北京スーパー銭湯の悲劇
寒くなって思い出した、風呂のハナシを。
北京にきれいなスーパー銭湯ができた。といっても留学していた1990年当時のハナシ。場所は忘れたが、三環路から少し北東方向(空港方面)へ行った当たりだったような。
住んでいた北京語言学院の「留学生塔楼」は24時間ではないがシャワーでお湯がでるという優れた施設だった。もっとも浴びている途中で水になったりするので夏でも冬でも短時間で済ませる癖がついた。
そんな中、日本人留学生仲間からの情報で「スーパー銭湯」ができたという。広い風呂、できたばかりというからには、きれいで清潔なはずだ。手足を伸ばして湯船につかりたい。もちろんすぐに向かった。
情報は正しく、まさに先週オープンしましたと言わんばかりの新施設。埃だらけ、土だらけの各種建物に慣れていただけに、その真っ白な外観に感動するほど。更衣室もまだピカピカ。広い浴槽にはあふれんばかりの湯。シャワーからも「常時」適温の湯が出る。やればできるじゃん、そう思った。
すっかり温まり、相当いい気分で出ようとしたとき、手書きの貼り紙が目に留まった。
その一部に「解手」とあった。はて。なんだろう。
浴槽には慣れていない中国人のために、「手ぬぐいは入れるな」とでも書いてあったのだろうと思い宿舎へ戻った。
中国人に話をすると、「その風呂に入ったのか?」という。そりゃ銭湯だもの、浸かるよ。すると友人は「もう行かないほうがいい」と。貼り紙の内容は、
浴槽内で小便するな
きれいな建物は建つが、正しい風呂の入り方は分からなかったようだ。
大きな浴槽の後、戻った留学生塔楼でぬるいシャワーをたっぷり浴びた。