
新しいウェルビーイング理論
これまでの幸福に関する様々な理論や研究を組み合わせることで
これまでにない新しい幸福論を作り上げました。
我ながら、論文級の内容になっております。
ウェルビーイングが注目されている背景
近年、Well-being(ウェルビーイング)という概念が企業の間で注目を集めています。
現代社会でウェルビーイングが注目される背景には、SDGsの影響が大きいと思われます。
3つ目のゴール「すべての人に健康と福祉を」では、
Well-beingを国際的な政策課題として明確に位置づけております。
さらに8つ目のゴール「働きがいも経済成長も」でも、労働環境におけるウェルビーイングの重要性を強調しています。
経済的観点からも注目されています。
ある実証研究によると、従業員のウェルビーイングが創造性、エンゲージメント、生産性と強い正の相関関係があることが分かっており、企業の利益向上の観点からも従業員のウェルビーイング向上に取り組むことの重要性がうかがえます。
ウェルビーイングの定義
ウェルビーイングとは、「良い(Well)」と「状態(Being)」からできた言葉であり、「身体的、精神的、社会的、経済的に良好で満たされている状態にあること」を意味する包括的な概念と定義されています。
似ているワードとして「幸せ(Happiness)」という言葉がありますが
こちらは「一時的な、スパンの短い幸せ」であるのに対し、
ウェルビーイングは「持続する幸せ」と定義づけられています。
とはいえ、日本語の「幸せ」はこのHappinessとWell-beingどちらの意味も含んでいるように感じますので、あまり深く考えずに「身体的にも、精神的にも、社会的にも、経済的にも幸せな状態」と捉えてもらえれば良いと思います。
有力な2つのWell-being理論
次に、ウェルビーイングとは具体的になんぞやという話になりますが
現在企業や組織コンサル、WHOなどが説明する際に用いられる理論は主に次の2つです。
①セリグマンの「PERMA理論」
マーティン・セリグマン博士の「PERMA理論」は、ウェルビーイングを構成する5つの要素を示しています。PERMA理論は、ポジティブ心理学の発展の中で提唱された包括的なウェルビーイングの枠組みです。
PERMAとは以下の5つの要素の頭文字を取ったものです:
P (Positive Emotions): ポジティブ感情。喜び、満足感、充実感などの肯定的な感情状態を指す。
E (Engagement): フロー状態。自分の活動に完全に集中している状態。
R (Relationships): 良好な人間関係。支え合い、つながりを感じられる人間関係の質。
M (Meaning): 人生の意味や目的を見出すこと。自分より大きな何かに貢献している感覚。
A (Accomplishment): 目標の達成や成功体験を得ること。自己の成長や能力の向上を実感できる経験。
セリグマンは、これら5つの要素がバランスよく満たされることで、持続的なウェルビーイングが実現すると主張しています。
②前野隆司教授の「幸せの四つの因子」理論
前野隆司教授の「幸せの四つの因子」理論は、日本人の幸福感に関する調査研究から導き出された理論です。幸せを感じるために必要な要素を4つに分類しています。
この理論における4つの因子は以下の通りです:
自己実現と成長の因子: 自分の能力を伸ばし、目標に向かって努力することで得られる充実感です。自分らしく生きること、成長を実感することが含まれます。
つながりと感謝の因子: 他者との良好な関係性や、感謝の気持ちを持つことです。家族や友人との絆、社会とのつながりを感じることが重要です。
前向きと楽観の因子: ポジティブな考え方や、困難に立ち向かう楽観的な姿勢です。物事を良い方向に解釈する能力が含まれます。
独立とマイペースの因子: 他者の評価に依存せず、自分のペースで生きることです。自分の価値観に従い、比較や競争から自由であることを指します。
前野教授は、これら4つの因子をバランスよく高めることが、日本人の幸福感を向上させる鍵であると提唱しています。文化的背景を考慮した幸福研究として、日本を含むアジア圏でも広く参照されています。
2つの理論の問題点
これら2つの理論は、ある程度網羅的かつ実証的にウェルビーイングについて研究されているため、ベースと理論としては優秀だと思うのですが、私はいくつかの問題点があると考えます。
まずセリグマンの「PERMA理論」は、以下の観点で改善の余地があります。
社会的・経済的状況の軽視: 基本的な生存ニーズや経済状況などへの配慮不足。
主観性の軽視: 5つの要素が全ての人に同じ比重で重要であるという前提だが、個人によって重視する要素は異なるはず。
