間を延ばせる。
中央のザビツァー&マートセンvsコケ&デ・パウルでアトレティコが後手に回るとはあまり思えないが、ブンデスのクラブとやる以上ここはポイントであり続ける。2人の得意な過剰労働を楽しもう。
アトレティコの保持。ドルトムントは大外対応をSBがやるのが基本。もちろんアトレティコのキーマンは左大外のリーノで、ここでリエルソン相手にクオリティで優位に立てば試合は簡単になる。突破が出来れば最高で、グリーズマンとコケのマークをどうするのかを問いながら逆の大外でマートセンに守備対応をさせる形が理想。モリーナのマークにサンチョを引っ張る事が出来ればカウンターの脅威が半減し、アトレティコは押し込むフェーズを作れる。ちなみにSHの中ではアデイェミが降りて守備をする意識が一番高い。
●まとめ
シーズン前半戦を見ていないが、一悶着あって辿り着いた形なんだろうなという感はある。
そもそも明確なポリシーの下に出来上がったスカッドという雰囲気があまりなく、過渡期という印象。
そうは言っても国内では4敗しかしていないしCLは死の組を抜けた。良い結果で終わるチャンスをまだ自分達で握っている事も含めて、境遇はアトレティコと似ている。
ただし得点は取れている、失点は抑えられている、という結果ほどは良いサッカーが出来ている印象はなかった。試合に勝つのが上手いのと、フュルクルク、マーレンが点を取ってくれる事が課題をぼかしてチームを勝たせている現状がある。別にそれを悪いとは言わない。勝ってるわけだし。ただアトレティコからすると突けるポイントは少なくともインテル戦よりは多いと思われる。インテル戦の完成度バトルとは異なる試合。その分、いかに目の前の事象に柔軟に対応できるか求められる試合になると思われる。グリーズマンがより活きる試合にしたいし、デ・パウルはプレーメーカーとして壁を越える機会としたい。
ドルトムント側が軸としたいのはカウンター。アトレティコがブロックを作る前にシュートまでいく形を作りたい。マーレンが自分の形でシュートを打つシーンをいくつ準備できるか。彼は試合内容に関わらず得点に至れるワールドクラスの飛び道具である。あとはセットプレー。そしてボール保持でブンデスっぽい試合展開に引きずり込めるかは重要なポイント。
一方で守備局面ではアトレティコの前進をいかに阻害するか。また、両SBの背中を取ろうと複数人数を動員するアトレティコの崩しのパターンに耐えられるか、横幅の管理が不完全な守備組織は大きなサイドチェンジに我慢を続けられるのか。アトレティコとしては理屈と物量でスコアを積み上げ、ホームの1stレグで試合を決めたい。
PSV戦で特に感じた部分だが、やはりドルトムントもホームゲームの方がインテンシティが高まるタイプ。保持で押し込むタイプのチームではない分、継続的に優勢な時間を作るのが難しい。ボール奪って攻撃してシュート打って相手ボール、のサイクルが速い。ホームゲームの方がセカンドボールの回収と主にSH付近の圧力が高まる傾向にあり、良い時間を長続きさせる効果がある。中盤のボールの奪い合いが最初の注目ポイント。
世間的な注目度は準々決勝で断トツに低そうですが、残念ながら現行のルールですと誰が何を言おうと勝てばベスト4です。燃えていきましょう。
2024/04/10
シビタス・メトロポリターノ
CL23-24 準々決勝 1stLeg
アトレティコvsドルトムント
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