新超越主義-Neo transcendentalism-の予兆
かつて1830年代から1850年代にかけてアメリカのニューイングランドで超越主義“transcendentalism”という思想運動がありましたが、
現代には過去のそれとはまた異なる新しい超越主義が興ってきていると思います。
トランスヒューマニズム(人間超越主義)や加速主義がその代表と言えると思います。
かつてアメリカのユニテリアン達はキリスト教の三位一体論を離れ、超越的存在である神と個人が直接繋がる事を目指し、理想的な社会を夢見たと言います。
現代のトランスヒューマニスト達は人間が生み出したテクノロジー、機械、AIなどと人間を融合させ、人間の能力の限界を超越したポストヒューマン、トランスヒューマンとなる事を夢見ています。
それによって神のような存在に近づけると…。
加速主義は、資本主義から離脱するのではなく、むしろ加速的に推し進めて極まった先に、結果として資本主義から新しい文明に移行して資本主義が崩壊するという立場の考え方です。
分かりやすく言うと、今人類の一部の人たちは
「行くところまで行っちゃおう」としています。
このような事が絵空事ではなく現実的な可能性を帯びてきてはいるのですが
その鍵となるだろうと思っていたのは
「量子コンピューター」の実用段階が訪れることですが
昨年10月、グーグルを中心とする研究グループは、世界最速のスパコンで1万年かかる計算をGoogleの量子コンピューターで200秒で実行したと発表しました。
この革命的な「量子超越性」を証明した研究グループはそれを安定運用する為の「量子実用性」を獲得する次なる研究段階へと進み、着実にこれまでのコンピューターとは桁違いの革命的なマシンの開発が進んでいます。
画像元:google
一方でイーロンマスクの設立したニューラリンク社では脳とコンピューターを接続する埋め込み型の接続チップ「ブレインマシンインターフェイス」を開発し、今年から人体での臨床試験を開始すると発表しました。
これが成功すると、考えただけで機器を操作できるという、超能力のようなテクノロジーを人類は持つことになります。
量子コンピューターの実用、ブレインマシンインターフェイスの実用、そしてその桁違いのコンピューターやAI、ネットと人間が融合したとき、それはトランスヒューマニストの言う「ポストヒューマン」「トランスヒューマン」という存在だと言えると思います。
超越的なマシン、ネットと直接繋がり、人間を超えた神のような存在になろうとする禁断の領域が近づいてきています。
意識をクラウド上にアップロードし、肉体に囚われる事なく生き続ける意識生命体としてのビジョンもあります。
不死と幸福と神性を獲得する人類を、サピエンス全史で有名な歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリは「ホモ・デウス」と名付け、ショッキングな未来の可能性を著書で表しています。
この現代における衝撃的な意識的潮流について、それを推進する立場に立つ訳ではなく、それって一体どうなのだろうか?
と見つめながら今後も分かりやすく表していこうかと思っています。
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