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実家のような安心感(少しの違和感と共に) 15節 アトレティコvsバジャドリード(A) 2024.11.30

CLスパルタ・プラハ戦から中3日。昇格組のバジャドリード戦。前回対戦。

22-23シーズンの終盤。イバン・フレスネダって何してんだっけと思ったらスポルティングに移籍して全然試合出てませんでした。今こそマドリーに需要あるのでは。

2節と4節でマドリー&バルサのアウェーが終わったので「ここからだ」と言ったがその後も普通に負け続けてここまで2勝3分9敗で最下位。18位と19位のバレンシアvsエスパニョールが延期中なので消化試合が1つ多いのにめっちゃビリ。10得点はビリ。27失点もビリ。ただしマドリーとバルサにその内10点を取られており、ホームではクリーンシートが3つある。複数得点が一回しかない事の方が課題かもしれない。個人的にラウル・モロは今季最大級の衝撃である。楽しみ。


●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ジョレンテ / ヒメネス / ラングレ / ハビ・ガラン
デ・パウル / バリオス / ギャラガー / ジュリアーノ
グリーズマン / アルバレス

ミッドウィークから変更はスルロットをグリーズマンに変えただけで最小限。スタメン最長はいつの間にか6試合連続のラングレに切り替わっている。

・バジャドリード
ハイン
ルイス・ペレス / ジュマ・バー / キュマルト / ハビ・サンチェス / ルーカス・ローザ
キケ・ペレス / アマラー / イバン・サンチェス
ラウル・モロ / ママドゥ・シラ

アマラーが復帰。イバン・サンチェスのスタメンは4節以来で、今季スタメンはマドリー戦、バルサ戦に続く3度目。対3強要員。調べていて初めて知ったがアトレティコ出身でした。



●前半

・前向き4-4-2守備
・デ・パウルの最大化
・「そのへんでなんかやっといてくれ」

お品書き

アトレティコの配置はCLスパルタ・プラハ戦に似ていて、バジャドリードの配置もまたスパルタ・プラハと似た様子だった。

アトレティコのサイド守備はマーク対象をはっきり決めて対応する。これもスパルタ・プラハ戦と同じ。パリSG戦とも同じ。
ジョレンテ→ラウル・モロ
ジュリアーノ→ローザ
ハビ・ガラン→イバン・サンチェス
ギャラガー→ルイス・ペレス
が対応する決まり。特に右のジョレンテ&ジュリアーノコンビはどっちが前でどっちが後ろにいても概ね問題ないので完全にマンツーマンで付いていった。

この日のバジャドリードのビルドアップはアマラーが左に落ちる形がポイント。サイドがマンツーマンになる関係上デ・パウルがアマラーの様子を見ながら左HVハビ・サンチェスの配球も見張る形になる。デ・パウルは2度追い3度追いが趣味なのでハビ・サンチェスからGKハインまで一人で追いかけて蹴らせる事ができるので良い守備が作れていた。右HVの18歳ジュマ・バーは何度かアルバレスのプレスを交わす余裕を見せた。ちなみにデ・パウルがGKまで追いかけると走る必要が出るのはバリオスで、毎回アマラーの位置まで走って詰めないといけないので大変そうだった。頑張ってください。
バジャドリードの攻撃の狙いは左から進んでも詰まって右サイドに回っても結局ラウル・モロとローザの2人が左サイドを突き進む形が一番効果的なので、アトレティコにとってビルドアップをどう止めるか云々はあまり問題にならなかった。ラウル・モロはジョレンテを股抜きで置き去りにしたので市場価格は爆上がりしたと思われる。

バジャドリード最大の誤算はビルドアップの任務を負ったアマラーが10分頃にハム逝きで交代した事。久しぶりの出場だったのに残念。すぐにユリッチと交代する事になってしまった。

アトレティコはビルドアップ形もスパルタ・プラハ戦に近かったが、相手の両WGが前に出てこなかったのでハビ・ガランがボールを受ける機会よりも中央から進む事が多くなった。

その結果右に落ちていくデ・パウルがボールを引き取る機会が増え、グリーズマンが左ハーフスペースに立つ事も多かったのでデ・パウルが試合を動かしていった。元々グリーズマンと近い距離でプレーすると手が付けられなくなるタイプなので彼にとっても理想の環境だった。並列にバリオスとラングレがいて、右サイドはジュリアーノとジョレンテが狙っているという。
デ・パウルがグリーズマンと近い距離でプレーする最大のメリットは、当然相手のDFがグリーズマンの前に立つのでデ・パウルがフリーで前向きにボールをセットできる事にある。ほぼフリーで右足を振る事ができれば彼は世界トップクラスの選手である。門を通す速いショートパス、右大外で背後を狙う選手へのスルーパス、(この日は左にWGがいなかったが)逆サイドまで送る正確なロングボール、そして必殺のアーリークロスを自由に選択できる環境になれば無敵にパサーになれる。この日はキックのフィーリングも良く何本も決定的なパスが出てきた。

