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毎年初見になれる花 金木犀

若干の肌寒さを感じながら外を歩いていると、甘い香りが鼻をくすぐる。

金木犀の香りだ。

つい2、3日前までは木の存在すら忘れていたが、いつの間にか沢山のつぼみを付けて良い香りを風に乗せて街へ運んできた。

あるところで金木犀の花に気がつくと、他の駅、他の街でも目につくようになる。自宅の庭の金木犀も花をつけていたことに帰宅してから初めて気がつく。

不思議なことに金木犀は、花が散ってしばらくすると姿を消したように存在感を無くす
この時期になれば街中にある金木犀の木は容易に見つかるが、シーズンを過ぎるとその存在すら忘れ、木だけを見て金木犀か否かの判断も出来なくなってしまう。

だが、私はそこに金木犀の美しさがあると考える。
存在自体を忘れるからこそ、甘い香りのおかげで「素敵な花を咲かせる木だな」と、初めて金木犀を目の当たりにする感動を毎年味わわせてくれるのだ。

出先で金木犀のつぼみを見つけ、自宅に帰ってきて「うちにも金木犀の木があったのか」と驚くまでが毎年この時期の恒例行事である。

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