川島 素晴「「演じる音楽」という謎」
私は、現代音楽の作曲家であると同時に、国立音楽大学で作曲の指導も行っている。現代音楽分野での私自身の探求については後段で述べるとして、まずは、より読者の関心が高いと思える、音楽大学での作曲の指導の現況について述べたい。
「今、作曲を教える意味とは?」
作曲専攻の学生は、クラシック音楽ベースの作曲理論(和声学、対位法、管弦楽法等)に加え、楽曲分析、ソルフェージュ、DTM(PCを用いた音楽制作)等、音楽全般の様々な勉強をしなければ一人前の作曲家にはなれない。そうした勉強を踏まえて作曲し、それを実演する等の様々な現場経験を経て、クラシック系ならコンクール、劇伴系ならデモ音源を片っ端から事務所に送るといった努力の末、一握りが生き残る。大変な道ではあるが、これまで、活躍する卒業生を多数輩出してきた。
ところが、である。
―『學鐙』2024年春号 特集「いまそこにある問いと謎」より―
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