LとM-LogicalとMagical-

スマホ、ネット等を介した豊富な情報体験の中で日々の行動までもがいくつかのステレオタイプ(典型)的なフォーマットに沿うようなものへ変化していった。
流行語となった「インスタ映え」の為の行動はそれを象徴した。

利用データに伴う追跡型ターゲット広告の発展により人々のタイプは分析、分類され、サービスを通して
「あなたが欲しいものはこれです」
「あなたが興味あるイベントはこれです」
「あなたが読んだ方がいい本はこれです」
「あなたに合う人はこの人です」
とはもう既になっており、
やがて、
「あなたに適した仕事はこれです」
「あなたが住むに適した街はここです」
「あなたがとるべき明日の献立はこれです」
などと日々のライフスタイル、人生の選択にまで影響を及ぼしてくる事だろう。

勿論広告やマスメディアに思考や行動を誘導されるのは今に始まった話では無いが、
進化したスマートで合理的なこうした選択を続ける限り、本当の意味で能動的かつ自律的に生きる事はますます難しくなるだろう。

こうした流れに抗うように、脱SNS、反合理主義、自然回帰的なライフスタイルを選択する人々も既に現れている。
ヒッピー、ナチュラリスト、アナログ志向、アウトドア派、心の自由を求める人々、etc…

人間らしいライフスタイルを取り戻すかのように、
自然の中でのアウトドア、DIY、手作りワークショップ、農業体験、田舎体験、オーガニック、スローライフ、丁寧な暮らし、気の赴くまま、お金ではない価値、パワースポット、スピリチュアル、等々…

液晶画面ではなく、空の色や風の匂いに注意を払い、一杯のお茶を飲む昼下がりの窓から差し込む光の美しさに注意を向けるような
合理的な文化に対してみれば非合理的とも言えるような、心が求めるものへフォーカスする文化が一方では発展している。

また、スマートで合理的で、インスタ映えもするようなアウトドア体験として、
「グランピング」等に代表される、快適で贅沢な自然体験への需要も高まっている。
電源は勿論の事wifiまでが完備され、テント、コンロ、食材まで必要なものは全て用意されている。
便利で快適な事は決して悪ではなく、素晴らしい事だが、筋金入りのキャンパーからすれば、不自由を楽しむのが醍醐味のキャンプとそれは全く別物だと言うだろう。

人それぞれ心が求めるものは違っている。
便利で快適、合理的な選択を求める人々もいれば、
そうでない人もいる。

しかし実際のところ、ほどよく合理的で、ほどよく非合理的な丁度良いバランスを求める人々が多数を占めるのではないだろうか。

私達は総体として私達の心の望むものを実現する。
１つの極が大きくなれば、相対する反対の極が生まれ、対流を生み、進化の力にしてきた。

私は合理的なベクトルの力を"Logical"とし、非合理的なベクトルの力を"Magical"と自分の中で定義し、このLとMの力の対流の生む螺旋上昇運動を観ている。

今はLogicalの力が全体的に強い。
だからこそMagicalの力が膨らんでくる予兆を感じている。

LとMの頭文字で定義するのはもう一つ理由がある。
LとMは、Lady(女性)とMen(男性)の対を想起させる頭文字ではあるが、一般的にどちらかといえばMenの方がLogicalで、Ladyの方がMagicalな性質が強いので、
M/LとL/Mの対比構造を作る事が出来る為だ。

MとLは一体の番(つがい)であり、結ぶ関係にある惹かれ合うものだ。
どちらか一方ではバランスを欠いてしまう事がある。

この両極の調和が、人々の幸福に欠かせないものであるという前提の元、
これからのシンギュラリティ時代に向けたバランスの強化として、Magicalの極のさらなる発展を今は望んでいる。
私たちが自律的に生きる為に。