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【湯ノ丸山・烏帽子岳】百名山ではないけれど

 群馬県と長野県の県境付近に位置する湯ノ丸山(標高2101メートル)と烏帽子岳(標高2066メートル)。雪山初心者が訪れる山として知られている。「日本百名山」どころか「日本二百名山」や「日本三百名山」にも選ばれていない山だが、登ってみると予想以上に登りはハードだった。

 冬の晴天に恵まれた1月25日。高崎駅から車で群馬県嬬恋村と長野県東御市の境にあたる地蔵峠(湯の丸高原)に向かう。ここには湯ノ丸スキー場があり、すでに駐車場はスキー客やスノボ客の車で結構埋まっていた。

スキー客でぎわうスキー場

 トイレを済ませた後、ゲレンデの隅っこの邪魔にならない場所で早速アイゼンを装着。午前9時半ごろに登山をスタートする。当初は県境の尾根道を歩く予定だったが、先を進む登山客に引きずられて、長野県側のコースを進んでしまった。

 しばらく進むとコテージのような木造平屋の建物があらわれた。近づくとテレワーク施設で、まだ完成して間もなさそうだった。新型コロナウイルスにより広がったリモートワークの影響で建てられたのかもしれない。

 比較的平坦な道を進むと中分岐に到着。ここで北方向に進路を変え、鐘分岐に至る。名前の通り、分岐には鐘が設置されていたが、ほかの登山客がいたため鳴らさずにただ通過した。

鐘分岐

 この後は湯ノ丸の最高地点である南峰をめざして急な道を登る。太陽の日差しが強く、汗ばんでくる。不慣れなアイゼンワークのためより足への負担は大きい。しかし、振り返るとガトーショコラのように粉雪をかぶった山並みが見え、奮起を促してくれる。

 午前11時ごろ、南峰に到着。天気はすこぶる良く、北アルプスの峰の連なりまで見渡せる。だが風は強く体温をすぐに奪われそうで、休憩もほどほどに出発。少し先の北峰をピストンした。

湯ノ丸山の山頂

 その後は急な下り道。鞍部まで下りると、今度は逆に登り返す。午後0時半ごろ、ニセ烏帽子という不名誉な異名をつけられている小烏帽子岳に到着。お腹が空いてきたが、あと少しで山頂と言い聞かせ、最後の登りを進んでいった。

 午後0時50分ごろ、目的地の烏帽子岳に到着。見渡す限り遮るもののない絶景。心なしか風も穏やかなようで、昼食の準備にかかる。久しぶりにカップラーメンをつくった。温かいスープが身にしみる。

烏帽子岳山頂

 帰路は鞍部まで往路を引き返す。鞍部からは湯ノ丸山の南側の平坦な巻き道を通って、往路でも通過した中分岐まで戻ってくる。そして午後2時半ごろ、登山口の湯ノ丸高原に帰着した。

 冷えた体が求めるのは温泉だ。群馬県嬬恋村にある「高原の天然温泉 つつじの湯」に立ち寄る。露天風呂は凍結による転倒防止のため休止していたが、大窓から庭の雪を眺めながらの内湯は格別だった。

温泉施設「つつじの湯」

 そしてすぐ夕食に向かいたいところだが、この日は約2時間かけて群馬県の南西部にある上野村に向かった。上野村は日航機の墜落事故があった御巣鷹の尾根がある村だ。なぜ上野村に向かったのかというと、この村にある野外施設「まほーばの森」で「第3回天空回廊いのぶた祭り」が開かれているからだった。

 昼の部と夜の部に分かれており、夜の部は2500円の料金を払えば、名物のイノブタ料理を食べ放題で楽しめるだけでなく、お酒を含めたドリンクが飲み放題で、近くのイルミネーションも鑑賞できるという太っ腹のイベントだった。

色鮮やかなイルミネーション

 イベントでは猪豚鍋、猪豚のジャンジャン焼、猪豚カレー、猪豚コロッケとひと通りのメニューを味わった。屋外のため寒さが身にしみて味に集中できなかったのは残念だったが、食後はたき火にあたり、イルミネーションを眺めながら、雪山登山の心地よい疲労感に包まれた。(2025年1月25日)

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