院生時代、大学広報で働き社会を知った
教育学部助教Vtuberのがくまるいと申します。普段は文章や動画で自身の専門である教育について広く知ってもらおうと活動しています。
私は院生時代、大学の中でも最も他の社会との接点がある広報で働けたことは幸運でした。たまたま同期が紹介してくれ、大学内で働ける方が時間を使わなくて済むという理由で修士1年から働き始めた職場でしたが、色々な世界を知る経験を与えてくれました。
大学院生は自覚的に他の世界を見る必要がある
大学や研究者の世界はビジネス、もっというと一般に社会と縁遠いという印象があるかもしれません。まあ、どんな職種でも結局社会全体を俯瞰はできないので、どんな職業経験も知ることのできる世界は限られているわけですが、一方で研究者世界は浮世離れしている側面もあります。
学振など研究資金を獲得できない、突き抜けられない大学院生は学問世界では半人前、社会では世間知らずだ、自分は何もできないと劣等感を抱くことが多々あります。生活時間が研究室関連(授業担当や補佐・学会や研究室の雑務・実験や観察・研究者の付き合いなど)ばかりになると、他の世界を体感する機会を失います。教授など指導者は突き詰めて成功できた人であり、あまり危機意識や配慮はありません。
人として見方が狭くなっていくのが良くないという面もありますし、とりわけ私の専門である教育は人に接する領域であり学問上も色々な社会を知ることは重要です。
大学の外はおろか、中の組織の広さも全然知らなかった
大学本部の広報室で働き始め、広報の方々が本当に色々な人々と接しているのを目の当たりにしました。短時間の非常勤である私が担ったのは、それらに関わる書類や物品整理、PC作業など忙しい正職員の下支えが主でしたが、その中で正職員の方々の仕事を見られたのは大きな経験でした。
一口に大学組織といっても、特に総合大学であれば大きいです。学長を中心とする大学本部と、各学部の事務室とは大きく違います。別のキャンパスならなおさらです。各学科の教授会とも方向性が異なりますし、そもそも教員によって考え方は様々です。当然、中には広報に非協力的な人もいます。図書館など様々な施設もあります。大学のあらゆる側面を伝える広報には色々な情報が入ってきました。
間を取り持つ広報 ~役員・教授・学生・保護者・受験生・メディア・企業・生協・一般の方々…
広報は広報誌や大学HPなどの情報発信が主ですが、そのためには内外問わず取材も必要です。逆に、新聞やテレビからの取材対応も担います。また、オープンキャンパスなど行事、学長や重大な研究での記者会見、そして色々なメールや電話のお問い合わせの窓口と大変です。公式グッズが簡単に大学生協に置けないのは、いくら別組織といっても…と色々難しいことを痛感しました。
厳しい仕事ながらもいつもにこやかに、内々ではたまに大変だと漏らしながらも外にはその様子を出さない広報の人々は、本当に尊敬できる人たちでした。もちろん、そういった適性のある方々が配属されているのだと思いますが、悪口や無愛想な態度を隠さない別の部署の人を見ると、もやもやすると同時に自分の職場の方々への尊敬が高まりました。
たまたま広報に勤めていなかったら、私の社会の見方はもっと狭いものになっていたでしょう。大学院修士・博士と5年間お世話になった広報を離れて2年、得た経験を大切にしてこれからも社会を広く見て、多くの人に教育について発信し、共に学んでいきたいと思っています。