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【人生劇場#55】ゲスト:五十島麟信さん(第2弾) 

-人生劇場-
10人集まれば、10の生き様がある。
様々な分野の方をゲストに迎え、”人生”について語ってもらいます。
時には質問をしたり、みんなで対話を重ねたり。
そうしてひとつの空間をつくりあげていく、
60分のライブイベントです。

まず投げかけられた問いが

りんとさんってどんな人?

「シュークリームがめっちゃ好きな人」
「生徒会副会長」
「サングラスがいかつい」
「海外に行った」

いくつかの断片的なりんとさん像を踏まえ、本人による自己紹介。

「五十島麟信です。 えーーっと 東京に小1まで住んでて、小2から小5が山梨で、小6から海士町に来ました。 うーーーん あ、サングラスは。ファッションじゃなくて、医療用の、紫外線に目が弱いのでかけてるやつです。はい、ファッションではありません。高2のあとに一年間高校を休学して、大体10カ国ぐらいを巡る旅をして、今高校3年生として復学しています。よろしくお願いします。」

詰まりながら、いや、「詰まる」というよりは、「空ける」という感じなんじゃないかしら、間を。あるいは「取っていく」、リズムを。そういった感じに近い。みんな、りんとさんのリズムに乗せられるように人生劇場の場、になっていった。気がした。

今回の人生劇場のゲストは島前高校3年生の五十島 麟信(いそじま りんと)さん。1年くらい前にも一度ゲストとしてお呼ばれしていたが、外国でのいっぱいの体験を経てまたこの場に戻ってきたもよう。おかえりなさい。

流れのままにあたたかい言葉を据え置いてみたが、実のところ、わたしはりんとさんに対してあまり「おかえりなさい」感を抱くことはなかった。りんとさんが島に帰ってきたときも、人生劇場に再び姿を見せたときも。

「へーもう1年経ったんですね。あれ、どこから数えて1年ですか?あ、去年の今頃ですか、そりゃそうか」的な阿呆っぽい冷静さでりんとさんを遠目から見ていた。

帰島後すぐ行われた、りんとさんが旅での経験をしゃべる会にも参加しなかった。というか、思い切って素直に書くと「できなかった」。

こわかったからなんじゃないの、と今なら書ける。だってりんとさんは10カ国以上の外国にひとりで飛び込んでいったし、道中いろんな国籍の、いろんな考え方や習慣を持った人と出会ってめっちゃしゃべったり、あんましゃべれなかったりして、まあしゃべれなかったとしてもその悔しさをバネになんかしちゃったりしてすんごい成長を遂げているにちがいなかったから。

りんとさんが旅をしていた1年間、学習センターに週一で掲示するりんとさんの近況を、ポスターにして更新していたわたしだけれど、いろんな変化を経たりんとさんはなんか、もうこの前とは全然ちがうりんとさんなんだろうな、とか思うと「すん」と無表情になってしまっていた。

そんな「すん」なわたしを超えていこうぞ、と今回もまた人生劇場のレポートを引き受けたわたしであった。

↓ 前回のりんとさんの人生劇場

人生劇場ではどんな話をしたん?というと、まず、旅の前のりんとさんの話を少々。

進学するか、就職するかの欄に「スナフキン」

案内人)学校に提出する進路調査に、なぜ?
りんとさん)ムーミンが好きで。そこに出てくるスナフキンがすごい、なんかかっこいいことを言っているし、旅してる生き様とかもいいなーって思って。僕もそういう人になりたいな、というのがあったから。あと、旅もすごい好き、です。

このあたりで、案内人が、りんとさんの休学期間のことを「旅行」と言ったのを、わざわざ引き返してきて、「旅」と言い換えていたところがなんだか印象に残っている。

案内人)スナフキンの旅行する、(また言い換えて)旅をするさまっていうのはどんな感じなの?
りんとさん)季節に合わせてムーミン谷に来たり、冬になったら暖かいところに行ったり。さまよってる感じがする。なにかに縛られることがなくて、フラフラしてる感じが、憧れというか。自由な感じがすごい、いいなって

あと、ずっとちがう環境にいて、新しいことに触れて学べてる姿とか、かっこいいなって。

スナフキン風

参加者)休学期間の旅のことだけど、ぼくの印象では、りんとは周到に準備していたなって。ふらっと行ったふうに見せてるけど、スナフキン風っていうか、積み重ねてきた準備はちゃんとあるんじゃないかなって。

スナフキン風、というなかなかに迫力のある単語にひるんだわたし。りんとさんはそれに対してなにを思うんだろう。

りんとさん)旅を計画して、実際に行ってみて気づいたのは、なんも計画を立てずにやるのが自分は好きなのかなって思ってたんですけど、意外と、ジャマイカでスマホ無くして予定していたことができなかったとき、ハラハラして。計画をしっかり立てる方が自分には向いてるのかなっていうことです。

参加者)デンマークに行く前は実際、どんな準備をしてたの?
りんとさん)行く場所決めたり、コロナもあったので。コロナで行けなくなった場合のプランを3つくらい考えてました。渡航の5か月前にはもうチケットも買っていました。休学や渡航のための資料を提出したのは1ヶ月前だったんですけど。
参加者)色んな人に相談もしていたよね。りんとを助けるためのフェイスブックグループもあって。「17歳が海外でビザ取れて滞在できるのにはどんな方法があるのか」って。

哲学カフェのような

旅で体験したこと・感じたことをたくさん教えてくれたあと、りんとさんは今回「宗教観」と「なんのために生きるのか」についてみんなと話したい、と言って。参加者みんなが自分の経験や知識、思想を持ち寄って、ぽつぽつ発言していく時間があった。これがとてもおもしろかった。議論というふうでもなく、でも一度置かれた発言が、次の別の人の発言にほんのり影響を与えていって。主語は基本ぼくわたしで、参加者各々が持つ自分がちゃんと尊重され合っていて。そう、あれのような。哲学カフェのような空気感。

「なんのために生きるのか」

りんとさん)僕がなんのために生きるのかっていうと、「楽しむため」っていうのが今のところ答えというか通過点的なところ、です。

参加者)あんまりちゃんと考えたことはないけど、個人的には今のこの状況は借り物だと思ってて。自分が生きてるっていうよりかは、生かされてる。
参加者)何にもしないでのらりくらり、グダグダして生きる選択肢もあるけど、あえて自分はこっちを選んでいるんだろうなっていうのは思ったりします
参加者)消去法的な考え方になっちゃうんですけど、人間みんながみんな共通して幸せを求めてるっていうのは逆に、実はこの世界に居るっていうのは罰なんじゃないかって。
参加者)だんだんスピリチュアル合宿みたいになってきた、、

りんとさんだけじゃなく、色々な人の考え方に触れることができた、おもしろい時間だった。スピリチュアルみも結構あったけれど、たまにはがっつりそういった話題に没頭してもいいんでないかなぁと思うたり。

りんとさんをこわがらないで直視しよう、という個人的な目標は果たされた、と思う。「そういえばデンマークに行ったとき」「あとジャマイカに行ったとき」てなふうに、話し始めから圧倒されることは多いけれど、また体験はかなり特異なことが多いけれど、その体験をきわめて素直に受け取るところはずっと「りんとさん」だなあと思った、今回の人生劇場を見ていて。そういうりんとさんですよ、とまあ、そんな締めになります。

(文:池田茉生)


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