45歳定年制を見据えて、学び直しが有効だという話。

 45歳定年制の話題は、結構センセーショナルだったためか結構長引いている印象がある。定年自体は45歳になることは、法律を改正しない限り無いのだが、実質的な45歳定年制というキャリアチェンジを促したり役職定年の前倒し等様々な制度で今後行われていくのだろう。

 アデコが最近発表した学び直しに関する調査結果で、ビジネスマンの40.8%とフリーランスの45.0%が学び直しをしたことがあると回答している。また、学び直しをした人に仕事で良い影響があったかとの問いには、ビジネスマンの約85%とフリーランス約90%が良い影響があったと回答している。具体的な良い影響としては、1位は仕事の幅が広がったでビジネスマンの約67%とフリーランスの約62%が挙げている。2位は仕事のモチベーションが上がった、3位は収入が増えたであった。

 この中で一番重要なのは仕事の幅が広がったということである。直接今の仕事で収入が増えたということは、おそらく資格取得をして資格手当をもらうということだと思う。それよりも、Aという分野以外にもBやCという分野の仕事も出来るようになったということで、ツブシが効く人になったということである。ツブシが効くというということは、場合によっては器用貧乏みたいに悪い方に取られかねないが、これからの時代、同じ企業に勤めていても仕事内容が変化する場合に選択肢が多くなる。

 この選択肢が多いというのが重要で、45歳以上(に限らないが)の人が働かないおじさんになったり、リストラにあったり、再就職に苦労したりするのは、根っこはひとつでツブシが効かないからである。実際、本人にばかり問題があるケースだけではなく、会社で所属していた事業部が無くなって配置転換された部署では以前の経験が役立たないといったケースもあると思う。ただ、その場合でも、別の能力があるということをアピールできていれば、配置転換の際にも有利に働いた可能性がある。

 今後、働かないおじさんは選別されて市場に放り出されることになる。その理由は、AIの発達によって単純作業系の仕事は無くなっていくこと、65歳定年で70歳までの雇用をすることが必要になってくるということで、人件費の総額を抑えるために働かないおじさんを雇うほどの余裕がなくなることが挙げられる。リストラというのも同じことである。では、そうなった時にどうするか、ツブシが効く人になっておく他にはないのである。コロナ禍で旅行・ホテル・飲食(実際はそれだけではないのだが)等の業種のダメージが深刻と報道されている。中途採用でもそれらの業種の人の応募が相対的に多い。だが、未経験で知識も無い異業種にチャレンジしても採用される確率はかなり低いし、結局は続かないことの方が多い。結局はツブシが効くように平素から何らか準備していたかどうかの違いだと思う。また、準備も何もしていない人は、安易に異業種を夢見ない方が良い。多分、今までの心構えでは続かなくて辞めてしまうから。他業種もそんなに甘くはないということは理解しておいた方が良いだろう。これから進路を考える人は、一つ自分の柱を持ちながら、その周辺を広げていって複数のことができるツブシが効く人材を目指していただきたいと思う。

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