EUブルーカードを取得しました! 取得までの流れを解説します
こんにちは、Takayukiです。
2023年3月にドイツに移住し、2024年4月にEUブルーカードを取得することができました。
「EUブルーカードってなに?永住権とどう違うの?」という方もいるかもしれません。というわけで本記事ではEUブルーカードと僕が取得した経緯について書きたいと思います。
EUブルーカードとは?
EUブルーカードは、EU市民でない外国人が高度な技術を持つ場合にEU圏内で働き居住する権利を与えるものです。
EU加盟国が発行する滞在許可証ですが、実際にはほとんどがドイツで発行されています。
ドイツ現地採用で働く方の多くは就労ビザを取得していると思いますが、EUブルーカードは通常の就労ビザとは明確に異なります。
EUブルーカードの取得要件
EUブルーカードは通常の就労ビザより優遇されています。
しかし、誰でも取得できるわけではなく、取得には要件があります。
就労ビザより厳しい要件ではありますが、既にドイツで働いている人であれば、基準を満たす方は少なくないのではないでしょうか。
ちなみにドイツ語力は要件に含まれていません!
1.大学を卒業している
ドイツの大学の学位またはドイツの大学の学位に相当する外国の学位を持っている必要があります。
日本の大学の学位を持っている場合、その学位がドイツの大学の学位に相当することを証明しなければなりません。
2.在ドイツの企業からジョブオファーがある
在ドイツの企業からジョブオファーを受けている、もしくは既に在ドイツの企業で仕事をしている必要があります。
在ドイツであればドイツ企業である必要はなく、日系企業や他の国の企業でも問題ありません。
そして、仕事は以下の要件を満たす必要があります。
雇用期間が6か月以上である
仕事が学位に合致している
1に関しては無期限雇用(unbefristet)であれば問題ありません。
2は微妙なところで何をもって合致しているとみなされるのか曖昧なところです。日本人は仕事探しの時に専攻と仕事の合致を重視しない傾向にありますが、海外だとがっつり見られます。
3.給与要件を満たしている
年収45,400ユーロ以上の給与を受け取っている必要があります。
しかし、“bottleneck profession”と呼ばれる需要の高い職種だと41,041ユーロまで基準が緩和されます。
“bottleneck profession”は下記の職種が該当します。
製造、鉱業、建設、流通業界のマネージャー
情報通信技術サービスのマネージャー
保育サービス、医療サービス、教育などの専門サービスマネジャー
STEM分野の学術専門職
建築、空間計画、交通計画などの学術専門職
医師
獣医師
歯科医師
薬剤師
看護・助産分野の学術専門家および同等の専門家
学校および学校外の教師、教育関係者
ちなみに給与要件の給与額は毎年更新されます。
今年は基準を満たさなくても、来年に基準を満たせるかもしれません。
EUブルーカードのメリット
EUブルーカードは通常の就労ビザより嬉しいメリットがあります。
僕はこのメリットに魅力を感じて申請しました!
1.ドイツに居住し働くことができる
日本以外の海外に住むためにはビザが必要です。
ビザにも就労ビザや学生ビザ、投資家ビザなどがありますが、居住し働くためには就労ビザが必要になります。
EUブルーカードがあれば、ドイツに住んで働くことができます。もちろん、ドイツ以外の国で発行された場合にはその国に居住し、働くことが可能です。
2.ドイツ永住権のハードルが低い
通常の就労ビザですとドイツ永住権を申請できるのは就労ビザ取得から5年(60か月)後です。
しかし、EUブルーカード保持者は27カ月でドイツ永住権を申請できます。つまり、通常の就労ビザより23カ月、約2年早く永住権の権利を手に入れられます。
さらにB1レベルのドイツ語能力を保持している場合には永住権申請までの期間がさらに21カ月まで短縮されます。
2年未満で永住権を手に入れられるEUブルーカードは永住権獲得を目指す人にとってチートカードと言えるでしょう。
3.配偶者をドイツに呼ぶことができる
EUブルーカード保持者は配偶者をドイツに呼ぶことができます。これはワーホリビザや学生ビザにはないメリットです。
ドイツに来た配偶者は特に制限なくドイツで働くことができます。
僕は独身ですので、関係ありませんが、家族がいるけどドイツに移住したい人にとっては嬉しいメリットですね。
EUブルーカード取得までの流れ
僕がEUブルーカードを取得した流れをご紹介します。
「対応が遅い」と評判の悪い移民局ですが、EUブルーカード申請者は優遇されるようで、自分でも驚くほど早く取得することができました。
ちなみに僕はEUブルーカード申請時点でドイツに在住していたので、ここで説明する流れは既にドイツ在住の方向けになります。
STEP1.移民局に連絡
僕が住んでいるデュッセルドルフの移民局に「EUブルーカードに申請したいです」と連絡をしました。
デュッセルドルフの移民局のメールアドレスは下記のウェブサイトに記載されています。
"Ich möchte eine Blaue Karte EU beantragen. Können Sie mir sagen, welche Unterlagen ich einreichen muss?"
