不安もエゴもさらけ出して「Whip the wimp girl!!」イベスト感想【プロセカ】
人は誰に対しても自分の見え方を(無意識でも)気にします。信頼していれば全てを話せるなんてことはなく、話すにせよ「話し方」も相手により変えます。家族だからこそ、親友だからこそ、失望されたくなくて話せないことはあるものです。
長年探し求め、ついに出会えた相棒こはね。こはねがぐんぐんと成長していくことは嬉しいことのはずなのに、それを不安に思うようになってしまった。いつまでもこはねの憧れでありたい、ドキドキさせられる存在でいたい、その想いをカッコ悪いエゴだと見る人もいるでしょう。杏自身も弱い、情けない気持ちだと思っていました。
プロセカ内の時系列でも約1年は引きずり、神視点の読者からするともどかしく感じるのも仕方ないものです。しかし、現実にも他者に隠し続けることは多々ある、大切な関係性を維持するために友達個々によっても自分の見せ方を微妙に変えているというのは、私自身30年生きてきて感じるところです。むしろ今回1年こねてしまった感情を「よく言った」と思いました。
杏にはこはねに隠しているという意識すらなかった、無意識にこはねに話すという選択肢を消していたというのは、とてもリアルなところです。
情けない気持ちを、小出しにせず茶化さず真正面からぶつけたのがよかったです。少しずつ「最近のこはねすごいなー、もう超えられちゃうか不安だなー」と冗談めかして出していくことも可能でしたが、それだとこはねに深刻な想いは伝わりきりません。この街で過ごしたならその重さがわかるタイマンという形で唐突に初めて出したことで、こはねにも杏の真剣さが伝わりました。今回ストーリーは杏視点が中心でしたが、こはねにとっても、原点である杏が本気で自分を並び立つ、追い越しうる存在と思っていることが伝わったのは、今までのどんな成功体験よりも自信になったのではないでしょうか。
不安・エゴを相手にぶつけても、消えるわけじゃない、相手を困らせるだけかもしれない、だからこそ相手に伝えても仕方ないと渋っていました。自分が相棒として立ち続けられると証明する、自分が自信を持つための勝負、とても身勝手と言えるでしょう。でも、そんな勝負をこはねは受けてくれた。真剣に応えてくれた。自分の核にある弱さを受けてとめてくれる存在なんだというこはねへのさらなる信頼、そしてその勝負の中で「こはねに超えられたなら超え返すことが自分はできるんだ」という感覚、弱さ自体は消えていなくとも弱さに向き合う2つの強さを得ました。
「相棒」のあり方に正解などありません。杏の考えも時とともに「なんだこはねに頼ったって協力し合えばいいじゃん」になるかもしれないし、「憧れでありたい」を持ち続けるかもしれません。信頼し合っていれば、それぞれに合う形いいのです。大切なのはモヤモヤがなくなったこと。Vividsにとって、何年先も「あの時勝負できてよかった」とお互いが言えるタイマンになったことでしょう。
画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「Whip the wimp girl!!」2024年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
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