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どうして私が笑っていると嬉しいの?「わんだほら~!?な肝だめし!」イベスト感想【プロセカ】

「どうして、私がちゃんと笑っていると、鳳さんが嬉しいの?」とても大切な問だと思いました。
 笑顔は周りに移るというのはよく知られた話で、現在は科学でも笑顔の効能は様々に説かれます。ただ、"他者が不快や警戒でなく笑顔の状態であるのは集団の維持に重要だから、人間は他人の笑顔を良いものと感じるようできている”なんてことを言わなくても、多くの人は"隣の人が笑顔なら嬉しい"と無意識に感じ取ります。
 しかし、どこかでそれを感じなくなる・忘れてしまうというのは、まふゆのように一度全て自分がわからなくなるまでいかなくても、珍しくない気がします。義務感や焦燥感とか、身の危険や悪意とかに晒されて生きていく中で、大切な想いを見失ってしまうこともあります。

穂波は宵崎家の母なので、まふゆが自然体で接するのも必然であります。

 学級委員会の活動で、地域の草むしりボランティアを運営することになったまふゆとえむ。暑い中の草むしりには当然ながら人が集まりませんが、「みんなにニコニコしてもらう」ために学級委員をしているえむは、楽しんでもらおうとあれこれと模索し、現地視察を経て神社の雰囲気を活かした肝試し(でも怖いのが苦手な人も楽しめるよう"かわいい"肝試し)をすることに。「人を呼ぶ」ではなく常に「みんなが楽しむ」を主に考えているのがえむらしいし、人を楽しませる上で大事な考えだと思います。

すっかり持ち芸に。

 無事に草むしりと肝試しは成功。「朝比奈センパイが、いつもよりちゃ~んとニコってしてるからあたしも嬉しい」と漏らしたところ「ちゃんと?」と突っ込まれ、えむはついに「笑顔なのに笑顔じゃないみたいに見えることがある」ことを伝えます。でも、今日は本当にニコっとしているように見えて嬉しいと。

そこでの「どうして、私がちゃんと笑っていると、鳳さんが嬉しいの?」。まず、この問の存在が全く否定されない(どうしてそんなこと聞くの?などではなくちゃんと答える)のが良いです。
 えむの答えは「朝比奈センパイがニコニコだと、あたしも楽しくなって、ニコニコになっちゃうからです!」。どうして嬉しいのかに対して"嬉しくなるから"なので論理的には進んでいないのですが、そうとしか言えない根源的な感覚であるのもわかります。
 「理由になっていない気がするけど…」と言うまふゆに、穂波が「わたしもわかりますよ、えむちゃんの気持ち。わたしも、身近な人が笑顔になってくれると、嬉しくなるので」。ここで"奏も同じことを言ってた"→"じゃあ"→"鳳さんや望月さんも、奏みたいに私のことを想ってる、ってことなのかな" この図式が好きです。まず奏に対する全幅の信頼が"わかること"として存在して、そこからえむや穂波の心情を類推していく。まふゆらしい異様なプロセスにも見えるけど、人はこうして育っていくようにも思うのです。

 自分に笑ってほしいのは自分が大切にされているから、そう思ったまふゆの「そっか」は本当の笑顔と共にありました。
 題名「わんだほら~」なイベストでこんなに考えるとは思いませんでした。ですが、当初からまふゆの取り繕いを本質的に見抜き"本当の笑顔"を目指してきたえむが、まふゆに自分を(無条件に)大切に想っているのはニーゴだけではないと気づくきっかけを与えるというのは、とても納得ですし、よかったなあと思いました。

2人がガチャガチャやり過ぎてまふゆに怒られるエリア会話めちゃ好き

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「わんだほら~!?な肝だめし!」2024年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
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