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「#忘れられない展覧会2022」の受賞記事を発表します!

見出し画像、紙吹雪が文字の手前と奥に散るようにしたところがこだわりです。

昨年末に開催した、みなさんが2022年の1年間で見た展覧会の感想を語る企画「#忘れられない展覧会2022」
期間中に全部で39件もの記事がエントリーされました。どれも面白かったです。ありがとうございます!

エントリー記事一覧は、こちらをご覧ください。

さて、この企画では特典として3つの特別賞を設けました(各1名)。

  • 行ってみたくなったで賞

  • 視点が面白いで賞

  • ステキな写真で賞

僭越ながら、私(ちいさな美術館の学芸員)および「オトナの美術研究会」メンバーによる選考の結果、下記の通り受賞記事が決定しました。

「オトナの美術研究会」って何よ?と思った人はこちらをご覧ください。

★行ってみたくなったで賞

観てきた!25年ぶり!の静岡県立美術館で「大展示室展」(Naomi_Nさん)

「行ってみたくなったで賞」に輝いたのは、ミュージアムコラムニストのNaomi_Nさん(以下Naomiさん)による静岡県立美術館「大展示室展」のレポート記事です。
美術作品ではなく展示室そのものに焦点を当てた異色の展覧会。
展覧会の企画自体がかなりひねりの効いたものでしたが、その面白さや見所を、写真と文章を組み合わせてわかりやすく伝えているところは、さすがにプロのライターさんだなぁと感心しました。
Naomiさんのnoteを読むと、現在、京都芸術大学の通信教育部に在籍して、社会人芸大生として仕事と勉強を両立しているとのこと。今回の記事を読んでも、大学で学んでいる知識(学芸員養成課程の学習)がおおいに役立っていることが、よくわかります。

★視点が面白いで賞

絵画とファッション 「スコットランド国立美術館展」で描かれた衣装について。(タケチヒロミさん)

★ステキな写真で賞

京都・下鴨神社の片桐功敦「LIGHT OF FLOWERS花と光」展でひかりをみた(タケチヒロミさん)

数多くのエントリー記事の中、お一人でダブル受賞というまさかの結果を出したのが、ドレスの仕立てやリメイクを本業とするタケチヒロミさん(以下タケチさん)。タケチさんの記事は、noteで注目の記事に選ばれることが多いのでご存じの方も多いでしょう。
タケチさんの記事はどれも、「自分の好きを伝えたい!」という熱い想いがこもっていて、ぐいぐい引き込まれます。ご本人の言葉でいうと「偏愛」というやつですね。
奇しくも、タケチさんもNaomiさんと同様に、現在お仕事をされながら通信制の大学に在籍されていらっしゃいます(あれ、今気づいたけど、もしかしてお二人同じ大学か?)。常に新しいことに挑戦する姿勢が、こうして結果に表れるんだなぁと気づかされました。見習おうと思います。

・・・

さて、どうしてもお話をうかがいたくなったので、お忙しいお二人に時間をとっていただき、それぞれインタビューをさせていただきました(感謝です)。

Naomiさんインタビュー:「読んだ人に新しい発見を与えられるような文章を書きたい」

アート専門ライターとして、コラムや展覧会紹介、アーティストインタビューなどなど様々な記事を執筆されているというNaomiさん。

まずインタビューのはじめに、ちょっと、いやかなりマニアックな「大展示室展」を見るために、わざわざ東京から静岡まで行った理由をうかがいました。
伊豆出身のNaomiさんは、中学生の時にはじめて静岡県立美術館に行ったそうです。その時の体験がとても印象深く、今回美術館がリニューアルオープンしたのをきっかけに再訪したのだそうです。子供の時の体験大事。

社会人芸大生として京都芸術大学通信教育部でアートライティングを学びつつ、学芸員養成課程で学芸員資格の取得を目指しているNaomiさん。
そもそもなぜ大学でもう一度学ぼうと思ったのでしょう。
もともとWEBメディアのディレクター(かっこいい!)として忙しく働いていたNaomiさん、5~6年ほどは好きだった美術館へ出かける余裕がなかったそう。30代で働き方を見直し、再び足を運ぶようになると、歴史や作家、作品についての専門的な知識があればもっともっと楽しめるのでは、と感じたとのこと。
ちょうど京都芸大にアートライディングコースが新設されるタイミングで、ライターとして活動しようとしていた自分にぴったりだと思ったとも。

Naomiさんは、記事を書く際、(1)作り手側(アーティストや展覧会主催者)の視点、(2)それを楽しむ側(お客さん、鑑賞者)の視点、そして(3)その両者をつなぐ伝える側(ライター)の視点、という3つの視点を常に意識しているそうです。この3つの視点を併せ持つライターは希有な存在ではないでしょうか。
そう考えると、大学で学芸員資格取得のための勉強をしていること、日頃から純粋な趣味として展覧会を楽しんでいることなど、全てがライターとしての強みになっているんだな、と納得しました。

Naomiさんが様々な展覧会(本当にジャンルが幅広い!)に足繁く通うのは、本人いわく「完全に趣味です」とのことですが、それをnoteに記事として書く時は、読み手の存在をしっかり意識しているそうです。どう伝えれば、読んだ人に新たな発見や気づきを与えられるか、また、やってみたい、行ってみたいと行動におこしてもらえるか、を考えているとのこと。
まさに「行ってみたくなったで賞」を取るべくして取った、と言えますね。

読み手を意識し、記事のクオリティに気をつけている理由。それはNaomiさんにとって、noteは単なる活動記録ではなく、ライターとしてのポートフォリオ、宣伝ツールだからだそうです。実際、noteでの発信がきっかけとなって、新たなお仕事につながることもあるとか。すごいですね。
Naomiさんはさすがに鋭いアンテナを持ち、興味の幅もおそろしく広いので、noteを見るときっと色々な発見があるはず。おすすめです!