こんな感じのメールを送った気がします。
STEP2.移民局から返信がくる
返信が遅いことで知られる移民局ですが、EUブルーカード申請者は優遇されているのかすぐに返信がきました。
このメールによると下記の書類を提出する必要があるみたいです。
パスポート
現在保有しているビザ
就労許可証
保険加入の証明書
学位認定証もしくはKMK証明書(ここは後述します)
雇用契約書
賃貸借契約書
過去3か月分の給与明細
一見すると必要書類が多いですが、既にドイツに住んでいる方であれば問題なく集められると思います。
しかし、一つだけ問題があります。それは学位認定証です。ドイツの大学を卒業している方は学位認定証を提出すれば大丈夫です。
問題は日本の大学を卒業した場合です。これは少しややこしいので後述します。
STEP3.必要書類を提出する
必要書類をPDFで移民局にメールで送ります。
PDFで送るので書類をスキャンする必要があるわけですが、わざわざお金払ってスキャンサービスを使いたくなかったので、僕はスマホアプリで撮影してPDF化しました。
このアプリは無料で書類をPDF化できます。クオリティは問題なく、移民局も受け入れてくれました。
STEP4.学位認定を申請する
ドイツの大学を卒業していない場合、学位認定証を提出することができません。その場合にはどうしたらいいのでしょうか。
日本の大学を卒業した方はKultusministerkonferenz(通称KMK)で大学の学位を認定してもらう必要があります。
KMKでアカウントを作成し、必要な書類をアップデートすると学位を認定してもらえます。
ただし、学位認定には200ユーロかかってしまいます。少し高いですが、EUブルーカードを取得するためのステップだと思って申請しましょう。
KMKでの申請方法は他の記事で詳しく解説しますね。
STEP5.学位認定書を受け取る
この学位認定書はドイツの大学への入学を希望する場合や一部のビザ取得に必要になります。
通常、3か月程度かかりますが、EUブルーカード申請者は優遇されており、2週間以内に結果が通知されます。
僕の時には1週間くらいで結果が通知されました。
学位認定証のPDFをダウンロードしたら、移民局に提出します。
STEP6.アポイントが決まる
必要書類をすべて提出すると、1週間くらいで移民局からアポイントの連絡がきました。
当日はパスポートと現在持っているビザ、証明写真、クレジットカードを持ってくるようにメールに書いてあります。
クレジットカードを持ってくるように書いてあるだけで、ビザにいくらかかるのか記載がありませんね。
有効期限1年以内だと100ユーロ、1年以上だと110ユーロかかります。
STEP7.移民局に行く
アポイントの日に移民局に行くとEUブルーカードが交付されます。
大都市だと時間通りに行っても待たされることが多いです。
僕も指定された時間から1時間以上待たされました。
おわりに
いかがだったでしょうか。
ドイツの移民局は対応の悪さで有名ですが、EUブルーカード申請者は「高度技術者」とみなされ良い対応をしてもらえました。
申請から交付までがスムーズでびっくりしました。
ドイツ在住の日本人でもEUブルーカードを申請する人は決して多くなく、日本語の情報がまだまだ少ないですが、今回の記事がお役に立てば幸いです。
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