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杞憂に変えて コパデルレイ2回戦 アトレティコvsカセレーニョ(A) 2024.12.5

国王杯2回戦。アトレティコの1回戦は10月31日に終わっていたがバレンシア州を中心とした豪雨被害の影響で試合延期が続出し、全て終了したのが11月26日。直前にようやく2回戦の組み合わせが決まった格好に。
下位リーグのクラブのホームにプリメーラのチームが来るのだから早めに日程を決めてたくさん宣伝したかっただろうが、どうにか盛り上がってほしいところ。

アトレティコの対戦相手はCDカセレーニョ。セグンダ・ディビシオンR.F.E.F.なので4部。
国王杯の対戦相手のホームタウンをgoogle mapでうろちょろするのが好きなんだがカセレス周辺はイスラムの香りがする映画の世界のような街並みだったが、旧市街が丸々全部世界遺産との事。どうりで。バルベルデ監督やフェルナンド・モリエンテスの故郷らしいです。
リーグでは現在5位。マドリード州と同グループとの事でラージョ・マハダオンダが8位なのでそのくらいのチーム。ちなみにヘタフェBが3位、マドリーCが12位。国王杯1回戦は3部のセゴビアナ相手に延長戦の末2-1でアップセット。



●スタメン

・アトレティコ
ムッソ
アスピリクエタ / ヴィツェル / ル・ノルマン / ハビ・ガラン
リケルメ / デ・パウル / コケ / リーノ
コレア / スルロット

ル・ノルマンが9月29日のマドリーダービーで頭部を負傷して以来初めての出場。ようやく戻れた。
このところ出場機会が減っているアスピリクエタ、ヴィツェルもスタメン。中盤はデ・パウルとコケ。
尚、グリーズマンは抜歯のため今季初めて欠場となる。

・カセレーニョ
ニエベス
イバン・マルティネス / バリオ / クレスポ / ジエゴ
クラウシ / ハイメ・サンチョ / サルミエント / デコ / メレンシオ
クリスティアン・マルティネス




●前半

カセレーニョは4-1-4-1風。

スペインの下位リーグのクラブらしくビルドアップをしっかりやる。6番のクラウシがアンカーポジションで、この選手は相手FWの横を取るのが上手い。
8番のデコと10番のサルミエントがボールを引き取りにハーフスペースを縦移動する形でボールを進めた。その動きに大外が連動していくイメージで擬似カウンターが本線という感じ。アトレティコはデ・パウルとコケがどこまで前を捕まえにいくべきかやや迷った。
10番のサルミエントは非保持でFWの9番クリスティアン・マルティネスと並列になって4-4-2を作る仕事もしていて忙しい。

ピッチ状態がなかなか厳しく、かなり緩そうでブレーキをかけると抉れたり剥けてしまったりとちょっと危ない感じ。こうなるとピッチ中央でビルドアップを確立するのはなかなかリスクがあり、アトレティコはデ・パウルとコケ、さらにヴィツェルがいるのになかなかショートパスで進む作業に苦戦した。こういうところにちゃんとプレスをかけていくのは流石にやり慣れたホームチームの方。

アトレティコは2CB+2CHで前進してSHが内側へ向きコレアが降りてくる手法で敵陣に入っていったが、SHが相手SBと対面して押し込みながらSBの駆け上がりを待つのはけっこうしんどかった。相手は当然ロングカウンターを狙うだろうし、縦パスでどうにかプレスラインを超えてあとは走って敵陣に入りましょうというやり方は望ましくない。じゃあ3-2-5に変えましょうか、という試合でもないしな。という感想でした。

アトレティコは29分に右からのビルドアップで突っ掛かりロストするがスルロットの気が利いて中央で拾い直してロングカウンター。リーノに決定機が来たがGKニエベスがこの日最初の大仕事。直後にカセレーニョがお返しのロングカウンターで完璧に仕留めて左SHのメレンシオに先制点が来た。完璧すぎてびっくりした。

この失点の頃にリケルメが右サイドをクビになり左へ。アスピリクエタとお互い何をやりたいのかあまりわからないままのポジショニングだったのはお互いベンチメンバーが突然使われた感が強い。
これでリーノが右に行くのかと思ったがコレアが移動してリケルメ、リーノ、ハビ・ガランの3人で左サイドを打開する事になった。リケルメとリーノで一人のWGみたいな扱いになったのはアマゴワクチンとトゥーカッター感があった。

ワールドカップ第2Rは感動の名シーン


●前半終了

0-1で前半終了。ピッチ状態に適したサッカーが出来すぎているカセレーニョに大苦戦した。ル・ノルマンとアスピリクエタの最終ライン2人がイエローをもらうなど考え得る苦戦パターンの頂点である。特にアスピリクエタはフル出場を期待されていたと思うので残念。カンテラーノを使う余白もなくなった。

攻撃陣ではリケルメとリーノが本当に信頼されていないんだなという内容。まあそれは予見できていたので意外ではない。


●後半

アトレティコは3枚替えた。復帰戦のル・ノルマンは45分のプレーをこなして交代。徐々にやっていきましょう。あとはアルバレスとジョレンテ投入。本当に3-2-5みたいなメンツになってしまった。