「ポジティブ感情」と「人間関係」の解像度が低い:「ポジティブ感情」の定義が広すぎる。また「人間関係」もそこから得られる具体的な感情まで落とし込むべき。
これに対し、前野教授の理論はPERMA理論に比べて主観性への配慮があります。一方で以下の観点で課題があると考えます。
社会的・経済的状況の軽視: 基本的な生存ニーズや経済状況などへの配慮不足。
全体的な解像度の低さ:「良好な人間関係」「マイペースさ」「楽観性」などの解像度が低い。それらから生まれる「具体的な感情」まで落とし込んだ方が納得感がある。
新しいウェルビーイング理論
以上の分析から、PERMA理論と「幸せの四つの因子」理論の課題を補う、新しいウェルビーイング理論を構築しました。
基本的には、PERMA理論をベースとして、主観性、経済状況への配慮、解像度(具体性)の課題を補うよう改訂しました。
ポジティブ感情については、マズローの欲求5段解説を参考に、
人間関係から得られる幸福については、アドラー心理学を参考に、
外部要因については社会学研究を参考に新理論を作り上げました。

ウェルビーイングを構成する6つの要素
まず、幸福を構成する要素を以下の6つに整理しました。
欲求の解消:3大欲求、承認欲求、ストレス解消、自由
経済的安定性:人生を楽しむのに十分な収入があり、今後もそれが得られるという感覚。
貢献感・共同体感覚:人との繋がりの中で「誰かの役に立っている」という感覚。他者を仲間と見なしそこに「居場所がある」という感じること。
意義:活動に意味を見出せていること
フロー状態:時間を忘れて物事に没頭し、集中すること
成長実感・自己効力感:自分の人間性や能力が成長している感覚やそれによってもたらされる有能感
PARMA理論からの改訂内容は以下の通りです。
⑴「ポジティブ感情」の解像度を上げ、「欲求の解消」と定義した。また他5つの要素と被らない具体的な欲求を記載した。
⑵経済的安定から得られる感情は、他の要素と被らない唯一の幸福感情であると考え、1つの要素として追加した。
(宝くじに当たっても幸福度が上がらないのはそういうことである)
⑶人間関係から得られる幸福を「貢献感」と「共同体感覚」と明確に定義した。
⑷「達成」によって得られる具体的な感情:「成長実感」と「自己効力感」を記載した。
最終的に本人が認識するWell-being
主観性の課題に対応するため、上記6つの要素に「Well-being変換装置」という概念を加えます。
これは、上記6つの要素を、人それぞれのWell-being変換装置にかけて最終的な人生の満足度が決まってくるということです。

変換装置というのは、価値観と評価のことです。
価値観というのは、この5つの要素にかかる係数のことです。
例えば、「俺は10億当たってFIREすれば幸せ!」という人は、快楽の係数が大きく、他が小さい値になりますし、
「自分の時間も大事だけど、仕事を辞めて自分の存在意義がわからなくなってしまいたくない」という人は、貢献感や意義の係数が比較的大きくなると思います。
あなたにとって、この6つの要素の中でどれが最も重要そうでしょうか?
私の仮説では、物理的にある程度充足していれば
「貢献感・共同体感覚」が最も重要だと考えます。
というのも、すでに「人間関係が最も幸福度に影響を与える」ということがハーバード大学の研究で明らかになっています。
あとはアドラー心理学の理論が実証できればこの仮説も立証できます。
私の目指す世界
以上が新しいウェルビーイング理論になりますが、我ながら、完成度の高い理論になっていると思います。
また、解像度が上がったことで、行動変容を起こしやすいと思います。
例えば、「良好な人間関係がウェルビーイングをもたらす」と言われても、具体的な行動には落とし込みにくいですが、
「人間関係から得られる幸福とは『貢献感』と『共同体感覚』である」と分かれば
「誰かを喜ばせればいいのか!」と行動に落とし込みやすくなります。
「誰かを喜ばせることで自分自身が幸せになれる」
これを共通言語にしている社会って、とても良さそうじゃないですか?
だからこそ、私はこの新しいウェルビーイング理論を通じて、日本を変えたいと思っています。
子供やご老人、妊婦さんに席を譲る人がいっぱいいる社会です。
つまり「ギバー」の社会を作るということです。
ギバーが増えれば、世の中の価値提供が増え、幸福度も経済成長も同時に実現する
そんな夢のような未来を本気で描いています。
少しでも共感していただけましたら、いいねや拡散をお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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