見出し画像

理学療法士・ピラティスインストラクターが考えるジャンプVSバランス

プライオメトリックジャンプトレーニング(以下:PJT)は、アクティブコントロールグループ(バランストレーニング群)と比較して、動的または静的バランスの点で効果に有意差がないことを示唆しています。

1.はじめに

サッカーはプレー中に加速/減速、ターンやジャンプなど様々な動きが求められます。そしてさらにサッカーは戦術と技術に基づくスポーツであるため、試合中にキック、パス、ドリブル、カット操作などのアクションが頻繁に実行されます。

これらのアクション中に高いパフォーマンスを行うためには、プレーヤーの十分なレベルの筋力や持久力を必要とします。

そして、優れたバランス能力はサッカー選手のパフォーマンスを向上させることが出来ます。

実際、バランス能力とキックの正確さは優位な相関があるという過去の研究結果もありました。

特に軸足のバランス能力が高いとキックの精度が上がるという結果でした

また、適切なバランス能力は筋骨格および靭帯損傷のリスクを下げることもできます。バランス能力は感覚や関節可動域、筋力などいくつかの要因の影響をうけます。

動的バランスの評価はスターエクスカーションバランステスト(以下:SEBT)またはYバランステストで行われます。

ガクトレのブログで過去に何度も紹介しているSEBTです 下記に添付しています

バランストレーニングは、もちろんバランス能力の向上を目的としておこなわれます。

しかしPJTなどのほかのトレーニング方法もジャンプと同様にバランス能力を向上させる可能性があります。
ガクトレでは過去にPJTによってサッカーのパフォーマンスアップになるという論文をいくつか紹介してきました。

PJTはバランス能力に対してどのような影響を与えるのか?
今回は2021年の『Biology of Sport』に掲載されていた論文を参考にまとめていきます。

それでは、いってみましょう!!


2.PJTの動的バランスへの影響

上記でも説明したように、動的バランスはスポーツ特有の動きを実行する際にプレーヤーが安定した重心を維持するためのパフォーマンスに重要な要素と考えられています。

また、ケガの予防にもつながります。
今回はメタ分析に含まれた8つの研究を対象にしていました。
メタアナリシスを使用したシステマティックレビューで得られた結果は、PJTを支持するいくつかの検出されたものの、対照群と比較して動的バランスに優位な改善が無いことを明らかにしました。

意外な結果が報告されていました

過去ガクトレでPJTについてまとめたブログを見ても、パフォーマンスを向上させたりするものばかりだったので、対照群と比較して大きな変化が見られなかったのは驚きました。

ただ、変化が小さかった要因として、
・幅広い年齢層(8~23歳)
・さまざまな性別
・スキルレベルのバラつき(アマチュア、サブエリート、エリート)
が、あったためと考察されています。

ただ、バランストレーニングとPJTの差が少なかったという事は、以下のようにも考えられるかと思います。

バランス能力向上を目的としているバランストレーニングとPJTは同等レベルのバランス能力向上が期待できるという事です。

結局プライオメトリックはトレーニングの効果として高いです

PJTでもバランス能力に対しての効果があるという事は、例えば足関節捻挫後のトレーニングプログラムの流れとして、再損傷予防の為にもSEBTのようなトレーニングからPJTへと移行していく事も重要かもしれません。

今回のメタ分析では対象者の条件にバラつきがあったため、今後の研究の流れに注目していきたいと思います。

3.まとめ

・PJTはバランストレーニングと比較して、有意的な差は見られなかった。しかし、裏を返せばPJTはバランストレーニングと同等の効果が期待できる。という事も考えられる。

最後にこの記事を読んで少しでも参考になりましたら、スキまたはフォローをよろしくお願いいたします♪

理学療法士・ピラティスインストラクター   辻川真悟


引用・参考文献
・Effects of plyometric jump training on soccer player’s balance: a systematic review and meta-analysis of randomized-controlled trials

・Chew-Bullock TS-Y, Anderson DI, Hamel KA, Gorelick ML, Wallace SA, Sidaway B. Kicking performance in relation to balance ability over the support leg. Hum Mov Sci. 2012; 31(6):1615–23.

・Śliwowski R, Grygorowicz M, Wieczorek A, Jadczak Ł. The relationship between jumping performance, isokinetic strength and dynamic postural control in elite youth soccer players. J Sport Med Phys Fit. 2018; 58(9):1226–33.

・Gualtieri D, Cattaneo A, Sarcinella R, Cimadoro G, Alberti G. Relationship between balance capacity and jump ability in amateur soccer players of different ages. Sport Sci Health. 2008; 3(3):73–6.

・Hrysomallis C. Relationship Between Balance Ability, Training and Sports Injury Risk. Sport Med. 2007; 37(6):547–56.

・Lockie RG, Schultz AB, Callaghan SJ, Jeffriess MD. The Relationship between Dynamic Stability and Multidirectional Speed. J Strength Cond Res. 2016. Nov; 30(11):3033–43.

・Porrati-Paladino G, Cuesta-Barriuso R. Effectiveness of Plyometric and Eccentric Exercise for Jumping and Stability in Female Soccer Players—A Single-Blind, Randomized Controlled Pilot Study. Int J Environ Res Public Health. 2021; 18(1):294.

いいなと思ったら応援しよう!