3枚替え

流石に4部リーグのチーム相手にジョレンテを押し付けるのは凶器であり、しかも左ハーフスペースを上下動するフリアン・アルバレスをアンカーのクラウシが見張る必要があってジョレンテ・コレア・デ・パウルの3人をほぼ同数で対応するようになって試合がぶっ壊れる要素が出始める。

まあそれでも贔屓目無しにカセレーニョはスパルタ・プラハよりは上手く守っていたでしょう。こうなるとジョレンテに対して"クロスを上げられるのは仕方ない"という守り方にならざるを得ないが上手くやっていた。ゴール前にスルロットがいるから難しかったと思うが。

アトレティコはボールの走らない芝状態で横パスのやり取りに苦労したがラングレは凄いクオリティでパスを通していく。ちょっとパス技術がこの選手は抜けている。他の選手と比較にならない。
流石にアップダウンが厳しくなってきたカセレーニョに対して59分にロングカウンターでコレアが仕留めかけるなど時間の問題感は出てくる。直後にカセレーニョはめちゃくちゃ走っていた中盤の10番サルミエントと先制点のメレンシオを交代。アトレティコはコケ→バリオスを交代。最後のカードは65分のコレア→ギャラガーで計画通りの交代でしょう。まだ負けてるけど。ところでオブラクとヒメネスがいないのでデ・パウルがキャプテンになってました。一回戦のヴィック戦では前半コレアがキャプテンだったりレアケースが多い国王杯。第3キャプテンより下って何か決まりあるのかね。

73分にはデ・パウルの狙い澄ましたミドルが枠に飛んでいたがこれもニエベスが大仕事。一生子供に自慢できる。
その後、とんでもないパフォーマンスだったMFのデコが交代。対角のキックが素晴らしかった。2部くらいなら余裕でやれそう。


アトレティコは後ろにヴィツェルとラングレしか残せていなかったので、カセレーニョは終盤にもう一つカウンターを刺す手を残していたらかなり脅威だったが流石にそこまでは望みすぎか。サイドからの侵入を擦ったアトレティコは83分にデ・パウルのアーリークロスがラングレにドンピシャで合ってようやく同点。
85分には右サイドで気合を見せていたハイメ・サンチョが2枚目のイエローで退場。一枚目のハビ・ガランを止めたのは必要案件だったが2つ目のカウンターでリーノを引っ掛けてしまったのはやや不用意だった。

87分にアルバレスのFKがラインを割っていたかどうかや相手チームのリスタートが遅い事などにキレまくっていたシメオネが久しぶりに退場。

ロスタイムに入りデ・パウルのどこ狙って蹴ったかよくわからないへなちょこのミドルシュートがディフレクションしてゴールへ。最後は間延びしきった所をフリアン・アルバレスのダメ押しゴールが決まって3-1で試合終了。



●試合結果

カセレーニョは強いサッカーをするチームだった。練習でもなかなか決まらないほどの狙い澄ましたロングカウンターが綺麗に決まり先制。ただし、アトレティコがハーフタイムで3枚替える選択肢を持てた事を考えるとカセレーニョが勝つためには先制点が少し早すぎたのかもしれない。
後半はジョレンテとアルバレスの存在で完全に押し込まれて再度カウンターを刺す展開を作れず、中盤の厚みを増したアトレティコからボールを奪う事もままならなくなっていった。ラングレの配球とハビ・ガランのポジショニングという今季得た2つの武器で押し込んだ事により、さらにリケルメorリーノの質で左大外を突き進む形からは遠ざかっていった

アトレティコは同点まで時間が掛かって間違いが起こりそうな試合にはなったが、終わってみればどうすれば敵陣保持を改善できるかとターンオーバーを両立させてしっかり逆転した。シメオネはキレて退場したが。冷静なのかバグってるのかどっちかにしてほしい。
良かったのはラングレ。速いパスを大外のハビ・ガランに届けてカセレーニョに後ろ向きの守備をさせて展開を変えた。デ・パウルのラストパスに合わせて同点ゴールも決めている。そのデ・パウルは1ゴール2アシストで全得点に関与。好調を維持する。
おそらくシメオネが期待していたのはリケルメとリーノが得点に絡む所だったと思うがリケルメは引き続き酷いもので、リーノは空回りが続く。もう少し落ち着いてほしい。


エスタディオ・プリンシペ・フェリペ
カセレーニョ 1-3 アトレティコ
得点者
【カセレーニョ】’30 メレンシオ
【アトレティコ】’83 ラングレ ’90+2 OG(アドリ・ペレス) ‘90+6 アルバレス


●ピックアップ選手

ラングレ
後半から出場。ビルドアップを促進させて押し込みに貢献した。83分に待ち望んだ同点ゴールもゲット。2試合連発で完璧な働き。

デ・パウル
荒れたピッチをあまり気にしないのは流石に南米特有。フリーで蹴れればこの日も精度は文句なしだった。

ジョレンテ
下位カテゴリーでは一番どうにもならなかったのはジョレンテでしょう。止める方法がなかった。

アルバレス
中央の縦挙動が周囲と合うようになってきた。このチームはこういうFWに慣れている。

ル・ノルマン
復帰。問題なくプレーした。バルサ戦に向けてプレータイムを伸ばしたい。


●myQA

特に無し

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