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平田 はる香「はたらくを生活に溶かす」

平田 はる香(ひらた・はるか)——株式会社わざわざ 代表取締役。
2009年長野県東御市の山の上に趣味であった日用品の収集とパンの製造を掛け合わせた店「わざわざ」を一人で開業。2017年に株式会社わざわざを設立した。

 「いつ寝ているんですか?」とか「全国を飛び回っていて体調は大丈夫ですか?」「休みはあるんですか?」なんてことをよく聞かれる。それは、わたしの行動がSNSで筒抜けで、仕事量が膨大なようにも見えるし、そこら中に移動していることが透けてみえていて〈とても忙しい人〉と見られているからに違いない。
 事実はそうでもない。毎日平均睡眠時間は七時間、趣味のボルダリングに週一・二回は通い、毎晩、簡単な手料理と晩酌を楽しみにしていて、日曜日は子どもと遊び呆けている。とても忙しくはあるけれど、人生は充実期を迎えており、自分でも日々幸せだなと感じることが多くなっている。
 だが、そこまでに至る経緯は試行錯誤の連続だった。二〇〇九年にパンと日用品の店「わざわざ」を一人で開業してから、大量の仕事に日常が侵食され生活のバランスが取れなくなり苦しんだ。事業が加速すればするほど、日常生活がおざなりになる。そのおざなりな生活は心身の不調を呼び、事業の不調に繋がっていった。そして、働くことと生きることは表裏一体で、密接に関わり合い続けていることを知っていくこととなったのだ。

―『學鐙』2023年冬号 特集「はたらくをひもとく」より―

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『學鐙』2023年冬号
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灯歌
木下 龍也(歌人)
特集
田中 優子(法政大学名誉教授・江戸東京研究センター特任教授)★
松村 圭一郎(岡山大学文学部准教授)★
嶋田 博子(京都大学公共政策大学院教授)★
西村 勇哉(NPO法人ミラツク 代表理事・株式会社エッセンス代表取締役)★
ナカムラクニオ(美術家・金継ぎ作家)★
平田 はる香(株式会社わざわざ 代表取締役)★
安田 登(能楽師)★
企画連載
岡本 健(近畿大学 総合社会学部/情報学研究所 准教授)
藤江 和子(家具デザイナー)
五十嵐 杏南(サイエンスライター)
髙宮 利行(慶應義塾大学名誉教授)
書評
渡辺 祐真(文筆家・書評家)
水上 文(文筆家 ・文芸批評家)
田尻 久子(橙書店 店主)
原 正人(翻訳家)
丸善出版刊行物書評
湯本 貴和(京都大学名誉教授・日本生態学会前会長)
加野 芳正(香川短期大学学長・元日本教育社会学会長)

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