春の膿
創作意欲に駆り立てられてパソコンを開くのだけれど、春の朗らかな陽のように退屈で、書くに値しないことだけが頭に浮かぶ。日々違和感を綴ったノートを見返してみても、あの時はとるに足らないことを考えていたという印象のみで、今の私にはなんの感慨も起こさない。
才能の枯渇とはこのことかと、どこかで評価されているような大物の態度を真似たり、いや名人伝かとパソコンの画面をぼんやり眺めたりする。
キャラメルの甘い匂いがあたりに漂い、頭を一層気怠くさせる。
常日頃から大したことは思い浮かばないのだが、今は春の膿に脚を取られて漫然としている。本を読めばあの衝動が湧くだろうと期待できるも、創作意欲が邪魔で仕方ない。
私は何かしているようにキーボードを叩くが、何をしているわけでもない。創作意欲に駆り立てられて、ただ何かを垂れ流している。
それは私の脱力感と無力感を増やす。
静かな図書館の隅で、甘く退屈な春の陽が私の影を落とす。