>> Naomiさんのnoteはこちら(お仕事依頼なども!)

タケチさんインタビュー:「こんな長文だれが読むんだと自分でも思いながら書いてます」

「視点が面白いで賞」「ステキな写真で賞」の2冠を達成したタケチさんは、神戸のアトリエで、ウェディングドレスのオーダー制作とリメイクをされている「ドレスの仕立て屋」さん。世界にひとつだけのウェディングドレスを仕立てるというのだから、すごいですよね。

そのドレスへのあふれんばかりの愛が、勢い余ってあふれ出したのが「視点が面白いで賞」に輝いた 「スコットランド国立美術館展」の鑑賞体験レポートです。
タケチさんの独自の視点はずばり「衣装」です。衣装という切り口でこの展覧会を語り尽くしています。衣装愛、服飾愛、ドレス愛。誰よりも好きなものがあるからこそ、誰とも違う唯一無二の記事が書けるんだな、ということがよく分かります。

タケチさんにうかがうと、自分の偏愛ぶりを受け入れてくれるnoteというメディアこそが、とても変で、とても面白いと言います。どういうことでしょう?
タケチさんは自分の好きなことについて、ただひたすら楽しんで書いていて、好きなあまり筆がとまらず、毎度毎度超長文になるそうです。
「#ドレス」や「#ファッション」のタグはnoteの中でマイナーだし、そもそもこんな長文だれが読むんだ、と思っていると、不思議なことに偏愛ぶりが爆発した記事ほどnoteの注目記事にピックアップされたり、スキが集まったりするそうです。
自分は自分のために楽しんで書いているだけなのに、コメントで「素敵な記事をありがとうございました」と感謝されるなんて、本当にnoteは面白いところだ!とのこと。

タケチさんと言えば、社会人芸大生としてレポートに奮闘する姿もnoteでよくお見かけします。そもそもなぜ大学に入り直したのでしょうか。
毎日楽しくドレスを仕立てていたタケチさん。それがコロナの流行によって、結婚式自体が完全に行われなくなり、ドレスの仕事がいきなりゼロになったそうです。その状況がいつまで続くかも分からず、自分はこれからどうやって生きていこうとおおいに悩んだと言います。
それでも、ドレスに関わって生きていきたい、という気持ちが消えることはなく、仕立てる以外にもっと色々なドレスとの関わり方があるかもしれないと考えました。ドレスのことを文章で表現することにも興味があったし、博物館で行われる衣装展にも関心があったため、通信で学べる京都芸術大学の文芸コースに入学することを決めたそうです(やっぱり上記のNaomiさんと同じ京都芸大でした)。博物館養成課程にも在籍し、学芸員資格の取得も目指しているとのこと。
さて、そんなタケチさんは2024年3月に卒業予定とのことですが、インタビューした時点で何やらあらぬ事態で黄信号が点滅しているようでした。どうなることか見守りましょう。
社会人大学生のタケチさんは共に学べる人が集まるサークルもnoteで運営しています。興味ある人はタケチさんのメンバーシップをのぞいてみてください。

それから「ステキな写真で賞」に選ばれた下鴨神社の「LIGHT OF FLOWERS花と光」展。こちらの記事に掲載されている写真はどれもiPhoneで撮影したものだというから驚きです。風景の切り取り方、光だけでなく影をとらえる視点などが秀逸なのだと思います。

noteでバズることが少なくないタケチさん。その秘訣は、文藝春秋SDGsエッセイ大賞グランプリに輝く文才もさることながら、やっぱり自分の好きを突き詰めている人だけが持つ魅力があるからだよなぁ、ということを実際にお話して感じました(あと、文章からにじみ出るお人柄)。
他にもたくさんうかがったのですが、これぐらいにしておきましょう。タケチさんの偏愛ぶりが気になった人はぜひタケチさんのnoteをのぞいてみてください!

>> タケチさんのnoteはこちら(文章のお仕事依頼やメンバーシップも!

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そうそう、受賞者には副賞として、展覧会1回分程度の賞金をサポートでお贈りしました(ダブル受賞は2回分)。
ぜひまた素晴らしい展覧会の紹介記事を書いてくださいね!

今回の企画を振り返って

メンバーシップ「オトナの美術研究会」の中で、メンバーの皆さんから意見をもらいながら生まれたのが、今回の「#忘れられない展覧会2022」という企画でした。
誰も応募してくれなかったら盛大に滑った感じで恥ずかしいな、と内心ドキドキしていましたが、日を追うごとに応募が増え、結果的には39記事も集まりました。本当に感謝です。また、この企画を通じて私のアカウントを知ってくださった方もいると思います。

私自身、展覧会を楽しむ人がひとりでも増えたらうれしいな、と思いながら、日々noteで発信を続けているので、今回の企画の成功はとても自信になり、手応えも感じました。

皆さんに協力していただいて成り立つこの企画にはさらなる可能性がある気がするので、形は模索中ですがすでに第二弾を検討しています。おそらく今月中には発表できると思うので楽しみにお待ちください!

「オトナの美術研究会」はメンバー増加のため、現在新規入会の受付を停止しています。運営に余裕が出てきたらまた入会受付の告知をしますので、よろしければフォローしてお待ちください。