ユーザーインタビュー日記 その3:要求定義編
今月はユーザーインタビュー月間(と勝手に名付けている)というのもあり、3日に一回はインタビューに赴いているがくとんです。
過程が進むごとに更新しているこの日記ももう3回目。今回はインタビューで集まったデータからユーザーの要求を定義していくやり方を書いていきます。
<これまでの記事>
その1:事前準備編
その2:インタビュー実施編
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1.インタビュー後は、録音した会話を全て文字に起こす
インタビューで得た生の声を要求として昇華させるため、まずは録音した音声を全て文字に起こすところから始めます。
普段、人のプレゼンを聞いたりミーティングをしたりするときは、重要な内容をかいつまんでメモを取ると思いますが、要求定義では会話の全てを文字に起こす必要があります。
なぜか。それは、会話を要約したりかいつまんでメモを取るということは、こちら(インタビューした側)が情報を取捨選択していることを意味するからです。
インタビューでは、ユーザーの発言一つ一つにサービスや製品に求めることが隠れています。その要求を逃さず捉えるためには、会話の全てをメモする必要があります。(要約してしまうと会話の文脈が抜けてしまうことも避けるべき理由です。)
実際のものはこんな感じです↓↓
(内容は海外インターンシップ・海外ボランティアに参加した人が求めているものについてです。)
このインタビューログを見てもわかるように、インタビュー対象者は過去の経験について、当時思っていたことを思いつく順に話します。
なので、話す内容が途切れ途切れだったり、時系列が順番になっていなかったりするので、少しでもわからないところがあればすかさず聞くようにしましょう。
また、インタビューではこちらは質問に徹するようにし、自分の経験や見解を必要以上に語らないようにしましょう。こちらはあくまで、相手に話を聞かせてもらっていると意識することが大事です。(「師匠と弟子モデル」に忠実に!)
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2.メモの中にある感情や行動を全て付箋に書き写す
全てのインタビューのメモを取ったら、メモの中にあるインタビュー対象者の発言でその人の感情や行動に言及しているものを、付箋に書き写します。
さっきのメモでいうと赤文字が、最低限書き出すべきところ。
赤文字の部分はその人の明確な欲求として現れているところですが、これ以外の部分もその人が行動をする背景になっていたりするので、最初はもれなく気になったところを書き出していくのがいいと思います。
そんな感じで、インタビューした全ての人の感情や行動を書き出したものがこちら↓↓
全部でだいたい150個くらいになりました。(この後さらにインタビューを続け、200を越えました。。)
色の区別は、インタビュー前に行った仮説ペルソナの区別になっています。
これだけ生の声が揃えば、なんらかの要求が見えてくるような気がしてきます。
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3.付箋を意味ごとに整理し、要求として定義する
付箋の洗い出しを終えたら、あとは意味のまとまりを作っていきます。
同じ内容のものを近くに配置したり、発言同士の粒度を確認し抽象度の高いものを新たに付け足したりして、生の声を徐々に要求に変換させていきます。
実際に整理・統合していく過程でこんな感じになります↓↓
一番下が具体的な内容(例:教育問題に関係する機会に参加したい)、上が抽象的な要求(自分の興味のある社会問題に取り組みたい)、のように整理していきます。
この整理・統合の作業はなかなか糸口がつかめず時間がかかるフェーズで、何度か心が折れそうになりました。ですが、やっていくうちにだんだんインタビュー対象が本当に求めていることが見えてきて、一番楽しいフェーズでもあります。
あーだこーだ考えていくうちに、最終的に見出したユーザー要求はこちら↓↓
これを作ってしまえば、あとはこれをマイルストーンにしてデザイン案を作っていくようにすれば、自然とユーザーの要求を満たすものを作ることができます。
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まとめ
・インタビュー後の流れとしては
1.録音した音声を文字に起こす→2.インタビュー対象者の感情や行動を付箋に書き出す→3.書き出した付箋を整理・統合し、要求を定義する
となる。
・発言を付箋に書き出す時は、なるべく漏れなく、気になったところを全て書き出すようにする
・付箋を整理・統合するのは時間がかかり糸口がつかめず大変だが、ユーザーが本当に求めていることが見えてきて楽しい!
ここまでの話で、インタビューを実施する準備から要求定義までの流れをまとめてきました。
実際に生の声を聞くことで、自分が当初思っていた仮説とは全く異なる気づきを得られたり、ユーザー自身も認識していないような洞察を得られると感じました。
インタビューは誰でも気軽にでき、かつ必ず何かしらの気づきを得られるものなので、何かサービスを作っている人はぜひやってみてください!
(おわり)