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心の境目を払った先「Time to take off!」イベスト感想【プロセカ】

 ジャンルは違えど全て音楽、そもそもジャンルやカテゴリーというのは、分類して理解しやすくするためとか、アイデンティティを持つための意図的な区分けです。今回で言えばストリートとクラシック、プロセカに引きつけて言えば「ボカロ曲」というのもどの範囲を指すか・一音楽ジャンルと言えるのか…その認識は人それぞれですし、同じ人でも話す相手や状況次第で意味を変えることもあるでしょう。音楽以外の色々な物事に言えます。
 区分けの全てを否定する必要はなくて、大切なのは心の中でその境目の壁を勝手に高くして、断絶の意識を持たないことなのかなと思いました。

 ビビバスの物語はアメリカ遠征編に突入しました。いきなりホテルの予約が取れていないトラブルに見舞われますが、冬弥のお兄さんの伝手でニューヨーク音楽院の先生ロイドさんに助けてもらいます。

 冬弥の父と一緒に学んでいたというロイドさん。父がよく通ったという音楽院そばの通りを歩いてみると、思い思いの音楽を自由に奏でる人々の姿がありました。ビビッドストリートに近い雰囲気を感じる通りと、厳格でクラシック一筋な父の姿が重なりません。

 冬弥が意外だったという感想を素直に伝えると、ロイドさんが音楽院時代の父との出会いを語ってくれました。ストイックに理想の音楽を追求する想像通りの様子だけでなく、ロイドさんが勝手にしたジャズアレンジに父が興味を持ったことから仲良くなったと。

 冬弥は父からストリート音楽を「あんなものは子供の遊びで、何の価値もない」と言われたと話すと、昔二人でストリートで歌ってる人たちに絡まれたという話が出てきました。冬弥の父は、自分の大好きなクラシックを「そんな古くさい音楽をやってて楽しいのか」と馬鹿にされ怒っていたと。
 冬弥父の厳格さは特殊な感じでしたが、ストリート音楽を毛嫌いする理由は意外なほどありふれたものでした。そんな人は一部とわかっていても"ストリート音楽”自体が憎らしくなる心情も理解はできます。しかし、無価値と切り捨てるのは、自分がされて嫌だったことを冬弥にもしてしまっているわけなので、自制すべきことです。(ただ、冬弥の父のとってクラシックから逃げた息子がよりによってストリートで歌い始めたことは、俗に言う地雷だったんだろうなというのがわかり、少し見え方が変わりました)

 父も経験したという音楽院の学生たちとの即興セッションを通し(セッション場面のBGM、RAD BLASTの曲「Unstoppable」のアレンジが新たな楽器の登場とリンクしていて思わず唸った見事な演出でした)、楽器やジャンルの違いを越えた"全てが通じ合うような"感覚を得た冬弥。いつか父が心に高く築いてしまったストリート音楽との壁をぶっ壊し、ともに音楽を奏でる日が来る、そんな未来もあるかもしないと思いました。

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「Time to take off!」2025年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
◆公式youtubeはこちら

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がくまるい@教育学部助教Vtuber
専門である教育学を中心に、学びを深く・分かりやすく広めることを目指しています。ゲーム・アニメなど媒体を限らず、広く学びを大切にしています。 サポートは文献購入等、活動の充実に使わせて頂きます。 Youtube: https://www.youtube.com/@gakunoba