窮地が何処かを誰が決める 11節 アトレティコvsベティス(A) 2024.10.27
調子の上がりきらないベティスとの試合。
ここまで4勝3分3敗で10得点9失点。点が取れていない。ECLも2試合で1分1敗と苦しんでいる。
前回対戦
状態が良くない時期で、どうにか守り切った試合。潔さがあった。
●スタメン
・アトレティコ
オブラク
モリーナ / ヴィツェル / ヒメネス / ヘイニウド
コケ / デ・パウル / ギャラガー / リーノ
グリーズマン / アルバレス
リール戦からは2人変更。リーノは10月2日のベンフィカ戦以来のスタメンとなる。
・ベティス
ルイ・シルバ
ルイバル / バルトラ / ディエゴ・ジョレンテ / ペロー
フォルナルス / アルティミラ / ジョニー・カルドソ / アブデ
チミー・アビラ / ロッキ
ナタンは前節退場、マルク・ロカ、そして絶好調男のロチェルソは怪我でメンバー外。実はCBの替えが全然いない。
●前半
この日もアトレティコは後ろ2枚でスタート。
リケルメが左大外を取ってバリオスがいたレガネス戦、大外担当がいないのでハビ・ガランの可動力に全振りしたリール戦からさらに劣化したメンツで戦った。なんでこういう最適解を探すよりも形ありきの選択をしてしまうのか疑問。
ヘイニウドをSBにして4バックは無理でしょう。自分より後ろからボールを受ける事ができないので立ち位置は必然的にギャラガーより低くなる。ギャラガーはリール戦同様、ヒメネスからボールをもらって進行方向を決めるプレーができずにビルドアップに参加できない。この時点ですでに2人なんも仕事をしないので渋滞しているがリーノに大外を取らせるためにはボールを引き取る選手が必要になり、グリーズマンが間に顔を出すしかなかった。悲しかったのはコケにはジョニー・カルドソが強めにプッシュしてきたがギャラガーはそれなりに放置された事。アルティミラはギャラガーがトラップしてから距離を詰めれば十分で、グリーズマンを気にする余裕があった。結果的にベティスの2CBは片方が余る事ができるのでリーノにボールが入っても何も生まれない。アブデが多少気を利かせて守備に参加すると右サイドのデ・パウル&モリーナは優位性を作れなかった。ベティスがフォルナルスとチミー・アビラを中継点にしながら簡単に縦パスを刺して進んでいくのを見ると悲しい気持ちになる。
大外の幅とライン間の引き出し、2トップの奥行きを連動させた良い構築
アトレティコは4分に早速失点した。
出し手は4vs2で数的優位。ボールに圧力がかからない。コケはボールを触りに落ちてきていたチミー・アビラの対応をしてデ・パウルとギャラガーはなんとなくのポジション。ライン間がガラガラな事に誰も気を配れない。ヴィツェル周辺をこれだけ空けたら好き放題侵入されるのは当然の事。
良いロングボールがペローに出てアブデが前向きになり突進。やられ方としてはレガネス戦と同じと言っていい。個人的にはデ・パウルはポケットの管理をできないなら何のために試合に出ているのかわからない。このシーンはギャラガーも同様だがチミー・アビラの動きで全体を押し下げられたはずなのに、下がる事さえしていない中盤ラインの狙いがふわついていた。考え直した方がいい。
前半1失点で済んだのはシンプルにベティスが外しまくったせいであり、特にアブデは15分にCBの背後を取ってGKと1vs1、27分にはロッキのフリックを受けてフリーで決定機を迎えている。その他数えきれないほどチャンスを作ったが全部外した。リール戦みたいな事もあればこういう事もあるのがサッカーですね。
たまたまカメラに抜かれたシーンをグダグダ言っても仕方ないかもしれないがヘイニウドがベンチに3CBにするべきという意図(と思われる)で指を3本立ててその後リーノが最終ラインに入って5-4-1だかなんだかよくわからない配置に変わったが、何よりこの態度が気に入らない。ボールを握れないのは概ねヘイニウド自身が悪いし何の工夫もなく「システムを変えてくれ」は理解できない。自分が大外を取ってリーノを動かし、「中盤がギャラガーとデ・パウルじゃ進めないよ」まで確認しているならわかるが現状ビルドアップできない原因はどちらかというとヘイニウドの狙いのないデスパスにある。お前が気持ちよくなるために試合してんのか?さっさとピッチからいなくなればいい。ビルドアップできないので替えてくださいと。別に4-4-2じゃなくなれば失点のリスクがなくなる試合だったとも思わないし、そんな誰かの一声で変えていいような軽いシステムなら最初から5-5-0で守っていた方がいい。その方が失点しない。
●前半終了
