蒲田健の収録後記:平野啓一郎さん
“手を抜かないで仕事をするのが信条”
記憶が確かならば4回目のご出演の平野啓一郎さん。
以前出演頂いた際、冒頭の発言をされていて、以来それが強く
印象に残っている。
その圧倒的な情報量と精緻な文体が築く重厚極まる作品の数々を読めば
英才であることは瞭然。
しかしながら才能が作品を自動筆記せしめているのでは決してなく、
ストイックなまでに真摯に対象と向き合い続けることで、
その結晶として極上の世界が生れいずるのであろう。
今回のメインテキスト「マチネの終わりに」。
テクノロジー、コミュニケーションの手段が過剰なまでに発達した
現代社会においても「ロミオとジュリエット」「君の名は」で描かれた
恋愛のすれ違いが起こりうること、人生の半ばを過ぎた大人の男女は
それにどう対応するのかということ、更にすれ違ってしまった過去は
二度と取り返せない絶対不変のものであるのか、ということを圧巻の
ストーリー展開力でグイグイと読ませる。
「マチネ」はコンサートの昼公演を指す言葉であるが、
このタイトルの意味するところが読了した時点で氷解するという着地も
お見事の一言。
周到にして徹頭徹尾“手を抜かない”平野さんの骨頂ともいえる
ラブストーリーの傑作である。
P.S.
スタイリッシュで柔らかな物腰のアクティブインテリガイは、
今回も「いい匂い」がしてましたw。
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