先制点は26分、CKのファーに流れたやり直しでジョレンテがポケットを取り、折り返しにラングレがどフリーで待っていた。何故か3点くらい取っている気がするが移籍後初ゴール。おめでとう。
最近はハビ・ガランがCKの殿をやっているためジョレンテがファーサイドで待機しているが、その結果2試合続けてCKのセカンドチャンスからジョレンテが得点を生んでいる。巡り合わせだが面白いものである。

さて、この日もきめ細かい設計から外れて「そのへんでなんかやっといてくれ」枠のコナー・ギャラガー選手だが、本当にこのタスクが向いているようである。31分には中央で親の仇を取っ捕まえる勢いでボールを拾ってデ・パウル→ジュリアーノのゴールに繋げている。残念ながらオフサイドだったがパーフェクトな速攻。この辺りからもうキケ・ペレス等が集中力を失って喧嘩を優先。あんまり気にしないアトレティコは35分にデ・パウルの雑すぎる強烈なパスを受け取ったジュリアーノが結果オーライな抜け出しで決定機を作り、最後はアルバレスのゴール。ジュリアーノは1stタッチ後に身体ごと前に出ていくのはアルバレスを参考にしていそう。圧倒的に速かった。
直後にイバン・サンチェスが全く狙いのないプレスでラングレを追いかけ、ラングレは慌てず正確に正しいパスをハビ・ガランに渡した所から侵入開始。

バンザイプレス

ついでにルイス・ペレスも全くお呼びでないのにハビ・ガランの位置まで出てきてそこから綺麗に全てのマークが一つずつズレて最後はバンザイプレスの申し子デ・パウルが美しすぎるシュートを隅に決めた。酷い失点。
ロスタイムにはショートコーナーからまたもやデ・パウルの良いボールが入りヒメネスが高い打点のヘディングを決めたが、ショートコーナーのリターンを受けていたグリーズマンの踵がオフサイドだった。ヒメネスの日頃の行いである。


●前半終了

3-0で前半を終えたがもうバジャドリードは萎えていた。このプランで抑えられないならお手上げですという感じ。1点目はセットプレーだったから仕方なかったが"また負けるのか"という雰囲気で集中力を失ってしまったのはよろしくない。そりゃお客さんも途中で帰る。

アトレティコはスパルタ・プラハ戦と似た配置を準備して練度を高める中で、この日はデ・パウル周辺から攻撃を展開して良い結果を得た。デ・パウルはここ数試合絶好調。失点の気配が一切ない中3点取る攻撃のタクトを振った。彼の良さが詰まった45分。スパルタ・プラハ戦以上にほぼ勝利を確定させて後半に入る事ができた。



●後半

・対ビルドアップ
・飢餓感
・村を焼く

お品書き

後半頭からヘイニウド投入。ハビ・ガランがお休み。
バジャドリードもアヌアルとメセゲルを入れて4バックに変更する。

ラウル・モロはここまで。もう少し見たかった。バジャドリードは久しぶりにボール保持スタイルに変更。ジュマ・バーは4バックでもちゃんとボール出しができたのは収穫でしょう。それとルーカス・ローザは内側でボールを受けてジュリアーノを困らせていた。ジュリアーノは後方のジョレンテからあっち行けこっち行けと指示を受けながら内側に移動したローザをデ・パウルに渡すなどお勉強の時間(50:15頃)。ジョレンテのポジション移動の指示を言われた通りに全部やるのはたぶん無理なので上手い事やってください。
3-0なので守備で困ると言っても引いて守れば概ね解決である。そういう展開にしなかったのはチームの狙いというよりももっと出場時間が欲しい、もっと結果が欲しいという選手達の飢えだったのではないか。今季は特にリーノが餌を与えられず飢えている感覚があるがチーム全体がポジションを確保するために飢えているのなら、それはそれでプラス。何もなくてもポジションが確約されているのなんてジョレンテとヒメネスくらいのものでしょう。

51分におそらく指示通りの外切りでジュリアーノがローザを行き止まりに誘い込み、ヒメネスのアンティチポを誘発。

ジュリアーノが外側を切りながらプレス
袋小路に誘い込む

奪ったボールをジュリアーノ自らショートカウンターで突っ走り、グリーズマンのエレガントなゴールに繋げた。これにはバジャドリードのファンも拍手。今シーズンのハイライトになるスーパーゴール。
60分にもグリーズマンのCKにヒメネスがドンピシャで合わせたがハインの好セーブ。出家。

