SFプロトタイピングの簡単な紹介
ナニソレ
SFプロトタイピングとは
①SF的な発想を活かして未来のシナリオをつくり
②そこから現在に立ち返る(バックキャスティング)
ことでビジョンを描き出し、共有するための方法論ないしは運動を指す。
現状の地続きではない、真の「イノベーション」を起こすためにSF的想像力を使う
あくまで「プロトタイピング」の拡張ではあるが、文字通り「思弁的」な領域にリーチさせることができる点に魅力がある
小説家の新しい業務形態という捉え方もある
多くの場合、協働者として、何らかの形で携わっている
企業紹介
SciFutures
おそらく最初に企業体制としてSFプロトタイピングを伴う事業を行った企業であり、かつ現在時における最大企業。
WIREDの記事、SciFutures社の紹介。2019年。
WIREDによるインタビュー。2020年。
Anon
SFプロトタイピングを軸としたコンサルティング事業を展開している国内企業。
ブリヂストンとの仕事事例。
SOFT ROBOTICSが実現した社会、見てみたいですね。
慧眼。
所感
コンサルティングに求められるものは本質的に「思考のリフレーミングを促すコーチング」なのではないか
逆の言い方をすると、知識提供や市場・財務分析、およびそのプレゼンテーションは手段である
そして、そのためのアクティヴィティとして、SFプロトタイピングが考えられる
SF的思考は、加速主義と対比して「跳躍主義」と呼べるかもしれない、というただの思いつき
確かに、「ここではないどこか」、「現実のalternativeとしてのFiction」を想像することは、現状の地続きや単なる効率化と距離を置く上で有効な思考方法のひとつであろう
ただし、Speculativeが「思弁的」の他に「投機的」をも意味することには一定の留意が必要である。跳躍する思考とその具現は、投機的行動を伴い、ゆえに避け難く「賭け」としての側面を有する
何を望み、何に賭けるか。SFプロトタイピングがあくまで「プロトタイピング」であるのは、その判断を、あくまで現在の、実存的人間に委ねるためかもしれない。
文献類
樋口恭介『未来は予測するものではなく創造するものである――考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』
『構造素子』(ハヤカワ文庫)』で知られるSF作家樋口恭介による紹介書。ビジネス的には長らくコンサルタントとして活躍してきた同氏が、SF的想像力とビジネスとを接続する思考について、軽妙に語る。
ちなみに昨今のコンサルが前提としている概念・思考のフレームワーク(VUCAの時代・MECE・ロジックツリー・ピラミッドストラクチャー…etc)など、ビジネスマンならまあ知ってるよな、くらいのタームがそこそこ引き合いに出されつつ、ちゃんと解説もついているので、そのあたりに不案内な人にもいいかもしれない。
ITMedia 樋口へのインタビュー。
ITMediaNewsが自社記事をまとめて事例集としている。