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【生藤山・陣馬山】「氷の花」咲く登り初め

 雪山のシーズンだが雪のない山に登るのも悪くない。年末年始でなまった体を鍛え直す意味も込めて、2025年の登り初めは生藤山(しょうとうさん)に決めた。生藤山は神奈川県最北端の山で、東京、神奈川、山梨の3都県の境が交わるエリアにある。今回は神奈川県側から入り、生藤山を通って、陣馬山へ縦走するコースを2人で歩くことにした。

 1月12日午前8時ごろ、JR藤野駅に到着。駅改札を出ると寒さが身にしみる。自動販売機で買ったホットコーヒーで手を温めながら路線バスの到着を待った。

 ほどなくして到着した和田行きのバスに乗車。ほとんどの登山客が陣馬山の登山口近くのバス停で下車したが、私たちは少し先の鎌沢のバス停で下車した。

 午前8時20分ごろ登山開始。鎌沢の集落を登っていく。道は舗装されているが傾斜があって想像以上に筋肉を使う。途中、ツキノワグマの出没に警戒するよう伝える看板が目に入り、熊鈴を改めて確認した。

 午前9時前にテーブルやベンチがある鎌沢休憩所に到着。併設のトイレを済まして、ここから待ちに待った登山道が始まる。

見晴らしのいい鎌沢休憩所

 登山道には無数の霜柱が見える。シャリシャリと登山口で霜柱を踏みしめるのも楽しい。登山道脇の植物の根本に目をやると、綿あめのようにふわっとした白い氷がくっついている。いわゆる「氷の花」で、この季節ならではの山歩きの醍醐味を味わった。

 曇天予報だったが歩いていると青空が広がりはじめる。午前10時半ごろ「甘草水」(かんぞうすい)に少し寄り道。日本武尊が見つけたという伝承のわき水だ。だがこの季節は寒さで水が凍ってしまっていた。こんこんとあふれるわき水は見られなかったが、凍ったわき水を見られたのは貴重な経験だった。

甘草水は折れたつららのようだった

 午前10時40分ごろ、三国山(標高960メートル)に到着。山頂だが「三国峠」とも呼ばれているらしい。そこから5分くらい歩けばすぐに生藤山(標高990メートル)の山頂だ。

生藤山の山頂

 その後は笹尾根を東に進んでいく。午前11時ごろ今回のコースで最高峰の茅丸(標高1019メートル)に到着。尾根道と聞いて侮るなかれ。意外とアップダウンの激しい尾根道だった。

 午前11時半ごろには連行峰(れんぎょうほう)、午後0時ごろ大蔵里山のピークを通過。この後のコースは当初、醍醐丸を通過する予定だったが、早く陣馬山で昼食を食べたい気持ちが勝り、巻き道を選ぶ。午後0時20分ごろ醍醐峠を通過し、午後0時40分ごろには陣馬山直下の和田峠に到着した。売店は休業していたが、トイレ休憩ができるのはありがたい。

 陣馬山まであと少しと歩きはじめたが、ここから怒濤の階段が続く。ちょうど足の筋肉の疲労がたまってきたタイミング。力をふりしぼって、登っていった。

 午後1時すぎにようやく陣馬山に到着。2年前の秋以来の陣馬山だ。全階は「信玄茶屋」で食事をしたので、今回は「清水茶屋」に入店する。展望のいい広いテラス席に着席。注文したけんちん汁は具だくさんで、体が温まった。

注文したけんちん汁

 この後は栃谷の集落に下りていく。めざすのは陣谷温泉だ。午後3時ごろ「歓迎 陣馬の湯 陣谷温泉」という古びた看板が目に入る。建物は年季が入っているが、浴場の真ん中にどーんと置かれたヒノキ風呂は比較的新しい。室内だが開け放した窓からは外の風景が楽しめ、露天風呂さながら。久しぶりに全長10キロメートルを超えるコースを歩いた足の疲れをゆっくり癒やした。

ひなびた雰囲気がいい

 風呂上がりすぐにバスに乗れれば良かったが、時刻表のタイミングが悪く、藤野駅まで歩いた。風呂上がりの歩きはなかなかツラいものだ。だが最後はそんな自分たちにご褒美と、駅近くの焼肉店「焼肉のいちばん」(相模原市)へ。カルビ、ハラミ、タン塩、トントロと定番のメニューを注文。どれも絶品で、中ライスもぺろっと平らげてしまった。開店直後に入店したが、次第に家族連れなどで席が埋まりはじめ、すぐに満席となった。バスのタイミングは不運だったが、夕食のタイミングでは運を取り返した。充実した登り初めとなり、今年の登山も幸先がよさそうだ。(2025年1月12日)

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