63分にコケ、コレア、スルロットが入って最後のカードは79分にリーノ。休ませたのはデ・パウル、グリーズマン、アルバレス、バリオスでほぼ予定通りのローテーション。ここ2試合で無理せずプレータイムを分配できたのはバルサ戦に至る直線の上で必ず意味を持ってくる。理想的な試合展開となった。

4-0から先にどんな試合をしたかなんておれには関心がないんだが、最後の5点目はオブラクが右SBまで正確なボールを飛ばした所からだった。上手くなったね本当に。スルロットはラリーガだけで見ると6ゴールでチームトップを守った。



●試合結果

公式戦7連勝。その間20得点2失点。いつの間にか勝ち続けていた。大量得点そのものに価値があるとは言わないが取れるに越した事はない。この2試合にネガティブな要素はあまりなく、スパルタ・プラハ戦は普通にビルドアップが下手だったが敵陣打開は上手くいったし、この試合は相手のボールに圧力をかけて取り上げる事ができた所と守備の狙いを再現させないボール保持が良かった。デ・パウルがその役割を果たした。

ここ最近の良い所はグリーズマンとコケの荷物を周囲が持ってあげている所。その上でこの2人がピッチにいる理由を示している所にある。この関係性でアトレティコが上がっていくのが一番見ていて気分が良い。その延長線上にタイトルがあって欲しい。

バジャドリードは後半4バックにした事で"5バックは失点が止まらないからやむを得ずなのだ"という感じを選手に示してしまったのは良い事なのか。言い方悪いがどうせ負けるんだからシステムを変えずに0-3で終わらせた方がまだ課題の掘り出しになったのでは。幸いアトレティコは最後まで攻め続けてきてくれたわけで。ペッツォラーノが自身が年を越す事を最優先で考えてしまっているのだとしたら潮時でしょう。

次はミッドウィーク国王杯2回戦。


11/30
エスタディオ・ホセ・ソリージャ
バジャドリード 0-5 アトレティコ
得点者
【アトレティコ】’26 ラングレ ’35 アルバレス ’37 デ・パウル ’52 グリーズマン ’90+2 スルロット


●ピックアップ選手

デ・パウル
右ハーフスペースでボールを引き取ってチームを動かした。チームが彼を必要とした。その実感が重要。

ラングレ
適切な対応と確実な配球。相手のプレスが近くても逃げずに出したい箇所へパスを通す能力が絶品。嬉しい移籍後初ゴールはご褒美になった。

ジュリアーノ
単品でトランジションをリードしながらジョレンテとポジションが入れ替わっても問題なく対応できる事で可能性をさらに広げる。プレスの角度とスピードが良く守備も活性化させた。ラストサードではアルバレスとグリーズマンのゴールを引き出して適応を感じさせる。

グリーズマン
ゴール前で圧巻のテクニック。タスクに集中できる気持ち良いシステムになった。


●myQA

15-1 非対称4-4-2のデメリット
2試合合計で11点取ったシステムは左SHにギャラガーが入る左右非対称配置の4-4-2。
11点も取ったタイミングだからこそ配置のデメリットについて考えておきたかった。が、あまり思いつかない。「この余白の左大外のゾーンを使う存在としてハビ・ガランでは決定機演出は限定的だね」という話だが、「じゃあリーノとリケルメは左大外で一試合に何度の決定機を作っているんですか?」という感想。
ギャラガーはシンプルに「このへんのエリアを大雑把にカバーしといてくれ」という仕事が得意すぎる。マーク対象も緩やかに3人くらい設定しておいた方がすっ飛んでいってボールを刈り取るプレーが発動しやすい。そう考えると実は今の4-4-2の鍵を握るのはギャラガーなのかもしれない
課題は相手DFを背負ってボールを引き取るプレーが下手すぎる上に左足が全然使えない事だが、ギャラガーの欠点をわざわざシステムで解決するものでもないので本人の取り組み次第でしょう。しかしこのチームの中盤は逆足がおもちゃの選手が多すぎませんかね。
右サイドはジョレンテとジュリアーノがマンツーマンで守備対応をする事で安定。ボール奪取時にどっちが前にいても問題ないのがこの2人の強みである。モリーナは先行してビルドアップタスクに組み込める事をアピールしておいて良かった。
FWの組み合わせ含め壁にぶつかるとしたらバルサ戦なんだが、バルサ戦まではこのまま勝ちたいところ。

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がーすけ
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