0-1で折り返し。レガネス戦に続いてビハインドで前半を終えた。ここでの選手交代が今の序列になる。
ベティスはあまり4-4-2のイメージはなかったが緻密な前半。特に2トップの関与が良く、落ちてくる動きと背後を狙う動きでアトレティコCBを慌ただしくさせた。ヒメネスがヴィトール・ロッキのスピードに苦戦したのはコンディションだけではない。
●後半
スルロットとハビ・ガランを投入。
グリーズマン、アルバレス、スルロットがいてリーノもいるメンツに。あとはジュリアーノを入れるくらいしか攻撃シフトする方法がないくらいに攻撃的になった。ただし、モリーナ→ジュリアーノの交代を迷わせる事になった原因はアブデの突破脅威であった。結局モリーナを残して、ジュリアーノはリーノと交代で投入する事になり完全な捨て身スタイルになる事はできなかった。
アトレティコは左からの侵入を改善していったが、重要な要素になったのはハビ・ガランが中盤に降りたグリーズマンにボールを渡せばどこまでも上がっていって良いという思い切りの良さ。
ハビ・ガランは何かあったらグリーズマンのせいにするのが上手い。また、グリーズマンとコケが中盤でボールを引き取り始めるとデ・パウルがフリーで右ハーフスペースを使い始めたがこの日はキックのフィーリングが悪すぎた。ただライン間を浮遊し始めたのは良い傾向で、バリオスがいない今この仕事はデ・パウルにやってもらうしかない。
ジュリアーノ投入のタイミングでグリーズマン→コレアも交代した。コレアが2回ポストに当てているのでアレだがアルバレスが左大外に動く事になるのはなんとも考えものである。押し込んで放り込む形を用意したのは良かった。ベティスは得てしてこういう展開に弱いので。決めきれなかったのはシンプルに残念。ただどう考えてもコンディションが厳しかったヴィツェルが最後まで広大なスペースをカバーし続けジュリアーノを筆頭に最後まで走力を出した試合は今後への布石になる事を期待したい。
MFの解決策として期待したいルマルが復帰したもの大きかった。84分からの出場で2023年9月16日のバレンシア戦でアキレス腱を断裂して以来、408日ぶりにピッチに戻った。おかえり。ライン間ワークをする人がいないので大いに期待している。
●試合結果
11節で初黒星。あまりそういう感覚がないのは何故だろう。
前半の設定が緩かった事が敗因になるが、ピッチ上で解決できなかった事を重く受け止めたい。もう少し工夫できても良かったが最近のアトレティコはどうも思考が疲労してしまっている感じがある。もうちょっと柔軟に。頭を柔らかく。ラングレがいる試合は良く循環していた感覚があるんだが。あとはバリオスとルマルに期待したいところ。閉塞感を突破するのは練習場でもミーティングでもなくピッチ上のような気がする。こんな状況をいちいち監督だのベンチだののせいにできるほど単純ではない。なんとなくここは窮地ではないように思う。この先に注目したい。
この試合に注文を付けるなら、CLの大敗後でモチベーションの置き所を設定して試合に入りたかった。その意味で最大のモチベーションを持っているのはスルロットだったと思うので、配置の優先順位よりもスルロットの起用を選択して欲しかった気持ち。結局前半のメンバーはハズレだったし。
これでクラシコに勝ったバルサとの勝ち点差は10に広がった。あっという間。変化が必要だ。救世主はどこにいるか。
10/27
ベニート・ビジャマリン
ベティス 1-0 アトレティコ
得点者
【ベティス】’4 OG(ヒメネス)
●ピックアップ選手
ハビ・ガラン
後半から出場。グリーズマンを中心に置くボール保持を推進して敵陣でプレーする時間を作った。ビルドアップではとりあえずドリブルで抜きに行くチャレンジは違いを生める。
ジュリアーノ
縦の推進力を出して敵陣深くを取りに行った。期待された仕事は完璧にやれている。いつものジュリアーノ。
ルマル
復帰。求めたい仕事は山ほどある。
●myQA
11-1 中盤の組み合わせ
どうにも組み合わせに苦労している。リール戦に引き続きギャラガーがボール保持の役割を担当できずに苦戦した。なかなかどうして。
一方のデ・パウルもこの日の前半は効果的に関与できなかったが、彼の場合気分的なものもありそう。ただ、ジュリアーノが右に動いてビルドアップではボールを引き取る仕事、ラストサードではグリーズマンから横パスを受けて大外orアーリークロス、ネガトラは気合と定まってからの方が試合に参加できた。いかにバリオスが(粗の多さに目を瞑れば)万能型かという話だが、4-4-2になってからはMFの受難が続く。ルマルのライン間で縦パスを受ける仕事が打開案になる事を期待したい。