見出し画像

サンプル収集 コパデルレイ準決勝1st Leg アトレティコvsバルサ(A) 2025.2.25

国王杯もいよいよ準決勝。
欧州大会を戦うクラブにとってはこの時期のホーム&アウェーはなかなか厳しいが今年準決勝に残った4チームはバルサ、アトレティコ、ソシエダ、マドリーで全て欧州大会を勝ち残っているクラブである。頑張りましょう。



●スタメン

・アトレティコ
ムッソ
ジョレンテ / ヒメネス / ラングレ / ハビ・ガラン
ジュリアーノ / デ・パウル / バリオス / ギャラガー
グリーズマン / アルバレス

国王杯のGKはムッソ。
ギャラガーは1月25日のビジャレアル戦以来のスタメン。

・バルサ
シュチェスニー
クンデ / クバルシ / イニゴ・マルティネス / バルデ
ペドリ / フレンキー・デヨング / ダニ・オルモ
ヤマル / フェラン・トーレス / ハフィーニャ

レヴァンドフスキはベンチから。ヤマルは週末のラス・パルマス戦で怪我をしたという話だったがスタメンに。中盤の序列はよくわからないがカサドを休ませる意図があると思われる。


●前半

週末のバレンシア戦同様、グリーズマンが右旋回。早速そのグリーズマンのクロスにアルバレスが合わせて枠内シュート、それで得たCKからグリーズマン→ラングレ。流れたところにアルバレスが詰めた。1分で先制。

この日のバルサ序盤の特徴は前プレがそんなに強くなかった事。アトレティコ最終ラインの保持をある程度許容した。何故でしょう。6分にはクンデの甘くなった横パスをアルバレスがカット。グリーズマンに渡して一気に2点目。アルバレスに対するクバルシの対応は場当たり的でベストを選択できていなかったのは残念。グリーズマンしかいないのにグリーズマンを狙ったパスを警戒できていないのはハイラインの弊害。駄目でしょう。

2点入ってようやく普段の景色に。バルサがボールを持つ。

この日は最前線で基準となるレヴァンドフスキがいない。バルサはハフィーニャ、ダニ・オルモ辺りがセンターレーン付近を自分で狙う意思を強く持っていた。さらに19分の1点目のシーンではオルモよりペドリが高い位置へ。フェラン・トーレスの右側へ出ていくのはオルモ、左に出ていくのはペドリ、という緩やかな分担がされていた。

失点シーン

問題はアトレティコが左サイドを2vs2で打開された事だが、ヤマルはギャラガーの足が止まった瞬間に合わせて背後へボールを送ってクンデの抜け出しを助けている。ハイレベルなプレーだが、ヤマルが内向きにボールを持ってクンデが追い越す動きなどミーティングで説明されるまでもなく再警戒のプレー。こんな簡単に割られるとは思わなかった。残念。
また、アトレティコは先季はマイナスのクロスでど真ん中がガラ空きという失点を繰り返していたが久しぶりに出た。ダニ・オルモが高い位置まで入ってこない事でバリオスのマーク対象が曖昧になってしまった感。ミスでも何でもないが、こういうクロスのマイナスのライン上に何となくポジションできるようになると一段階の上の守備になる。そもそも2vs2のカバーができない割にデ・パウルのラインより前に立っていては何もできない。やっぱりミスかもしれない。

直後にCKから失点し即同点に。クバルシのヘディングが弱いとは言わないがクバルシに頭上から叩き込まれちゃ駄目でしょう。お話にならない。CLの重要な試合で決勝ゴールがCKからクバルシのヘディングだったとして"クバルシならノーチャンス。仕方ない"となりますか?去年のフュルクルクぐらいの納得感がありますか?「防げなかった」と言えますか?
ついでにイニゴ・マルティネスにCKからもう一発頂戴して前半のうちに逆転を許した。噛ませ犬すぎる。


●前半終了

そもそも2-0以降一切敵陣でプレーしていないので評価のやりようもないが久しぶりに見たくない試合を見させられている気分。序盤の2得点を簡単に吐き出して結局1点追いかける展開に。

前半のアトレティコがやろうとしていた事はグリーズマンを右に置く事。週末のバレンシア戦でやっていた攻撃の形を出すためだが、アトレティコはビッグマッチで5-4のブロックを作る時は2トップの片方が左に落ちるのが定番。この試合は"左にギャラガーを置く事でどれだけ2トップを前に残せるか"の実験の要素が強かった。その実験の目的は間違いなくマドリー戦を見据えたものである。マドリーの左サイドを押し込む構成はできる限り準備したい。

結果的に望ましくなかったのはギャラガーのいるサイドからぶち抜かれて失点した事。"絶対失点しない事"を保証できないならリーノの方が良い。グリーズマンが右に移動するならなおの事リーノの方が良い。
プレス回避を難しくしたのは2点リードした事だったのかもしれない。徐々に強度を増してくるバルサに対して「ギャラガーではプレス回避ができない」とまでは言いたくないが、リーノがいれば状況が違ったのは間違いない。それにしてもあれよあれよと失点を重ねる中で何も改善できなかったのは看過できない。


●後半

選手交代なしで後半。グリーズマンの非保持配置含め何も変えなかった。ロッカールームで雷が落ちたと予想される。2つほど少ない人数でのカウンターを完結させたが、これはシンプルにバルサのネガトラの穴である。アトレティコが何かを改善したわけではない。

ここで追いつけず、55分にヘイニウドとリーノが出てくる。ヘイニウドはハビ・ガランと出場時間の分担目的。リーノを入れて左。この数分後には右に回ったギャラガー→モリーナを替えた。

