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今後くる(?)コロナ不況とリーマンショックの違い

今後くる可能性のあるコロナ不況とリーマンショックは全く違うタイプの不況です。一般的にはその違いが分かりにくいので、説明したいと思います。

景気というのは、①生産性と②レバレッジ(信用/借入)の増減で決まります。つまり不況になるとは、生産性の低下や低成長とレバレッジの減退を意味します。

中長期では生産性の要素が大きくなる一方、信用創造の高度に発達した国では、短期的には(場合によっては中長期でも)レバレッジの減退による影響が圧倒的に大きいです。

今回のコロナ騒動、珍しく①が全てです。厳密には生産性が徐々に低下してきたのではなく、そもそもわざと停止させたことで生じています。

生産性の変動や成長率は普通狙ってできるものではありません。しかし、ある意味唯一できるコントロールが生産活動の停止です。スイッチのオンとオフですね。

要するに今起きていることは、コロナの実害で自然に不況になるのではなく、スイッチオフにすることで自らそこに持っていっている途中であり、そのうち「必ず自己実現できる」タイプの不況です。そして逆にスイッチオンにすれば、、という話ですね。

レバレッジの減退による不況は全く違います。レバレッジはシクリカルなので減退が始まればすぐに回復しません。金融危機クラスの長期シクリカルの場合、不況とかそういう次元ではなく、もはやどう着地させるかで物々交換になるかならないか決まるくらいの話です。

これがリーマンショックでした。あの時はクレジット市場(信用/借入市場)も暴落し、むしろクレジットこそ売られました。今回は売られてないというより、クレジットが買われています。私も偶然満期を迎えてしまったドル債が償還され、再投資するにも値段が高すぎる、かつそもそも売り物もあまりなく、戻ってきたドルをどうしていいのか困っているくらいです。

株式市場よりはるかに巨大なクレジット市場。それが崩壊していたリーマンショックと比較して、足元のコロナ騒動は感覚丸二個くらい影響が違います。こういうのは株式市場だけみて議論しても全く意味はないし、何もわからないです。

今回、生産活動のスイッチを自らオフにした先進国はまだ日本くらいですが、オフが続けばレバレッジ減退を必ず招くでしょう。さていつまでオフにし続けられるか。リーマンショックの時は、当初モラルハザードを主張し毅然とした態度をとっていた米国政府は、耐えられず2週間で救済決定しました。

今回のコロナ不況は、スイッチオンにすれば、レバレッジの話と異なり、急な回復も見込めるという、珍しいタイプの不況です。とはいえ長引けば失うものも雪だるま式に増えるので、手遅れにならないタイミングではオンにしたいところですね。

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