バルサはダニ・オルモが手前から最終ラインの背後までコントロールし始める。フェラン・トーレスに速い縦パスが入ってアトレティコの守備が振り回され始めた。
通常はここで出し手に圧力を掛けないと守備の局面を変えられないが、変えずに耐えるのも一つの手である事をシメオネは教えてくれる。対応させられるのではなく自分達で何とかしなさいという。そのためにはヤマルに2,3人連れていかれるわけにはいかないのだが、ヘイニウドに「一人で止めてくれ」というタスクを渡している。アトレティコからすれば"ヘイニウドを入れているのに出し手への圧力を強める"方が矛盾している。ダニ・オルモの対応はあくまでもラングレのタスク範囲。自分で何とかしてください。

68分にはアトレティコがコレアとスルロット。交代がグリーズマンとデ・パウルだったのは意外だった。バルサは同時にレヴァンドフスキとガビを入れた。

コレアは久しぶりに右サイド。アトレティコはジョレンテが中盤に移動すると不思議な事に全体が前がかりになり始める。別に後方のスペースはジョレンテがカバーしてくれる、という事ではなくむしろジョレンテは自ら最前線を追いかけ始めて後ろのカバー誰がやるねん状態になるんだが、チームに謎の統一感が生まれ始めた。ついでにコレアの状態が良く、バルサはWGともトップとも何とも言えないタスクをどうやって捕まえるのか決めかねている様子だった。バルサの選手達は走力で相手を追い込む守備を得意としている反面、強くボールにチャレンジできる選手が多くいるわけではないのでコレアの足を止めて急に方向転換する曲芸になかなか飛び込めず苦労した。

アトレティコが前がかりになっている分当然バルサの保持にも余裕が生まれ、簡単にヤマルにPA内で勝負されたところから4点目を献上。これまではどれだけヤマルにやられていると言ってもドリブル開始位置はPAの外からだった。最終的にはヘイニウドが抜かれたなら仕方ない。誰も止められない。ヤマルはこの試合は内側に進む形を擦り続けたがここで縦選択。彼の突破はある程度諦めるしかない。リーノのサポートが間に合わない方が内側へ進んできてくれた可能性もあったが、これはどうしようもなかった。

ノリに乗っているバルサは次のプレーで左サイドでハフィーニャがモリーナを振り切るなどイケイケムードになり、スタンドもテンションが最高潮になる。ただし、冷静に見ると2点リードしている側のバルサがわざわざピッチ全体を広く使ってボールを持ってくれるのは追いかけるアトレティコからすると非常に助かる。両WGを交代させていない状況で正しく守れるわけがない。本来は敵陣で配置を固定させて外回りにボールを持つべきで、ボールの失い方にも細心の注意を払うべき。ただし今のバルサは不必要な5点目を取る事だけを考えており、あまりクローズの考えはなかった。このメンバーでクローズ策も何もないんだがフェルミン・ロペスとエリック・ガルシアが準備していて、それすらもワンプレー遅かった。

3トップが全く守備に参加できない

これでコレアが何の苦労もなくポケットを取り切りマイナスの折り返しにジョレンテが待っていた。84分に1点差となる。ここにいたのがコケでもバリオスでもデ・パウルでもなくジョレンテだったのは偶然か、必然か。

そういえばバルサってクローズ局面でもハイラインなんですね、そもそもクローズなんて考えがないんでしょうね、と思っていたらラングレの配球をフリーにしてくれてリーノが一発裏取り。最後はゴール前で必ず待っている男スルロットがまたしてもロスタイムのゴール。同点に追いついてアウェーゲームを終えた。


●試合結果

2-0だった事を考えたら。2-4になった事を考えたら。様々な見方のできる試合だったはずだが、総合してアウェーの1stレグで同点は悪くない。

序盤の奇襲が決まった事は幸運で、そのリードを簡単に吐き出した前半は今季でも最低レベルの出来だった。"このメンツだとこうなりますか"という気付きが随所にあり、今後のビッグマッチに向けた資金石には充分になっただろう。グリーズマンの守備配置はマドリー戦でリバイバルする要素が大きい。その際はリーノを使うか、ヘイニウドを使うかが予想される。

ビッグマッチが続く。テンション上げていきましょうね。


2/25
モンジュイック
バルサ 4-4 アトレティコ
得点者
【バルサ】'19 ペドリ '21 クバルシ '41 イニゴ・マルティネス '74 レヴァンドフスキ
【アトレティコ】'1 アルバレス '6 グリーズマン '84 ジョレンテ '90+3 スルロット


●ピックアップ選手

ジョレンテ
チームの熱量を自分のプレーでコントロールしたのは流石。
同点に至る流れを生んだ。

コレア
ボールタッチの感触が良くスペースを得た終盤に得意なプレーがいくつも出た。ビッグマッチになると他の警戒が強まって重要な役割を果たせる。

ムッソ
逆サイドまで飛ばせるキックと前線まで届けるパントキックは魅力。
シュートストップは結果を出せなかった。

リーノ
チームが前向きにプレーするための大事な仕事。簡単に背後を取ったのは普段通りの動きだった。

スルロット
この日も終盤に貴重なゴール。得点シーン以外にもイニゴ・マルティネス相手に優位を持って「もっとプレーできる」をアピールした。


●myQA

C6-1 左サイドの組み合わせ
ヤマル相手に侵入されるのは想定内だが、この組み合わせなら守れると思って選ばれたメンバーで守れなかったのは一つの結果。であれば攻撃色を強める選択肢があっても良い。これもサンプル。

いいなと思ったら応援しよう!

がーすけ
いただいたサポートは全てアトレティコ関連のアウトプットに生かします。

この記事が参加している募集